【全文掲載】佐藤健「明らかに“デ”ラべっぴんだったんですけど…」アクセントは“デ”か“ラ”か?「デラべっぴん」シーンは現場での意見対立から生まれた!

MC:3兄妹のバトルもありましたけれども、いかがでした?松岡さんと鈴木さんに聞いてみたいと思います。みんなで話し合ったり言い合いしたりというシーンがありましたけれども、印象に残っているシーンはありますか?

松岡:私は皆様に気づいたかどうかお聞きしたいんですけど、私がスナックで雄ちゃん(佐藤演じる雄二)にプチン!と怒るところで、監督が「これを投げてください」って小鉢に入ったピーナッツを持ってきたんですよ。「これを佐藤さんに投げるんですか?」「投げてください」「わかりました」って言って投げてたんですね。何回目かのテイクで佐藤さんの髪のここ(右側頭部)にピーナッツが…(客席の反応を見て)あ!やっぱり!?ありましたでしょ!?あれ、ピーナッツNG出たんですよ。やっぱちょっとピーナッツが気になるって。NGでもう一回撮ったんですけど、使われているのはピーナッツカットだったんですね。監督、やっぱりピーナッツのほうが一番よかったんですね?

白石:ピーナッツがついてるのが最高にかわいくて(笑)。こんなにピーナッツつけてかっこいい人いるかなと思って、あのテイクを使いました(笑)。

鈴木:結局ピーナッツやめようってなってピーナッツ取ったから、その直後のカットからピーナッツついてないんだよね。

佐藤:僕はこうやって取りましたから。

鈴木:取ったっていう設定なの?

佐藤:ええ。

鈴木:ついたとこ、わかったんだ?雄二。

佐藤:まぁ、埋め込まれてたので(笑)。結構痛かったですよ、あれ、実は。

松岡:私は投げたいとは言ってないです。監督が「これを投げてくれ」って。しかもちょっとザラメみたいなのがついて硬いほうのやつだったんですね。コーティングされてるやつ。

佐藤:僕も蔵之介さんにキックした時は、終わった瞬間に「すいません、大丈夫でした?」って、これが普通にあるんですけど、(松岡は)ないのよ!

松岡:あれ!?言いませんでした!?

佐藤:全くないの!むしろ怪訝そうな顔で戻っていかれたのが…(笑)。本番終わっても怒ってたじゃん!

松岡:あのシーンは本っ当に許せなかったんですよ!雄ちゃんが!もういい加減にしてくれって思っちゃった…のです。

佐藤:はい。それはすいませんでした。

松岡:今はもう許したけど…。

佐藤:正直怖かったですよ。耳元で大声で怒られて(笑)。「オラアァァ!」みたいにされて…だから逃げていきました(笑)。

松岡:でも私がどんなに佐藤さんにキレたとしても、やっぱり鈴木さんが、途中お兄ちゃんが最後(仲裁に)入るじゃないですか。やっぱあれが一番怖い!体が大きい!

佐藤:肩をやられる時もボーン!って(笑)。

鈴木:俺は逆に監督にあそこで、雄二に振り払われてバン!ってコケてくれって言われて「どうしよう…。この体格差で俺がコケるにはどうしたらいいんだ…。振り払われてもここで止めるのか」っていろいろ考えた末の、(肩を抑えて少し後ずさりしながら)ははぁ…!って(笑)。かわいかったですけどね(笑)。

佐藤:助けられました…。

MC:MEGUMIさんは鈴木さんを罵倒するシーンも多かったですね。

MEGUMI:そうですね。罵倒してでしかなかったんですけども(笑)。なんでしょう、気持ちを吐露してぶつけることばかりだったんですけど、パッと監督の顔を見たらいつも笑ってるんですよね(笑)。どういうことなんだろう?と思いながら、あれは喜んでいいってことですか…?

白石:MEGUMIさん、流石だなぁと(笑)。いい追い込み方してんなぁと思って笑けてしまいました。

MEGUMI:そういうことだったんですね(笑)。亮平さんが私のことを殴る時もあったんですよね。

鈴木:そうなんですよ。そのアクションもありましたから。

MEGUMI:でもすごく愛情たっぷりの痛いと痛くないのギリギリのところで叩いてくださったのがグッときました。

鈴木:ほんと怖いんですよ。よく言われるのが「あなた、思ってる以上に力があるので」って共演者に現場で言われるんですね。「ちょっと加減してください」って言われることが多くて、でも自分ではわからないから…。

松岡:パーマンなんですね!パーマンも卵割れないから。

鈴木:え?

松岡:パーマン。

鈴木:パーマン?

松岡:パーマンって自分の力がわからないから卵を割れないんですよ。

鈴木:そうなの?あのパーマンがですか?

松岡:だからパーマンの世界ですよね。さっきの喧嘩の話だけど、掴んでる手を離されるんだけど、スルン!って。不可抗力でした。

MEGUMI:パーマンが不可抗力?

