自殺防止活動に取り組む僧侶の日常を追ったドキュメンタリー映画『いのちの深呼吸』が9月8日より公開されることが決定し、併せてポスタービジュアルと予告編がお披露目となった。さらに、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。
監督は、デビュー作「After Tiller」(2013年/Martha Shane共同監督)でエミー賞を受賞したラナ・ウィルソン。雑誌「The New Yorker」に掲載された自殺防止活動に取り組む僧侶・根本一徹の存在に魅了され、日本を訪れ3年半にわたって撮影を敢行した。本作では、根本の日常を通して、アメリカ人である監督が日本社会の“現実”を浮き彫りにしていく。また挿入曲には、坂本龍一とクリスチャン・フェネスがコラボレーションした楽曲が起用されている。
著名人 コメント
■坂本龍一(音楽家)
新鋭の女性監督、ラナ・ウィルソンは本作を通して「心に耳をひらく」ことの大切さを描きたかったのではないか。静かで強いドキュメンタリー映画だ。
■茂木健一郎(脳科学者)
この困難な時代に、『いのちの深呼吸』は希望の灯火のような映画だ。
■春日武彦(神経科医)
ギブアップする場面があって驚かされた。その苦しげな表情。「死ぬ以外の選択肢」を、自ら体現してみせつつ真摯に向き合う以外に方法はないだろう。でも、それすら万能ではない。そんなことなど百も承知で、彼は戦い続ける。誰にも真似はできない。
■田中圭一(漫画家/「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」)
死への魅力に取り憑かれている人たちを救おうとする僧侶・根本さん。彼自身が、まだ悟りの途上にあって、生きることの意味を探っている。その苦悩も含めて「命」の在り様について深く考えさせられました。
■末井昭(エッセイスト/「素敵なダイナマイトスキャンダル」「自殺」)
死にたいと言う人を前に、何も言えない僧侶、しかし、連絡があれば駆けつける僧侶、困惑する僧侶、悩める僧侶、そんな僧侶を初めて見た。
■信田さよ子(原宿カウンセリングセンター所長)
自殺という重いテーマについて、監督は登場人物を美化せず赤裸々に描き出す。見る者に残されるのは、ひとは自分を救うために他者を救うのかという問いかけである。
『いのちの深呼吸』
9月8日(土)よりポレポレ東中野にて公開
監督・製作:ラナ・ウィルソン
挿入曲:クリスチャン・フェネス+坂本龍一
出演:根本一徹
【作品概要】 岐阜県。大禅寺の住職、根本一徹のもとには、全国の自殺志願者からのSOSが昼夜問わずに届く。日常生活で徹底的に追いつめられ、誰も頼れない彼らのもとに根本は駆けつけるが、特別なことはしない。じっと話を聞き、一緒に食事をしたりして、さりげなく寄り添うだけだ。それでも彼らは根本の存在に安堵し、いのちの深呼吸をするように、少しずつ生気を取り戻す…。根本も身近な人間を自殺で亡くしていた。心臓に病魔を抱えながら、大量のメールや電話に心身は限界にきていた。いったい何が、彼を突き動かしているのか―。
(C)DRIFTING CLOUD PRODUCTIONS, LLC 2017