『アクト・オブ・キリング』『ルック・オブ・サイレンス』で世界的に高い評価を得たジョシュア・オッペンハイマー監督が、初の長編フィクションに挑んだ最新作『THE END（ジ・エンド）』が12月12日（金）より全国公開されることが決定した。主演はティルダ・スウィントン。共演にジョージ・マッケイ、マイケル・シャノンら実力派キャストが名を連ねる。

本作の舞台は、環境破壊によって地上が居住不可能となってから25年後の地球。豪華な地下シェルターで暮らす富裕層の家族のもとに、外の世界からひとりの若い女性が訪れる。その出会いをきっかけに、孤立したまま日常を守ってきた家族の脆い均衡が崩れ、やがて彼らは自らの過去と存在の真実に直面していく。

母親役を務めるのはティルダ・スウィントン。息子役をジョージ・マッケイ、父親役をマイケル・シャノンが演じ、それぞれが劇中で美しい歌声を披露する。終末世界の静謐な狂気と、愛や罪、贖いが交錯するミュージカルナンバーが、観る者を圧倒する。

公開されたメインビジュアルでは、母親役のティルダ・スウィントンが優雅に鎮座し、その周囲に父親、息子、執事、医師らが並ぶ“家族”の姿が描かれている。地下シェルターとは思えぬほど豪奢で、しかしどこか不調和な衣装や調度品が、彼らが暮らすいびつな世界を一層際立たせている。

オッペンハイマー監督は、本作の構想についてこう語る。「『アクト・オブ・キリング』の後、インドネシアに戻ることができなくなった私は、世界中の“富を蓄える支配者たち”を調査しました。その中で、家族のために防空壕を購入した石油王に出会ったんです。その場所を訪れたとき、罪悪感や過去、そして現実逃避について多くの問いが浮かびました。」

監督はその体験をもとに、“防空壕で暮らす家族”という発想を得たという。そして帰路に観たジャック・ドゥミの名作ミュージカル『シェルブールの雨傘』が、本作の決定的なインスピレーションとなった。「25年後の地下シェルターで暮らすアメリカ人家族を通じて、アメリカ的本質――“絶望的否認と希望”――を描こうと思ったのです。」

■作品情報
タイトル：『THE END（ジ・エンド）』
監督・脚本：ジョシュア・オッペンハイマー
脚本：ジョシュア・オッペンハイマー、ラスムス・ハイスターバーグ
出演：ティルダ・スウィントン、ジョージ・マッケイ、モーゼス・イングラム、ブロナー・ギャラガー、ティム・マッキナリー、レニー・ジェームズ／マイケル・シャノン
原題：The End
製作年／国：2024年／デンマーク・ドイツ・アイルランド・イタリア・イギリス・スウェーデン・アメリカ合作
上映時間：148分
配給：スターキャットアルバトロス・フィルム
宣伝：東映ビデオ
字幕翻訳：松浦美奈
公開日：2025年12月12日（金）
公開劇場：ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国

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