【全文掲載】米倉涼子「“悔しい”と思いながら生きています。泥まみれになったほうが楽に」新成人にエール!

MC:綾野さんは、苦労した点などありましたか?

綾野:終始楽しかったですね。作品はセンシティブに捉えられるところもあると思いますが、ちゃんと立っていられる現場だったなと。誰かが誰かを支え合うような。チーム力がある現場なので、芝居のことと共演者のこと以外考える必要がない現場を監督が作ってくれたので、米倉さんは真ん中で立ち続けてくれましたし、流星くんからは自分もたくさん勉強させてもらいましたから、最終的には2人に向けて自分のフィジカルな部分を踏襲できるような姿勢でやれたので良かったです。苦しかったといいますか、村上を生きていると本来美味しいはずのご飯がどんどん美味しくなくなっていくんですよ。でも、それをラッキーだなと思っている自分もいました(笑)。

MC:横浜さんは、いかがでしたか?

横浜:作品に入る前に、藤井さんに自分が描きたい役目を任せたいと言われて、断る理由もなかったですし、ただ相当な覚悟が必要でした。若者目線というとで亮の考えに共感できる部分があったので、皆さんにも感情移入してもらえるような役だと思うので、皆さんにそういう風に思ってもらえるように逆に変に作りこみすぎず、その場で素直にいるということを意識していました。後はその都度、現場で話して、監督は良い作品にするために、いつも寄り添ってくれて、妥協をせず撮影を進めてくださるので、僕は芝居のことだけに集中して、だからこそ身を任せられるし、亮として生きることができました。

MC:藤井監督からはどう伝えられたのですか?

藤井:本を渡す時に「映画のときには出来なかったけど、自分の目線を流星に託したい」と。一度映画でやらせてもらったことなので、それをまた同じようにやるのではなくて、新しく生まれ変わるために自分の目線を入れたいと。どうやって世の中に起きていることを、自分事化するかってすごい難しいことだけど、みんなはスクリーンの中で、流星の役を通して、村上や松田に感情移入していくだろうし、観ている人たちを引っ張っていけるような役回りをやってほしいんだと、お願いしましたね。

MC:ありがとうございます。本日は成人の日ということで、来場者の方から質問を頂いております。せっかくですので、ここからは観客の皆さんとのQ&Aタイムとさせていただきます。まずは、最初の方です。

Q1:ずっと看護師を目指していて看護学生になれたんですけど、実際に勉強してみると、周りと比べてしまうこともあって自分が向いてないんじゃないかなって落ち込むことがあるんですけど、自分が俳優業に向いてないんじゃないかって思った瞬間ありますか?

米倉:私は、この仕事が天職なのか確信したことはないんですね。ただ「やってやれ!」という思いと、せっかくやり始めたことはやり通したい思いと、あと隣の芝が青く見えるタイプで、自分に納得できなくて「あの人の方がいいなぁ」っていつも思っちゃうんですよね。ということは、まだまだ自分には足りないと思っていて、自分に向いてないのかなと思ったことも、「超えてやろう!」という思いで、「悔しい」と思いながら生きています。そういう気持ちが沸き立たないと、次のエネルギーにはならないと。どんな居場所でも楽なことはきっとないと思っているし、壁にぶち当たってみないと分からないし、もっと泥まみれになったほうが、大人になってから楽になる気がする。

横浜:僕も今の自分に満足していないからこそ、より頑張れるし、代わりなんていくらでもいるので、自分も10代のころは比べてしまう時期はあって、その都度、向いてないんじゃないかと思うことはありました。ただ、自分が決めた道だし、単純に芝居が好きだったから辞める選択肢はなくて。いつ何が起きるかも分からないじゃないですか。自分が明日死ぬかもしれないしって考えて、時間もどんどん過ぎていくので、落ち込んでるヒマもないし比べる暇もないというか。今に全力を尽くせば、僕はそういう事を考えなくなりました。応援することしかできないんですけど、時間はどんどん過ぎていくし、その時間に振り回されないように、1秒でも大切にして、人と比べずに、自分が今やりたいことは何だろうって考えていればいいのかなと思います。僕は応援しています。

Q2:私は現在役者を志し日々、レッスンを受けているのですが、その中で脚本読解を課題に挙げて取り組んでいます。綾野さんが台本を受け取って脚本読解に入る際に、最も重視している点と、今作で綾野さんが演じた村上真一という役の最も大切にしなきゃいけないなと感じた部分はどこでしょうか?

綾野:本気の質問だね(笑)。でも、好きな風に読んだ方がいいと思います。脚本読解はどこかに答えがあって、その答えを導くために読むのではなく、数学って答えがありますけど、脚本は答えがないので。今日まで生きてきて自分が体感してきたことだけで読んでいいと思います。それをざっくり言うと、「好きに読んでいい」と。自分自身を否定する必要はなくて、「僕はこう思った」という部分がより大事だし、それを僕は受け止めたいと思います。それと、本作は村上から何かが伝わっていくのではなくて、村上を通して松田さんや亮さんの眼差しから最終的に感じ取ってもらうような感情を線に繋いでいたので、僕から何かを発信していくというよりかは最終的には、亮が誰の目線だとも思うんですよね。そこに行きつくにはどうしたらいいかを考えて役を生きていました。

Q3:藤井監督に質問です。今、漠然と映画やドラマなどの映像作品に携わる仕事をしてみたいと思っているのですが、明確な職業が決まっているわけではありません。どういった視点からこの業界を調べたり、考えたりしたら自分のやりたい職業が見つかるのでしょうか?

藤井:僕は大学で学んだんですけど、元々脚本家になりたくてこの業界に入ったのですが、脚本が全然上手くならなくて。教授から脚本を学んでこいと言われて、とりあえず大学の映画サークルに入りました。その映画作りがすごく楽しくて、録音も撮影も助監督もやったし。なんだかんだ気づいたら映画監督やってるな、というぐらいな感じです。自分で「なるべき」とか、「なりたい」とか考えてなくて、求められるものにフラフラと流されたり、悩んだりして、結局今でも監督が向いているとは思ってなくて、今でも夢は脚本家だったりするのですが、映画はずべてが楽しいので(笑)。自主映画をやると全部できるから、いろいろ試してみて。唯一違ったのは助監督です。あんなに怒られる仕事は嫌だと思って、一度しかやってません(笑)。なんでGoogleで調べても載ってないことがたくさんあるので、飛び込んでみて学んでみてください。