MC：まずは蜷川監督。初のオリジナル作品として太宰と彼に関わった女達の物語を映画化するにあたっての経緯をお聞かせください。

蜷川：最初は人間失格自体の映画化をしないかというお話をいただいて、調べていくうちにこれは太宰本人のほうが、というか本人が相当おもしろくて、三人の女性がそれぞれ手記を残していまして、それを読むにつれてこれは絶対オリジナでハードルは高いですけど作ってみたいとすごく思ったんですね。で、どんどん作っていくうちに、これは絶対に小栗くんしかいないと思ってしまったら、小栗くん以外思いつかなくて（笑）、オファーして今に至るんですけど（笑）。

MC：小栗さんしか浮かばなかったという、そのお話を聞いていかがですか？

小栗：えー…嬉しかったです（笑）。

MC：小栗さんしか浮かばなかったというのは、役者冥利に尽きますよね。

小栗：そうですね。実際に出来上がった脚本を読ませていただいたら、大変そうだな〜…とは思ったんですけど、これをやらなかったらやらなかったで本当に役者としてどうなんだろうと思うぐらい素晴らしい脚本だったので。参加できて良かったです。

蜷川：良かった（笑）。

MC：才気と色気にあふれた最高にセクシーでチャーミングなかつてない太宰治が小栗さんによって作られたと思うんですけれども、実際に演じられてみていかがでしたか？

小栗：楽しい半分、しんどい半分でしたけど、沢尻さんとは、とても素敵なラブストーリーをやらせていただきましたし、ふみちゃんとは、ちょっといろいろドロドロしたり（笑）、（成田演じる）佐倉くんにはだいたい文句を言っている状態だったんですけど。それぞれのみんなと素敵な楽しい時間を過ごせたので、楽しくやらせてもらいつつ、後半に向けてどんどん太宰が追い詰められていくので、それもまた楽しんでいただけたらと思います。

MC：大変さというのはどういったところに感じたのですか？

小栗：太宰はいろいろな人を裏切っていくので、それが積み重なっていくとなかなか精神的にはしんどくなっていって。それが特に現場で家族と一緒にいたりすると…。2人の子供がすごく可愛くて、その子達を前にしながら「お父さん出かけてくるね」なんて言うと、心が痛くなって…。

蜷川：後半しんどそうだったもんね（笑）。

小栗：しんどかったですね。