第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品作品『遠い山なみの光』の本予告編とメインビジュアルが、7月16日(水)に一斉解禁された。長崎の山なみを背にたたずむ悦子(広瀬すず)と佐知子(二階堂ふみ)、そして30年後に英国で暮らす悦子(吉田羊)の姿が幻想的に描かれる本ビジュアルは、“あの夏に隠された切なすぎる真実”を予感させる仕上がりとなっている。
原作は、1989年にブッカー賞、2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの長編デビュー作「遠い山なみの光」。映画化を手掛けたのは、『ある男』(2022)で日本アカデミー賞最優秀作品賞など最多8部門を受賞した石川慶監督。主演に広瀬すずを迎え、二階堂ふみ、吉田羊、松下洸平、三浦友和ら実力派俳優陣が共演する。
公開された本予告編は、カズオ・イシグロの印象的な一節から幕を開ける。「人間はね、ときに他人を欺くためではなく、自分を騙し、困難な真実から目を背けるために嘘をつくんですよ。」
1980年代のイギリスで暮らす悦子(吉田羊)は、娘・ニキ(カミラ・アイコ)に「長崎のことを聞かせて」と問われ、封印していた過去を語り始める。そこには、戦後の長崎で出会った佐知子(二階堂ふみ)とその娘と過ごしたひと夏の記憶があった。しかし、母の語る物語に違和感を覚えたニキがひとこと「嘘」と言い放った瞬間、画面は一変し、悦子の過去に隠されたもうひとつの顔が浮かび上がる。
「私がついた嘘」という言葉に重なるように、登場人物たちの感情が激しく交錯し、“あの夏”に封じ込められた切なすぎる真実が少しずつ明かされていく。ラストに悦子が「大丈夫ね、希望があるとやもん」と呟くセリフは、全編を貫くテーマを象徴するかのように心に残る。
本作は、1950年代の長崎と1980年代のイギリスという2つの時代を舞台に、過去と向き合うことの困難さと、それでも前へと進もうとする女性たちの姿を描く。今を生きる観客に、時代を超えて響く“生きる力”と“希望”を届ける、珠玉のヒューマンミステリーとなっている。
▼予告編
■映画情報
タイトル:遠い山なみの光
公開日:2025年9月5日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
原作:カズオ・イシグロ「遠い山なみの光」(ハヤカワ文庫/訳:小野寺健)
監督・脚本・編集:石川慶
出演:広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、カミラ・アイコ、松下洸平、三浦友和 ほか
上映時間:123分
配給:ギャガ
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