是枝裕和「ケン・ローチ監督の存在こそが映画にとっての希望」分断の時代に問いかける渾身作『オールド・オーク』著名人コメント

ケン・ローチ監督の最新作『オールド・オーク』が、4月24日(金)より全国公開される。本作は『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』に続く“イギリス北東部3部作”の最終章であり、2023年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品、さらにロカルノ国際映画祭で観客賞を受賞した注目作だ。

今回、新たに著名人からのコメントが解禁。映画監督の是枝裕和、ラッパー/ラジオパーソナリティの宇多丸、音楽プロデューサーの松尾潔、英文学者の北村紗衣らが絶賛の言葉を寄せている。是枝は「彼の存在こそが映画にとっての希望」と語り、宇多丸も「2026年の日本社会に生きる我々自身への問い」と本作の普遍性を強調。分断が広がる現代社会に鋭く切り込むテーマが、多くの共感を呼んでいる。

物語の舞台は、イギリス北東部の炭鉱の町。かつて活気に満ちていた町で、唯一残るパブ「オールド・オーク」は、人々の拠り所として存在していた。しかし、シリア難民の受け入れをきっかけに、町には軋轢が生まれ、パブもまた対立の場へと変わっていく。店主TJは、カメラを手にしたシリア人女性ヤラと出会い、次第に友情を育んでいくが、互いの理解と共存という難題に直面することになる。

ローチ監督は、実際の出来事に着想を得ながら、「異なるコミュニティが隣り合って生きる現実」を描き出す。戦争によるトラウマと、地域社会の不安や怒りが交錯する中で、人はどのように他者と向き合い、希望を見出すのか──本作はその問いを静かに、しかし力強く突きつける。

【著名人 コメント】
■是枝裕和(映画監督)
世界でも、日本でも至る所に蔓延している人と人の「分断」。この最も厄介な手に負えない病巣を前にしてもケン・ローチは諦めない。『オールド・オーク』は人と人が差異を超えてどうしたら共に生きられるかを正面から問い続ける。これほどまでに一貫した「眼差し」を世界に、人間に向け続ける彼の存在こそが、映画にとっての希望であると改めて確信した。

■宇多丸(RHYMESTER)
押しつけられた理不尽に苦しむ者同士、噛みつき合うのか、助け合うのか、それとも黙ってやり過ごすのか……それは明らかに、2026年現在の日本社会に生きる、我々自身にも向けられた問いだろう。ケン・ローチ渾身のまたしても大傑作、劇場公開されて、本当に良かった!

■松尾潔(音楽プロデューサー・作家)
ローチが見つめるのは、難民そのものではない。「分断を生む社会の構造」だ。怒りと不信の底に、なお残る連帯の可能性を探る。2016年の英国北東部を描いたこの物語が、2026年の日本に重なって見えるとき、私たちは何を選び取るのか。

■北村紗衣(英文学者)
パブはpublic house、つまり「公共の家」という単語からきています。お酒を飲むだけではなく、人々が集まるコミュニティの中心としての公共的な機能を持っています。そんなパブが地域社会のためにどういう機能を果たせるのか、果たすべきなのかを描いた映画です。

▼ケン・ローチ

■作品情報
『オールド・オーク』
2026年4月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ
出演:デイヴ・ターナー、エブラ・マリ、クレア・ロッジャーソン
2023年/イギリス、フランス、ベルギー/113分/英語・アラビア語/カラー
原題:The Old Oak
配給:ファインフィルムズ
映倫:G

© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023