MC:まずは二宮さんに伺います。長い年月をかけて、撮影からこのプロモーション期間過ごしてきましたが、オファーをもらった時のことを思い出して頂いて、どんな印象を持ちましたでしょうか?
二宮:お話をいただいた時、僕は嵐の活動をしていた時だったので、「活動している最中は、ちょっとお受けできません」って話をしていたんですけど、「活動休止してからでもかまわないので、やっていただけませんか」っていうことを言われて、「ありがとうございます!」って(笑)。普通だったら「あ、分かりました」って次の方なのか、また違うタイミングになってしまうことが普通なので。そこを待って頂けるっていうことだけでも感謝でしたね。
MC:監督はずいぶん前からオファーされたということになるんですか?
三木:そうですね。プロデューサーの方とお話した中でも、健というキャスティングは二宮さんしかいないっていうふうに思ってましたし、もう全然いくらでも待ちますっていう感じでお話させていただきました。
山内:20年ぐらい待ったら終わりますけどね。だいぶダメな男になっちゃうから。
濱家:ニノと監督の話に入るな、お前(笑)。
二宮:いや、いいんです(笑)。ありがとうございます(笑)。
MC:実はですね、一足先にご覧いただきました原作「ロボット・イン・ザ・ガーデン」の作者、デボラ・インストールさんからのコメントが届いているんですね。私が代読させていただきます。「マスクを交換するほど号泣してしまいました。後半はずっと感動しっぱなしでした。映画の中で健が成長して行く姿を見て、原作者としても嬉しかったです。二宮さんの演技はパーフェクトで本当に素晴らしかったです。健とタングがお互いを好きになっていく過程と、同時に観客もこの二人のキャラクターを好きになっていく。健とタングと観客の心の動きが重なっていくのを実感しました」。このようなコメントいただいております。原作はイギリスの作品ということなんですけれども、二宮さん、いかがですか、原作者からのコメントを聞いて。
二宮:いやー、パーフェクトかあ…と思ってます(笑)。いい酒が飲めそうだなと思ってました(笑)。
MC:タングとのやりとり、健を演じる役づくりは、どのようなことを考えてやりましたでしょうか?
二宮:最初は煙たい存在ですので、VFXをやっていただいた白組の人たちと現場で相談しながら、歩く速度とかを決めながら、最後は合わせてサトウキビ畑のところ歩いていくみたいなストーリーにしたかったので、そういうところから相談しながらみんなで作り上げていったので、それが伝わってよかったなと思います。
MC:妻に捨てられたダメ男。この役どころに関してはいかがでしょうか?
二宮:僕は基本的にそこらへんのゾーンで生きているキャラクターが多いので、ここ20年間ぐらいずっと、板前の見習いみたいな役なんで、だからそこは慣れてます。
MC:監督はいかがでしたか?二宮さんの演技は。
三木:二宮さんと満島さんの二人の空気感が、そんなに多くシーンがあるわけじゃないんですけど、初共演ではあるけど、この仕事をする中で、どこかでずっと意識をされていたっていうお二人で、満島さんも昔、アイドル活動もやっていらっしゃって。だから人生でたどってきた道のりとか、越えてきた壁とかがすごい似てるんじゃないかなと思って。お二人が現場に入って本番に入った瞬間、二人の夫婦の空気がすごい心地よくて、鳥肌が立ちました。
MC:満島さん、いかがでしょうか?
