山形国際ドキュメンタリー映画祭2017にて、小川紳介賞を受賞したドキュメンタリー映画『乱世備忘 僕らの雨傘運動』が7月14日より公開となる。このほど、予告編がお披露目となり、併せて各界著名人より本作を応援するコメントが寄せられた。
2014年9月26日から、香港の高校生や大学生たちが中心となり、“真の普通選挙”を求めて行われた「雨傘運動」。1997年の香港返還以後に育った若者たちは、基本法の“一国二制度”に基づき保障された“高度な自治”が揺るがされるのを目の当たりにし、香港人としてのアイデンティティを強く意識する。メガホンを取った陳梓桓(チャン・ジーウン)監督もデモの前線に立った本作では、未来の自由を求め立ち上がった若者たちの情熱が綴られていく。
著名人 コメント
■いとうせいこう(作家・クリエーター)
香港、加油(がんばれ)!民主、加油!人間、加油!
■巖谷國士(仏文学者・批評家・作家)
いまの日本にとって必要な映画だ。学生や労働者は笑顔をうかべつつ、同調も萎縮もなく未来のために闘う。デモ集会もテント生活も一種の祝祭に見える。制服のまま加わってくるすてきな少女中学生!
■港千尋(写真家・著述家/著書「革命のつくり方」)
この映画を見るとき、あなたはデモの一部になる。学生たちと警官隊の間の距離は数センチ。カメラはそのわずかな空間に入り、そこでしか知ることの出来ない事実、そこでしか聞くことの出来ない怒り、そこでしか感じることの出来ない恐れを、伝える。殴られ、ガスを浴びせられ、倒れ、そして助けられながら、それでもなお彼らは路上にとどまる。何のために?命がけでも守らなければならない、大切な言葉があるからだ。そのわずかな空間に集まった若者たちにとって、すべての言葉は「自由」と同義である。いま映画はその空間を、世界中へ開いてゆこうとしている。映画の広場へ向かおう。注視すること、それは抵抗の第一歩である。
■西原孝至(映画監督/『わたしの自由について~SEALDs 2015~』監督)
あの日あの時、路上であがった無数の声が、過去と未来を貫き、香港の空にこだまする。世界中の、自由を求めて立ち上がる人々を、鼓舞するように。
■オカモト“MOBY”タクヤ(SCOOBIE DO)(ミュージシャン)
雨傘革命で何がおきていたのか、正に知りたかった内容でした。そしてあの登場人物たちのあの感じ、正にボクの大好きな「香港」でした。
■遠藤ちひろ(多摩市議会議員/著書「市議会議員に転職しました」)
香港の若者たちが自由のために立ち上がったエネルギー。そしていま若者たちは新党を立ち上げて闘っています。現代日本の地方自治にぶつけてみたい思いに駆られました。
『乱世備忘 僕らの雨傘運動』
7月14日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
監督:陳梓桓
配給:太秦
【ストーリー】 僕が生まれる前、1984年に香港が1997年に中国に返還される事が決まった。2014年、香港にはいまだに民主主義はない。自分たちで香港の代表を選ぶ「真の普通選挙」を求めて若者が街を占拠した、雨傘運動。同じ「香港人」であるはずの警官たちからの浴びせられる催涙弾に皆が雨傘を手に抵抗し、僕はカメラを手にデモに向かった。そこで映画の主人公となる仲間たち、大学生のレイチェル、ラッキー、仕事が終わってからデモに駆けつけてくる建築業のユウ、授業のあと1人でデモに来た中学生のレイチェルたちに出会った。香港の街が占拠され、路上にはテント村ができ、自習室ではラッキーの英語無料教室が開かれた。テントをたて、水を運び、そして夜は一緒にマットを敷いて路上に寝る日々。討議がまとまらず言い争いになると「これが民主主義」だと、皆で笑いあう。こんな香港を見るのははじめてだった。香港に暮らす「普通」の僕たちが、「香港人」として「香港の未来」を探した79日間の記録―。当時27歳だった陳梓桓(チャン・ジーウン)監督が仲間たちと過ごした、未来のための備忘録。
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