震災の記憶を胸に抱えた少女は、いつしか母になった『海鳴りがきこえる』10月公開

3.11から12年、その以後の人生を描くヒューマンドラマ『海鳴りがきこえる』が、10月28日より公開されることが決定。併せて、メインビジュアルがお披露目となり、岩崎孝正監督、キャストの中村守里、内村遥よりコメントが寄せられた。

震災ですべてを失った女性は、母になり家族をもった。幸せを求めた彼女は、何故また被災地に戻ったのか。元写真家の理子奈は、愛息、大地の子育てに追われる毎日を過ごしている。東北の被災地出身の彼女は、震災で家族が離散した過去があった。だからこそか、自分の理想的な家族を作ることに執着しているが、夫の知久とぶつかり、噛み合わない日々が続いていた。そんな折、 父親のように慕って師事していた写真家の浩志が、緊迫した情勢のベラルーシに難民取材に行くと連絡が入る。父親を失うような気持ちでいる最中、知久が浮気をしていることを知る理子奈。苦悩のなかで、本当に自分がすべきことは何かと自問しながら、やがて、彼女は東北の被災地へ車を走らせていく。

監督は、長編劇映画が初となる岩崎孝正。福島県相馬市出身の岩崎は、3.11の震災以降、故郷の映像を撮り始め、2015年にドキュメンタリー『自然と兆候/4 つの詩から』を完成させる。以降も災害や公害についての短編作品を送り出してきた。主演、理子奈役を演じたの は、『アルプススタンドのはしの方』(20)をはじめ、数々の映画に出演、『まなみ100%』(23)も控える注目の若手俳優、中村守里。夫・知久役は、近年、映画の出演に加えてドラマにも幅広く出演する内村遥が演じている。3.11の震災から 12年…その以後の人生を描くヒューマンドラマがここに完成した。

メインビジュアルには、理子奈がカメラのファインダーをのぞく印象的な表情が採用され、「“あの日”すべてが変わっ た― 私も、世界も。」とキャッチコピーが添えられている。また下方には、津波で家屋が壊滅した被災地の写真も配置されており、震災が、彼女の以後の人生に深く影を落としていることが伝わってくる。

▼キャスト&スタッフ コメント

■中村守里(理子奈役)
主人公理子奈も演じる私も、毎日一つ一つのシーンがいろんなこととの戦いでした。積み上げてきた現実が足元から揺らぎ出す過程を目の当たりにした時、あるはずの色彩が消え世界が灰色へと一変する。そこでの景色の日常は苦しく孤独で心のシャッターは閉じてしまいます。ただただ幸せになりたいと願っているのに。それでも癒えない傷は時間をかけて修復していってほしい。狂いながらも必死に立ち向かおうとした人間は、儚く脆く、そして最後には美しいとも感じました。

■内村遥(知久役)
「浪江のおばちゃん」という名前で呼ばれていたおばちゃんの「浪江」というのが福島の土地の名前だったと知ったのは震災があってから。なんとも恥ずかしい話でありますが、結果的に私は親戚が暮らした土地を訪れることなく今日も暮らしています。一瞬のうちに故郷を離れることになった方々の苦しみは想像にも及びません。この作品では、体験したもの、体験しなかったものの超えることのできない距離感を表現できたらと思いました。ご覧いただけたら嬉しいです。

■岩崎孝正(監督)
東日本の大震災から12年が経ちました。まだ傷の癒えることがない女性を通して、震災によって引き起こされた人生の破滅と、それでも、再生の一歩を踏み出す人間を描きました。多くの人間の人生が変わってしまいました。しかし誰にでも起こり得る事柄です。この作品では、みんなが抱えているかもしれない日常に潜む物語として、震災を扱っています。人生の破滅と再生のドラマを、ぜひ劇場で体感していただければとおもいます。

『海鳴りがきこえる』
2023年10月28日(土)より、新宿K’s cinemaにて公開、以降順次全国
監督・脚本:岩崎孝正
出演:中村守里 内村遥 指出瑞貴 川瀬陽太 木村知貴 小林なるみ 満園雄太 tamico. 橋口湊 
配給:ブライトホース・フィルム株式会社

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