満島:ありがとうございます(笑)。多分、私が小学5年生ぐらいの時、二宮さんが中学一年生ぐらい?その時からもう顔が浮かぶぐらいで。ジャニーズジュニアと沖縄アクターズスクールの女の子と出ていた番組があって、お話とかはあんまりしてなかったんですけど、画面の中で顔とかは覚えてたりとかして。それで嵐になってデビューするんだとか、いろんなことをずっと見てきて。同じ番組に当たる時もあったと思うし、すれ違いもあったと思うんですけど、ちょっと比べられないんですけど、私も似たような経歴を辿ってきて、二人ともキラキラってした歌って踊るグループで始まったのに、なぜかすごく負荷が強い骨太な作品の役柄が多くて(笑)。
二宮:たしかに(笑)。
満島:そういう作品で出会うかなあと思ってたんですけど、こういうファンタジーの映画で。実際、撮影中はタングが動かない中で、リアリティを想像しながら、イマジネーションがすごく問われるっていうか。でもね、かまいたちさんも、もしかしたら初めて…あ、コントされてるからイマジネーションとかでやってますもんね?
山内:もちろん!
満島:すいません(笑)。
濱家:ほんまか?イマジネーション?ほんま?
満島:(笑)。役者さんたちのイメージの力みたいなものを、すごく映画を観て感じて。特に二宮さんのイメージの力は、本当にタングが動いていて、その場でタングと呼吸し合ってるようなお芝居が、どんどん後半になるにつれ見れて。なんか、素敵でしたね。(二宮&満島の)二人の並びはね、前の試写でも言いましたけど、キラキラしてましたよね(笑)。
MC:昔からの関係値がある中で、映画の後半ではお二人の涙のシーンがとても感動的でしたけれども、夫婦を演じてあのシーンはどのように受け止めていらっしゃいますか?
満島:とても難しかったんです。撮影3日目ぐらいに、一番ラストのシーンを撮る感じで。まだ何の思い入れもなくて(笑)。
二宮:やめなさいよ(笑)。あったから、思い入れは(笑)。
満島:いろんな気持ちで二宮さんに引っ張っていただいたので(笑)。
MC:涙を流した方もたくさんいらっしゃいました。そこで皆様にもお伺いいたします。本作を見て一番グッときたポロッと涙したなとか、そういった感動のシーンをぜひ教えていただければと言う風に思います。二宮さんから参りましょう。
二宮:やっぱりラストシーンですかね。実は中盤あたりぐらいで、もう我々が泣くことができなくなっちゃって、「今日はもう泣けない」って言って終わったんですよ。シーンの途中で。いろんな組がある中で、やっぱり泣けなくてもいいから一度走りきりたいいう思いが現場に必ずあって、全体像を見たいというか。でも三木さんはそうじゃなくて、「じゃぁ明日撮りましょう!」って言って、明日まで待っていただけたので、やっぱり出来上がって観ても自然に、2日かかってるんですけどシーンが自然に観えたので、現場の対応を含めて感動できましたね。最後のシーンも次に撮る部分までやらないで、ちゃんととっておいていただけたっていうのは、役者としてもすごく有難いし、感動しましたね。
MC:満島さんは、いかがでしょうか?
満島:監督の現場での映画を撮ることがめちゃくちゃ楽しいっていう姿、三木さんがとにかく映画を撮ることが楽しいっていう姿で。現場にいて不安もあるんです。発泡スチロールのタングがいて、現場に緑の手を二つ付けた方々が支えて(笑)、そういう中でお芝居しながら自分たちが迷う中で、監督がずっと道しるべを作ってくれたっていうか。「ここに進んで、ポンコツ夫に怒ることがあるけど、あまりリアルに怒り過ぎると立ち直れなくなっちゃうから、語尾をあげましょう」とか、一つ一つのセリフとか動きとか、全部監督がこの映画に合うような指導をいっぱいしてくれて、それが映画を観た時に本当に素敵で。なんか全然、現場から可愛かったですけど、動いてなかったタングが本当に動いて話して走ってっていう姿を観て、編集するのもすごく努力がね、労力がいっただろうなと思って、普通の作品の二倍三倍と時間のかかる作品だと思うので、作品まるごと感動して、結構私泣きました。初めて観た時に。
MC:泣いたポイントで覚えているところはありますか?
