MC:まずは濱口監督、カンヌの4冠おめでとうございます!
濱口:ありがとうございます。
MC:三浦さんと霧島さんがカンヌに行かれまして、西島さんと岡田さんはちょっとね…。
西島:そうですね(笑)。わざわざ言うことですか(笑)。残念でしたね。
MC:それでも、一報を聞いたときはお二人はどうだったんでしょうか?
岡田:いや、嬉しいですよ(笑)。本当に嬉しくて、西島さんに初めて連絡しました(笑)。
西島:そう(笑)。メールはお互いを教えてたんですけど、メール来ないなと思ってたんですけど(笑)。
岡田:すいません(笑)。
西島:いやいや(笑)。「良かったね」というメールをやり取りしました。
MC:西島さんはカンヌで4冠、改めてどんな気分ですか?
西島:濱口監督がすごい監督だというのは、前の作品からも感じていましたけど、これからもっと世界でたくさんの人達に認められてこれからどんどん傑作を作っていくんだなと。特に今年はベネチア(濱口監督作『偶然と想像』がベネチア国際映画祭で銀獅子賞)もとってますので、これからすごいことになるんだろうなと思ってます。
MC:濱口監督、いかがですか?
濱口:脚本賞をいただきましたけど、脚本は映画には映っていないものですので、あくまでこの映画は特に役者さんの演技を通じて感じてもらえたものなんじゃないかと思うので、本当に役者さんの演技が素晴らしいものでなければいただけない賞だったと心の底から思っています。そして、ご覧になった皆さんも同意いただけると思います。
MC:その通りでございます。濱口監督、村上春樹さんの短編小説を映像化する上でキャスティングも大変だったんじゃないかと思うんですが、どんなところにこだわられたんでしょうか?
濱口:村上春樹さんの原作を映画化する事自体が大きなチャレンジで、そのキャスティングというのは一番大事なものだという風に思っていました。この映画の中で膨らんでいったキャラクターというのはありますけれど、物語そのもの、村上さんの物語から与えてもらった一番大きなものがキャラクターだと思っていて、そのキャラクターに合う人、精神的な類似があるというか、似たところのある人を探していて、本当に素晴らしいキャスティングができていると思っています。
MC:西島さんは、村上ワールドの中で主演ということで、ご自分ではどんなことを意識されていったのでしょうか?
西島:村上春樹さんの小説の中で、主人公がずっと心の中を語るんですよね。だから心の言葉というのは本当のことで、それは読者に伝わっているんですけれども、映画の中では自分の心の中を語らないわけで、でも何か常に感情は豊かに持っているんですよね。だから濱口監督と共演者のみんなで、本読みを重ねたりいろんな作業することでたくさんの量の感情を中身に詰めて本番に臨めたので、そのことを意識しましたし、そのことを丁寧にやらせてもらったなという、そういう現場でした。
MC:西島さんと岡田将生さんの車の中での長回しのシーンは感情が揺さぶられましたけど、あのときはどういう思いで撮影に挑んでいたんですようか、岡田さん。
岡田:そうですね。心が豊かになればなるほど、怖くなっていく自分がいて、それを全て見つめてくれている西島さんがいて成立していて、今まで撮影してきた中でも本当に忘れられない撮影で、死ぬまで頭の中で残っていくシーンなんだろうなぁというのは思ってます。…大丈夫ですか? ちょっと、どう言えばいいのか分からなくて(笑)。