昆虫型生命体“バグ”と人類の戦争をポール・バーホーベン監督が描いた90年代を代表するSF映画『スターシップ・トゥルーパーズ』。いまだ根強いファンに支持されているこの作品の公開20周年を記念して製作されたシリーズ5作目となる劇場版長編フルCG映画『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』が2月10日に公開される。それに先だち、1月27日にApple銀座で開催された「Perspectives」に、荒牧伸志監督と松本勝監督、コンセプト・アーティストの臼井伸二が登壇し、トークセッションを行った。
「Perspectives」は影響力のあるクリエイターたちが自身のクリエイティブな制作過程を語ったり、才能を披露するToday at Appleの人気プログラム。3人からは映画『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』の製作秘話から、フルCGならではの創作の現場や裏話についてたっぷりと語られた。また、会場に集まった観客の質問にも回答し、大盛り上がりのイベントとなった。
■本作製作の経緯、役割分担について
製作の経緯を荒牧監督が語る。「たまに、公開前でもまだ出来上がっていないということもあるのですが(笑)、吹き替えをして出来上がっていますので、今回は落ち着いた初日を迎えると思います。製作の経緯としては、2015年の頭に、ソニーのプロデューサーから、前の作品の続きを作らないかという話があり、始めました。前作の興行収入がよかったのと、エド(脚本家)がインベンションを見て、またやろうよと言ったからだと思います。全員SOLA DIGITAL ARTSに所属しています。エドに会う前にまずどうやりたいかを考え、2015年夏にソニーとミーティングしたら、反応がよかった。上がってきたシナリオをベースにしてスカイプでやりとりした。なかなか出来上がってこないときはスカイプ中に喧嘩にもなったりもしました(笑)。その段階から臼井さんに絵にしてもらって、物語を膨らましていきます」。臼井氏「脚本には映画の舞台となる火星等、キーワード的要素、情報はあるので、聞きつつ膨らませていきます」。松本監督「前作はスーツ、マローダ等もありましたが、今回はそこまでやらず、クオリティをアップしていきました。メカのおもしろさを膨らませようと考えました。従来だと肩の可動域が狭くなりますが、そこを薄くしてランチャーを付ける等しています」等コメントしていた。
■映像ができるまでの工程など
絵コンテに関して荒牧監督は、「1枚の紙に4、5コマの絵が描かれ、脇にショットの内容を文字で表します。全部で1300ショット程度、400ぺージになります。映像としての設計図です。松本さんはきっちり書くけれど、僕はいい加減です」と語り笑いを誘っていた。また「臼井さんがアイデアを100出してくれても、使われるのは10~20ぐらいです。エドやプロデューサーが出したのも却下でした。ただ、大量にバグを登場させるなど、当初からやりたかったことは守れるように考えてきました」と語る。モーションキャプチャーは、「アメリカから俳優をオーディションで呼んで200時間ぐらいの撮影を行いました。黒いもじもじくんのような衣装を着て、身体に光るマーカーをつけ、カメラを30~40台の前で動いてもらいます」。またフェイシャルキャプチャーも、「顔と頭にカメラを直接つけて行います。表情のある役者を選ばないと、表情が出ません」と荒牧監督は語る。松本監督は、「CGで映像を作る作業は、派手なようですが、実は泥臭くて地味です。バグが大量にやってくるシーンは、ワンシーン1~2日かかっていますから」と語る。荒牧監督、松本監督、そして臼井が製作サイドの強い思いを語ると共に、製作現場のスタッフの努力と現場に携わる魅力が明かされた大盛況のイベントは幕を閉じた。
『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』
2月10日(土) 2週間限定全国ロードショー(吹替版のみ)
監督:荒牧伸志 松本勝
出演:小山力也 上坂すみれ 小野賢章 喜多村英梨 内田彩 寺島惇太 =LOVE
配給:KADOKAWA
【ストーリー】 はぐれ小隊VSバグVS連邦軍、火星を制するのは誰だ!舞台は地球の植民惑星となった火星。戦争とは無縁のこの星で、歴戦の猛者リコは“はぐれ小隊”と呼ばれる落ちこぼれ新兵の訓練に当たっていた。だが、平和であるはずの火星に、突如バグの群れが出現する。背後には、地球の総司令官の陰謀が潜んでいた。戦士の自我を取り戻すため、そして火星を守るため、リコははぐれ小隊を率いて立ち上がる。先に待つのは救済か、地獄か?!
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