満島:健が泣くと泣いちゃう。絵美さんの気持ちで観てたのかな?健が冒険して、タングからいろんなものをもらって、タングが成長しているように見えて、どんどん健が成長して行ってるのにもすごい泣けて来ちゃって。あと途中で、アニメーションが入ってきたのでびっくりしました。こんな時間もあったんだ、この編集の時間にとか。はい(笑)。
MC:市川さんは、本作で一番グッときたシーンがあれば。
市川:いろんなシーンを思い浮かぶんですけど、この作品ってとてもクラシカルなお話で、台本を読んでいて、キャスティングが二宮さんと満島さんって見たときに、すごい面白いと思ったんです。この話をこの二人でとうのが、すっごい面白そうだなぁと思っていたんですけど、出来上がった作品を観て、ともすれば観ていて照れそうなシーンとか、直訳っていうか外国のね、この作品の魅力だとも思うんですけど、観ていて照れそうなところとかもお二人のお芝居とか、まあ監督の演出もそうだと思うんですけど、選びとる技術っていうか心意気?こういう風に言うとか、こういうふうに気持ちを表すとか、そういうところに感動しました。出来上がった作品ってこういう表現の作品なんだっていう…。伝わってない(笑)?
MC:二宮さんと満島さんの夫婦の関係の中に感じられますよね。
市川:感じられます。タングと健の二人のところもそうだし…、うん…。
二宮:だいたい感動したそうです(笑)。
MC:ありがとうございます(笑)。二宮さんのサポートも手厚いですね(笑)。そして小出さん、いかがですか?
小手:全編に渡って涙腺が止まらなかったんですけど…、涙腺が止まらないっておかしいな(笑)。涙腺が緩みっぱなしだったんですけど、タングが心拍を測定できるっていう機能があるじゃないですか。あの伏線がね。僕はもうだめでしたね。その辺で。あとエンドロールが一番泣けました。
MC:そして奈緒さんにもお伺いいたします。
奈緒:私はどうしてもぐっときちゃうところがあって、コーヒーをずっと健が飲みたがって(会場から共感の拍手)、ね?あそこすごいグッと来ましたよね!?
山内:(拍手した方に)コーヒーのメーカーの方ですか?
濱家:違う違う(笑)。
二宮:入ってくるなあ(笑)。
濱家:「ありがとう、コーヒーの話ししてくれて」じゃないんですよ。すいません、奈緒さん。
奈緒:ちょっとネタバレになっちゃうかもしれないですけど、タングがコーヒーを持ってきてくれた時に、たまらなくタングのことが愛おしくなって、その時に愛おしいって思ったのと、全く同じ気持ちに健がなってるっていう二宮さんを見たときに、なんかすごいリンクして、あの時から見てると、この時タングがいなくて大変だったとか、そういう事も出てきちゃうんですけど、あのシーンで出て来なくなったんですよね。タングが本当にそこにいるっていうのをすごく信じられて、撮影していた私もグッと引きこまれたシーンだったので、そこは何回見てもタングと健が愛おしくて涙が出てきます。
MC:拍手が沸き起こるぐらいお客さんも共感だったと。さあ、かまいたちのお二人もお伺いします。本作で一番グッとシーンを教えてください。
山内:やっぱり完成したのを観て、ラストの辺のシーンなんですけど、大釜に小出がスタンガンでやられるところ。やっぱ無念やろうなって。ちょっとグッと来ました。
濱家:グッと来た?「スタンガン」って言ったときに、ちょっと拍手の間、待ってたけどないよ? コーヒーのシーンみたいに。
山内:そこですね。
濱家:僕は最初に健が追い出されるじゃないですか。泣くとかじゃないですけど、あの追い出された感じ?タングと健のものを投げられて、あの感じがすごい駄目なんですけど、可愛いらしく映って。一気に引き込まれて。どういう人間かというのが映ったから、あそこのシーンが好きでしたね、僕は。
MC:景井さんはいかがでしょうか?
