吉永小百合「これからも一歩ずつ歩いていきたい」『てっぺんの向こうにあなたがいる』合同会見で語った人生と挑戦への思い

2025年10月31日に公開される映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』の合同記者会見が大阪で行われ、主演の吉永小百合、共演の天海祐希、そして阪本順治監督が登壇した。本作は、女性として世界で初めてエベレスト登頂を果たした登山家・田部井淳子の壮絶な人生を描く感動のドラマ。女性初のエベレスト登頂から50周年を迎える節目に、阪本監督と吉永が13年ぶりにタッグを組む。

冒頭の挨拶で吉永は、「20代の頃は山が大好きでよく登っていましたが、次第にスキーに転向してしまいました。そんな私が田部井さんにお会いしてすっかり魅了され、このような形で作品に関われるのが嬉しい」と笑顔を見せた。さらに「田部井さんの“愛好者です”という言葉に心を打たれました。どんなに大きな挑戦の中でも謙虚で、朗らかでいらっしゃる。その姿勢をしっかり演じたいと思いました」と語り、尊敬と感謝の気持ちを込めて役に挑んだことを明かした。

北山悦子を演じた天海祐希は、「悦子さんは純子さん(田部井さん)に心から憧れていた人。私自身の小百合さんへの想いと重なっていました」とコメント。さらに「“吉永の丘”と呼ばれる丘を小百合さんと一緒に登れたことが奇跡のようで、一歩一歩をかみしめながら撮影しました」と語り、現場の温かな空気を振り返った。

阪本監督は、富士山での過酷な撮影を振り返りながら「天候に恵まれず、『これは4日目の奇跡を狙うしかない』と挑んだ朝、夫婦の素晴らしい場面が撮れた時に“この映画は上手くいく”と確信しました」と手応えを語った。また、青年期の純子を演じたのんについて「吉永さんのデビュー当時の写真を見たとき、目元がそっくりで驚きました。演技のリズムも吉永さんを観察してつかんでいた」とキャスティングの理由を明かした。

夫・正明役の佐藤浩市との共演について吉永は、「浩市さんは高所恐怖症と仰っていましたが、七合目では力強く私を引き上げてくださいました。きっと“三味線”だったのでは(笑)」と会場を笑わせた。「料理のシーンでは浩市さんが大根の面取りまでしてくださって、本当に頼もしい夫婦として演じることができました」と微笑んだ。

会見の最後、吉永は「田部井さんは“人生、八合目からがおもしろい”とおっしゃっていました。私もそのあたりに差しかかっています。これからも一歩ずつ、田部井淳子さんのように歩いていきたいと思います」と力強く語った。天海は「この映画を通して“自分の信じた道を一歩一歩歩む大切さ”を感じてほしい」、阪本監督は「高校生など若い世代にも見てほしい。これは“あなたたちの映画”でもあります」と、それぞれの想いを込めて締めくくった。

■作品情報
タイトル:てっぺんの向こうにあなたがいる
公開日:2025年10月31日(金) 全国公開
出演:吉永小百合、のん、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、茅島みずき、天海祐希、佐藤浩市
監督:阪本順治
脚本:坂口理子
音楽:安川午朗
原案:田部井淳子「人生、山あり“時々”谷あり」(潮出版社)
製作:「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会
配給:キノフィルムズ

©2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会