「なにこの構造。」上田誠が“映画そのもの”を描く下北沢発・青春ギミック映画『君は映画』2026年公開決定

『ドロステのはてで僕ら』『リバー、流れないでよ』で、場所と構造を巧みに掛け合わせた独創的な物語世界を生み出してきたヨーロッパ企画代表・上田誠が、満を持して映画監督デビューを果たす。オリジナル長編映画『君は映画』が、2026年に全国劇場公開されることが決定した。

本作の舞台は、下北沢に実在するビル「シェルボ下北沢」。その2階にあるミニシアター・トリウッドを中心に、映画館と街、そして人々の人生が交錯する、かつてない“構造”を持った青春映画が描かれる。上田監督自身が“一角コメディ”と名付けた本作は、下北沢の「一角」に徹底的にあて書きされた、空間と物語が密接に絡み合う意欲作だ。

物語の主人公は、下北沢で劇作家として活動するマドカと、三軒茶屋でバンド活動を続けるカズマ。二人はそれぞれ、何気なく映画を観るためにトリウッドを訪れる。しかしその瞬間から、ありえない出来事が起こり始める。スクリーンに映し出されたのは、なんと“お互いの出来事”。自分の人生が映画となり、誰かに観られているという奇妙な状況が生まれてしまうのだ。

さらに、映画館の両隣に位置するライブハウス「グッドヘブンズ」と「三日月ロック」でも、切迫した問題が発生。マドカとカズマは、この不可思議な“構造”を利用しながら事態の解決に奔走するが、二人の人生=映画は次第に干渉し合い、予測不能な方向へと転がっていく。やがて物語は、観る者の想像を軽々と飛び越える“斜め上”の展開へ――。

「2分の時差でつながった空間」や「時間がループする旅館」など、これまで数々の構造的仕掛けで観客を驚かせてきた上田誠。本作では、映画館という“映画を観る場所”そのものを物語の装置として取り込み、「映画を観るとは何か」「人生は誰のものか」という問いを、SFとコメディ、そして青春の熱量で描き出す。

W主演を務めるのは伊藤万理華と井之脇海。伊藤は、上田作品の世界観を体現するかのような劇作家・マドカ役を、軽やかさと切実さを併せ持って演じる。一方、井之脇が演じるバンドマン・カズマは、音楽と現実の狭間でもがく青年像を瑞々しく表現。そのほか、石田剛太、金丸慎太郎、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、永野宗典、藤谷理子らヨーロッパ企画のメンバーが集結し、下北沢という街の多様な顔を立体的に浮かび上がらせる。

あわせて解禁されたティザービジュアルは、トリウッドの館内で映画を観るマドカとカズマを左右に分割した印象的な一枚。「なにこの構造。」というコピーが示す通り、本作の最大の魅力である“構造そのものが物語になる”感覚を、鮮烈に印象づけている。

映画を観る私たち自身も、また映画に観られている――。そんな逆転の発想と、映画への深い愛情が込められた『君は映画』は、映画ファンにとって忘れがたい体験となりそうだ。 

■作品情報
タイトル:『君は映画』
公開日:2026年全国公開
監督・脚本:上田誠
出演:伊藤万理華、井之脇海 石田剛太、金丸慎太郎、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、永野宗典、藤谷理子 ほか
製作:ヨーロッパ企画/トリウッド

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