【全文掲載】有村架純「役と同じで私も知英のことが大好きなので、二人のシーンには本当に癒されて毎日幸せだった」

MC:よろしくお願いいたします。それでは、いろいろとお話を伺っていきたいと思います。さて、この舞台挨拶は上映後となりますので、ネタバレなどは一切気にせず、楽しくたくさんお話を伺っていきたいのですが、まずは有村さんと坂口さんにお伺いします。ドラマの放送終了から1か月を経たずして劇場版の公開が実現しましたが、お客さんに観てもらえる新たな作品ができたことへの率直な気持ちを改めて、そして完成した本作をご覧になった感想を聞かせていただきたいと思います。まずは有村さんからお願いいたします。

有村:ドラマ版はWOWOWというコンテンツでしかご覧になれないんですけども、劇場版となると、今回ありがたいことにたくさんの映画館で上映していただけるということで、どんどん数が増えていっているらしいんですけど、皆さんの力もあって、こんなふうにたくさんの方々にこの作品をお届けできるということがまず何より嬉しくて、その中で約2か月一緒に闘ってきた監督やキャストの方々、スタッフの方々との想いというものが、この作品には本当に詰まっているので、その想いが皆さんの中に届けられる機会が増えたということで、とても幸せに思いました。この2か月は自分なりにこの作品と向き合って、『そして、生きる』というタイトルをものすごく噛み締めた2か月だったんですけど、その中で生田瞳子という役柄と出会って、希望の中でなんて男前で強い女性なんだろうと思って、素直に生きるだけが全てじゃないんだなというのを瞳子からも学びましたし、勉強になる2か月間でした。いろいろ想いがたくさんあるんですけど、率直に言いますと、とにかく幸せだなという気持ちです。完成を観た感想は、また新しい作品ができたなと思っていて、10年間の話を2時間ですか…。

月川:そうですね、135分。

有村:135分にまとめてくださった監督やプロデューサーさんの苦しみとかをものすごく感じで、落とせないシーンがたくさんあったんですけど、その作品をまとめなきゃいけないということで、私はいろんなシーンを全て知っているから「あ、ここのシーンないなぁ」とか「ここのシーンもないかぁ」とか思ったけど(笑)、それは痛いほどに苦しみながらそのシーンをカットしたというのが伝わってきたので、本当に厳選されたシーンがぎゅっと詰まっているので、見ごたえはかなりあるかなと思いました。

MC:監督にはぜひ編集の秘話をたっぷり伺いたいと思うのですが、その前に坂口さんはいかがでしょうか?

坂口:さっきの話と重なっちゃいますけど、本当にいろんな人に観てほしいなぁと撮影しながら思っていましたし、最初に劇場版をやることになりましたと聞いた時にすごく嬉しかったのが、僕も含めてですけど、スタッフさんたちもみんなとても喜んでいて、もちろん悲しいシーンとかキツいシーンとかはあったりするんですけど、みんなが同じ方向を向いて『そして、生きる』という作品のために心血注いでいたので、それは純粋にとても嬉しかったです。約6時間のものを一つの作品にまとめるってやっぱりすごく難しいことだと思うし、さっき有村さんが言ったみたいに、落とさなきゃいけないシーンというのがたくさん存在するだろうから、監督もプロデューサーさんも大変だろうなぁとは思っていたんですよ。改めて2時間になったものを観て、ドラマ版はドラマ版で10年の時間を丁寧に描いていて、今回はぎゅっとした分、時間の経過がすごくわかりやすかったというか、やっぱり観ていて直接シンプルにドカンとくるんですよね。それが映画の良さでもあると思うし、そういうところが印象的に、この作品は映画としてなっていると思うので、おもしろかったという表現があっているのかわからないですけど、とても満たされた2時間だったなぁと思いましたね。

MC:お二人がおっしゃったように、全6話あったドラマを2時間にするというのは本当に大変で、たくさんの想いが込められた中での編集だったと思いますが、監督、そのあたりのこだわった点、ご苦労された点を聞かせていただけますか?

月川:俳優たちのお芝居の間を削ってテンポアップすることはやめようと思っていて、彼らの人生のある場面場面、人生の断片を切り取って見せれば、この前後にきっとこういうことがあったに違いないと想像できるような、そういう豊かな作りにしていきたいんですということで編集をしていって、撮影している段階から、すごいものが撮れてるんじゃないの?という感覚がずっとあって、その撮れたものの大半を削ぎ落としていくという作業だったので苦しかったんですけど、結果、すごく贅沢な濃密な映画ができたなぁという、率直に言うと、すごい映画になりましたという、こういうのは自分で言うのでもないんですけど、自分たちの仕事を褒めたいなという作品ができましたね。