MC:山田さんはいかがですか?
山田:体育館で紗枝がみんなの前に立って、わーっと言うところは苦労もしましたし、すごく印象に残っていて、体育館の撮影の何日も前から“撮影の日が来ちゃう”っていうプレッシャーもあったんですけど、撮影の後半で撮ったんですけど、紗枝を演じていく中で純の思いだったり、紗枝の思いだったり、そういうのをあそこでちゃんと私を通してでしかないですけど全部出してあげたい気持ちになったので、大事にやりたいなあと思いながら。苦労もしましたけどすごく印象に残ってます。
MC:監督ともいろいろ相談はされたんですか?
草野:相談というよりも、“とりあえずやってみようの精神”と言いますか、リハーサルを何度も重ねてやるっていう選択肢もあったと思うんですけど、そこまでの山田さんの芝居を見ていて、そこは1回本当にむき出しの紗枝みたいなものを撮り逃さないみたいなことに挑戦してみたくて、山田さんには「嘘がなければいいので、嘘なくやってください」ということをお伝えして、病院のシーンでも神尾さんに同じことをお伝えしたので、やっぱりその2つのシーンが僕もすごく印象的です。
MC:今井さんはいかがでしょうか?
今井:そうですね、エピソードとしては純とデートをしている時に、紗枝さんに見つかってしまって、水ふうせんがちゃんと当たるっていう。あれは本当に1発勝負での撮影だったので、アレが中途半端になってしまうとまた衣装を乾かさなきゃいけないとか、なのでそれを分かった上でもちろん芝居はしてますけど、でもそれを感じてはいけないので、ビンタされる芝居と同じように平然を心の中で装いながらやっていたり。あとは今回のお話として、純との愛し合うシーンというのがあって、女性とのラブシーンもそうですけれども、今回メインとなる純が美しく見えることを自分なりに心がけてやらせていただきまして、僕より全然年下で素敵な俳優さんの楓珠くんが、僕なんかよりもとってもしっかりされているんで、安心してやらせていただきました。
神尾:もう一個あるんですけど、いいですか? 別れのシーンで、誠さんにラムネを開けてもらうんですよ。あのシーンはラムネが溢れるんですけど、溢れる予定はなかったんですよ。それを今井さんが芝居でカバーして、「こぼれちゃったなー」みたいにやってくれたんですよ。あれを目の前でやられた時に、泣きそうなっちゃって(笑)。なんか誠さんの優しさがすごい出てるなと思って。でもここで泣くのは違うなっていうふうに思って、だから涙をこらえながら演じてましたね。今でも泣きそうになっちゃう(笑)。
草野:あそこはすっごい好きで。ラムネが溢れた時にすっとハンカチを。僕も真相が分からないんですけど、衣装のものだったんですか?
今井:いや、合間の汗ふきか何かで使おうと思って入れていたものを瞬時に使ったんだと思うんですけど。
草野:誠さんと純の関係性が最後の最後に見えた気がして、いいよね、あそこは(笑)。
今井:たしかに、2人の最後の切ない芝居だったので、最後の時間になるっていう思いの中できっと僕も自然とそういう風になったんだと思うんですけど。それも撮影を重ねる中での、コミュニケーションがそういうところに自然と出たのかなと思いましたね。
MC:私も泣けてきちゃいました(笑)。草野監督はいかがですか?
草野:ヨーヨーをぶつけられるシーンなんですけど、水ふうせんじゃないんですよ。お祭りのヨーヨーって割れないんですよ。当たったくらいじゃ。いろいろ演出部が助監督たちと試行錯誤して、今井さんの肩に針みたいなのを仕込んで、そこにぶつけて割る仕掛けを作ったんですけど、本番で若い助監督が今井さんの顔面にぶち当てたんですよ。もうご覧になった通り素晴らしいカットが撮れて(笑)。みんなヒヤッとしながらも、最高なのが撮れたと思ったカットでしたね。
MC:撮影以外で印象に残っているところはありますか? 神尾さん。
神尾:遊園地のシーンが青春してたなと思いますけど、純は楽しめる役ではなかったので、楽しみたいけど楽しめないっていう辛さがありました。それこそ紗枝とのシーンもあるし、難しいシーンが結構あったので、思ったより楽しめなかったっていうのが悔しいですね。
草野:ちょっと楽しそうにしてた時に、「楽しそうにしないで」って言った記憶があります(笑)。
神尾:引きの画だから、いいかなとか思っちゃって(笑)。バレてました(笑)。
MC:山田さんはどうですか?
山田:遊園地は確かに。私も遊びに行ってやるぞーぐらいのつもりでいたんですけど(笑)。あと、お化け屋敷が、明るかったよね(笑)。お化け屋敷ってこんなふうになってるんだって(笑)。明るいお化け屋敷を初めて見ました(笑)。
MC:今井さんは、神尾さんがしっかりされてるなって感じたのは、どういったところだったんですか?
今井:主役として現場にとにかく立つ時間が多いですから、僕はポイントポイントでのお芝居だったので、過密スケジュールの中でも全然疲れたそぶりとかを見せずに、年齢的に僕は40で、23?だから一回り以上違うんですけど。でも巷では若い頃の僕と楓珠くんの顔を系統が似てるって言ってくれる人もいるみたいで。
神尾:よく言われます(笑)。
今井:“ありがとう”って思いながら…(笑)。
神尾:いやいや、こちらこそです(笑)。
今井:だから、僕も年齢っていうものを感じないで結構いろいろ休憩中にお話できたりしたので。僕のクランクインが2人でデートするレストランのシーンからだったんですけど、初日から重いシーンで、重い芝居なんだけど、セッティング中とかにいろんなお話ができたんで、初日から親近感というか、とっても身近に思えたので、それがきっとお芝居にも反映できたのかなと思いますね。
MC:目力の強さは確かにお二人から感じておりましたが。神尾さん。
神尾:本当に濃い画ですよね。濃い顔と濃い顔で(笑)。なかなか迫力のあるシーンになってたと思うんですけど。初日に今井さんがクランクインされて、レストランのシーンで、今井さんは先輩なんですけど、僕らに合わせてくださって、さらに弱いところを見せてくださるんですよ。「初日って緊張しちゃうんだよね」っていう話をされてた時に、こっちも最初構えていた部分があったんですけど、一気になくなってありのままでできたっていう。本当に今井さんの人柄だなと思いました。
今井:いやいや、僕が単に度胸がないだけなんで(笑)。杏奈ちゃんにしても皆さんと読み合わせでしかお会いできなくて、ずっと楓珠くんと二人でのお芝居だったので、僕も完成を観たときに高校生たちの透き通った美しさというものが画になっているなと思ったし、願わくば40になったけれども、またいつか学生服を着て、芝居が出来たらなあってすごくいいなと思いました(笑)。監督にお願いを、よろしくお願いします(笑)。
草野:よろしくお願いします(笑)。