40年前に約30分もカットされた短縮版で公開されて以来、複雑な権利問題で日本では再公開もDVD発売もできなかった、1970年代屈指の超大作『恐怖の報酬』(1977)が、4Kデジタル・リマスターの【オリジナル完全版】となって、11月24日より日本初公開されることが決定した。
本作は、『フレンチ・コネクション』(1971)でアカデミー賞5部門受賞、『エクソシスト』(1973)で全世界にオカルト・ブームを巻き起こした巨匠ウィリアム・フリードキンによるサスペンス巨篇。仏映画の名作、H=G・クルーゾー監督の『恐怖の報酬』(1953)のリメイクというフリードキンの大胆かつ入魂の企画に、ユニバーサルとパラマウントの2大メジャー・スタジオが破格の200万ドル(現在の100億円相当)の巨費を共同出資。ロケは3大陸5ヶ国に及び、2年を超える製作期間を費やした。
しかし、1977年6月の全米初公開時、空前の『スター・ウォーズ』ブームの直撃を受け興行的に失敗。日本をはじめ北米以外では、監督に無断で約30分カットされた92分の【短縮版】が配給され、正当な評価を受けることなく公開終了。さらには2大メジャーの共同出資が原因で権利者不明状態に陥り、長きにわたって全世界的に上映不可、北米以外ではDVDも発売されなかった。そんな状況に業を煮やしたフリードキンは、2011年に自らスタジオ2社を提訴し権利者を特定、2013年に121分【オリジナル完全版】の4Kデジタル修復に着手した。同年にヴェネツィア映画祭でプレミア上映され、以後、2014年LA、2015年パリ、2016年カンヌ映画祭、2017年ロンドンなどで上映、欧米各地で再評価の嵐を巻き起こした。
人生の底から這い上がるために命を賭けた男たちの運命を冷酷非情なリアリズムで描き切った本作は熱狂的なファンも多く、ホラー作家スティーブン・キングは「人生で最も好きな映画」と公言(※2017年12月8日付、bfi.org.ukより)、クエンティン・タランティーノ監督は自身のオールタイム・フェイバリット12本の1本に選出している。
『恐怖の報酬』【オリジナル完全版】
11月24日(土)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
監督・製作:ウィリアム・フリードキン
原作:ジョルジュ・アルノー
脚本:ウォロン・グリーン
音楽:タンジェリン・ドリーム
出演:ロイ・シャイダー ブルーノ・クレメル フランシスコ・ラバル アミドゥ
配給:コピアポア・フィルム
【ストーリー】 南米奥地の油井で大火災が発生。祖国を追われ、その地に流れてきた4人の犯罪者は、1万ドルという「報酬」と引き換えに一触即発の消火用ニトログリセリン運搬を引き受ける。2 台のトラックに分乗した男たちは、道なき道を300キロ、ジャングルの奥へと進んでいくが、その先に待ち受ける彼らの運命とは―?
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