認知症の祖母と、突然その介護をすることになったソープ嬢の交流と葛藤、そして結びつきをコミカルに描き出すヒューマンドラマ『うぉっしゅ』が、2025年GWに公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルが披露された。
ソープ店で働く主人公・加那の元にある日、母から電話がくる。「一週間だけ、おばあちゃんの介護してくれない?」。仕事のことを隠していた加那はそれを誤魔化そうとした末、実家とソープ店を行き来して“人の身体”を洗い続ける二重生活“ダブルワーク”をすることとなってしまう。認知症が進み、名前すら覚えていない祖母・紀江の介護に奮闘する加那。会うたびに“初対面”を繰り返していく2人だが、「どうせ忘れる」相手に対し加那は仕事のことを自由に打ち明けられることに気付き、徐々に心を近付けていく。すると祖母の知らなかったこれまでの人生と孤独が垣間見え、加那は自分自身のことを見つめなおし始める。
ソープ嬢・加那を演じるのは映画『暁闇』、『窓辺にて』や、テレビドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」に出演してきた中尾有伽。女優・モデルにおさまらず、写真展を開催するなど、その活躍は多岐に渡り、2025年大注目の存在である。本作では企画段階から参加し、脚本や役柄について監督とディスカッションを重ねてきた。監督の熱烈なオファーもあり、認知症の祖母・紀江役には8年ぶりの映画主演となる研ナオコ。更に嶋佐和也(ニューヨーク)、中川ゆかり、髙木直子、磯西真喜などお笑い芸人からベテラン勢に加え、TikTokerとしても活動している重松文など多彩な面々が出演する。また、クリエーターチーム「こねこフィルム」が作った「年齢確認」シリーズでの演技で注目の赤間麻里子が物語を彩る。
メガホンを取ったのは、2023年に『安楽死のススメ』で監督デビューを果たした岡﨑育之介。本作で2024年の大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門への入選を果たした岡﨑は、自身もウェス・アンダーソン監督『犬ヶ島』への出演など俳優としての経験も持つ。
ポスタービジュアルは、仕事ではソープ嬢として、プライベートでは介護として“人を洗う”二重生活を送る加那の姿がそれぞれ半分ずつ切り取られたインパクト大のビジュアル。下部には笑顔を浮かべ街を駆け抜ける2人の姿も確認できる。「介護」「孤独」というセンシティブで深刻になりがちなテーマを軽やかに描き出す本作に相応しい、ポップでカラフルなポスタービジュアルに仕上がった。
▼キャスト&スタッフ コメント
■中尾有伽(加那役)
出来上がった映画を初めて観たとき「クレヨンしんちゃん」みたいだなと思いました。主人公に自分を重ねてもいいし、友情、恋愛、家族の視点もあって、幅広く届くものになっている。皆さんそれぞれの心には、どんなポイントが刺さるのか、私も楽しみにしています。
■研ナオコ(祖母・紀江役)
今回、岡﨑監督からオファーをいただいて、監督の経験と人柄を知り、お話を聞いていくうちに「私に対して妥協するなら出ません」と言う答えになりました。久しぶりに心に通じる何かを感じたからです。私はいつもと変わらず一緒なんですけどね。完成した作品を初めてスクリーンで観た時は撮影現場での事をいろいろ思いだしました。現場ではお互い納得のいくところまで話し合い、撮影に挑みました。勿論現場の雰囲気作りも大事ですからね。観ていただいた方に何か一つでも心に引っかかるものがあったら嬉しいです。
■岡﨑育之介(監督)
新しい芸能界を作りたいと思っています。日本の作品は暗すぎる。みんなそんなものばかり見たいのか?もうそんな時代じゃなくていい。だから、僕が時代を始めます。後に語られる“明るかった時代、令和”を、この映画『うぉっしゅ』から始めます。ジメッとしたテーマこそ「明るくポップなエンタメ作品」に。研ナオコさんのキャラクターさながら映像も音楽もカラフルで、肩に力を入れず笑って泣いて、楽しく観られないと意味がない。そして映画館の帰り道に、ちょっぴり難しいことも考えてみる。「洗うこと・忘れられること」ソープ嬢が認知症のおばあちゃんの介護をする。血の繋がった2人が“初対面”を繰り返す家族の物語。大切な人は、いつまであなたを覚えていられるでしょうか。
『うぉっしゅ』
2025年GW 新宿ピカデリーにて公開
監督・脚本・企画・編集:岡﨑育之介
出演:中尾有伽 研ナオコ
配給:NAKACHIKA PICTURES