白石:ちょっと、パーマンはよくないんで(笑)。

MC:鈴木亮平さんはパーマンだったということで。

鈴木:違う、違う(笑)。

MC:では、もう一つ聞いてみようと思います。今回、それぞれキャラクターを通して家族というものに向き合ったと思うんですけれども、ずばり単刀直入に聞いてみたいと思います。皆さんにとって家族とは何でしょうか?白石監督からいってみたいと思います。

白石:もちろん最も大切なものですし、子供の立場としても親からいただいたものとか、いろんな思いもありますよね。親の立場としても、無償の愛を子供には捧げたいと思いますし、だからこそ家族って面倒くさい、だからこそ愛おしいなと思う存在ですね。

MC:ありがとうございます。MEGUMIさん、いかがですか?

MEGUMI:時として面倒くさいことが多い存在だと思うんですけど、そこが崩れてしまうと自分自身に一番よくない影響があるというか、面倒くさいしいろいろあるし、離れたいとか後回しにしたいとかあるんですけど、最も大事にしないといけない存在なんだなと思っています。

MC:佐々木さん、いかがでしょうか?

佐々木:血が繋がってるとか繋がってないとかいろいろあると思うんですけど、家族というのは共鳴し合えるものなのかなと。辛いことであるとか悲しいことであるとか嬉しいことであるようなことを、同じものに一緒に響き合えるような存在なのかなと思います。

MC:松岡さんはいかがでしょうか?

松岡:私は学校も会社も他人と向き合っていかなきゃいけなくて、戦っていかなきゃいけない時もあって、そういう時に足場になってくれているというか。友達も恋人もきっと時期によって変わっていったりとかって人生であると思うんですけど、そうじゃなくてずっと踏ん張らせてくれる場所かなと思います。

MC:ありがとうございます。では、鈴木さん、いかがでしょうか?

鈴木:最も濃い人間関係かなと思います。一緒に過ごした時間だけではなく、血の繋がり、繋がってないことも含めて家族ってなると、いい意味でも悪い意味でもものすごく繋がっていて、切りたくても切れない、社会の中で一番濃い人間同士の関係性なのかなと思います。

MC:では佐藤さん、いかがでしょうか?

佐藤:えっと…。

鈴木:最後だ…!

佐藤:真面目に答えましょう(笑)。

鈴木:もちろんです。

佐藤:もちろん大切な存在です。それは揺るがないんですけど、僕は今30歳なんですけど、これから自分が家族を築いていくっていう立場についてとらえると、僕にとっては憧れかな。未知の存在でありながら非常に憧れがあります。

MC:ありがとうございました。いよいよお時間が近づいて参りましたので、今日ご来場いただいた方、そしてこれから映画をご覧になる方に、代表して佐藤さんから一言メッセージをいただいていいですか?

佐藤:本日は皆様ありがとうございました!代表してということなので、もしこの映画が皆さんにとって大切な作品になったという思いがあるのでしたら、周りの方になんとか広めていただけたら、我々非常に嬉しく思います。それと、白石さんもおっしゃっていましたけど、何か素直になれなかったり、家族でも誰とでも向き合う時には一度もしかしたらクラッシュする必要がある、クラッシュするぐらいぶつかり合う必要があるのかもしれないと、白石さんが取材でもいつもおっしゃっていて、本当にそうだなと思っていて、僕もなかなか人に自分の素直な気持ちを言えるタイプじゃないので、それはそうしていきたいなと思ったし、皆さんももし何か気持ちを伝えたい人がいるんだったら、クラッシュするぐらいの気持ちでぶつかっていってほしいなと思います。僕からのメッセージです。あとは皆さん、この映画を持ち帰って大切にしていただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました。

MC:ありがとうございました!以上をもちまして舞台挨拶を終了いたします。ありがとうございました!

『ひとよ』
11月8日(金)より全国ロードショー中
監督:白石和彌
原作:桑原裕子「ひとよ」
脚本:髙橋泉
出演:佐藤健 鈴木亮平 松岡茉優 音尾琢真 筒井真理子 浅利陽介 韓英恵 MEGUMI 大悟(千鳥) 佐々木蔵之介 田中裕子
配給:日活

【ストーリー】 どしゃぶりの雨降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはる(田中裕子)は、愛した夫を殺めた。それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて。そして、こはるは、15年後の再会を子どもたちに誓い、家を去った。たった一晩で、その後の家族の運命を変えてしまった夜から、時は流れ、現在。次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)の三兄妹は、事件の日から抱えたこころの傷を隠したまま、大人になった。抗うことのできなかった別れ道から、時間が止まってしまった家族。そんな一家に、母・こはるは帰ってくる。15年前、母の切なる決断と残された子どもたち。皆が願った将来とは違ってしまった今、再会を果たした彼らが辿り着く先とは…。

©2019「ひとよ」製作委員会

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