景井:私、小手さんとまったく一緒なんですよ。満島さんがすごく幸せそうな笑顔で涙されたところが、もうすっごく好きで。あの瞬間に、なんかもうよかったみたいな。今までずっとハラハラで、健がすごくダメ男だったので(笑)。
二宮:そうね(笑)。
景井:絵に描いたようなダメ男だったんで(笑)。
二宮:おうおうおう(笑)。重ねてくるね。
景井:奥さんの立場として見ていてハラハラだろうなと思いながら、私もすごく感情移入しながら観ていて、やっぱり最後のシーンで「幸せになってください。お願いします」って心から思っちゃったシーンで。一番大好きなシーンです。
MC:続いて武田鉄矢さんにお伺いします。
武田:やっぱりコーヒーと、ラストに近づいた時の盛り上げ方ですよね。この映画はファンタジーなんで、手順を踏んでゆっくり積み重ねてゆくという手法で物語が展開していくんですけれども、引っ掛け引っ掛けでちょっとずつ人間とロボットっていうものを、もう一回考えてみようっていう深いテーマがもう一つ埋まっているような気がして、その辺が監督うまいなあと思いました。「キミとならきっと大丈夫」というキャッチコピーのほかに、もう一つこの映画にはキャッチコピーがありまして、それはなんだったっけ?「記憶を失ったロボットとポンコツ男の物語」という。でもこれおかしいですよね。これキャッチコピー自体がおかしいんです。これ逆です。今までのファンタジーは、記憶を失った青年とポンコツロボットの物語なんです。この映画の一番奥底にあるものは、人間らしさとは何かっていうのをロボットに語らせるという絶妙の構成で、うまいなというふうに思いました。泣き所はあるんですけれども、それがこの映画の一番深いところじゃないでしょうかね。ロボットから人間性を教えてもらうという。そういう時代に私たちは生きているんだよということを教えてくれる映画だと思います。
二宮:起立!気を付け!礼!(笑)。いい話だ(笑)。
MC:武田さんに、もう一つお伺いしたいのが、俳優の先輩として夫婦を演じた二宮さん、そして満島さんの演技はいかがでしたでしょうか?
武田:大したもんですよね。小さい頃から芸能界にいらした方でね、私は二宮くんと同じ事務所の若手をいっぱい見てきましたけど、この青年は残念なことに生徒じゃなかったんですが(笑)、やっぱり才能あるなと思いました。皆さんも確認なさったと思うけど、楽に演技してるでしょ?力むんですよ、動きもしない人形相手に芝居をやるわけですから、冷たいこと言うと。それを気負わずにさらっとできるっていうのは、よほど内側に俳優としての高い境地を持ってないとできません。すごい青年だなと思いつつ、ちょっと今回の監督には申し訳ないですが、私はいつも心の中で、「さすが二宮、クリント・イーストウッドからOKをもらった俳優はただもんじゃねぇな」と思いながら、彼のなにげない肩に力を入れないお芝居を、一種の凄みとして観ておりました。ということで、本日は、この辺で(笑)。
二宮:ありがとうございます(笑)。うれしい(笑)。
MC:監督、武田さんからの話ありましたけど、肩に力を入れない演技というのが、二宮さんの魅力でしょうか?現場ではどうでしたか?
三木:そうですね。本当にスイッチの入り方というか、本当に本番の2秒ぐらい前ぐらいまでゲームやってますよね(笑)。
二宮:肩の力が入らなくて素晴らしいって言っていただけるんですけど、こっちとしては肩がハマらないんですよ。ずっと外れっぱなしで(笑)。
三木:そういうキャラクターが最初のゲームのシーンとかに生かされていたんじゃないかと(笑)。
MC:小手さん、現場に入る二宮さんは、どんな様子だったんですか?
小手:いや、もう本当に散歩するような感覚で本番に臨んだましたよ。「ふぃ〜す」みたいな(笑)。スマホを衣装にしまってました(笑)。
二宮:しまってたな〜(笑)。