月曜の夜に行なわれたリンカーン・センター映画協会が主催する第44回チャップリン・アワードの授賞式で、今年の受賞者となったロバート・デ・ニーロは、トランプ政権による芸術への資金の削減政策を激しく批判した。Deadlineが伝えている。
受賞スピーチでデ・ニーロは、「私たちは観客を楽しませるために映画を作っている。観客は映画を見ることで投票し、評論家は映画について書くことで投票している。そして後世の人々が、それらが芸術なのか否かを決める」と語った。「私はこのことについて最近よく考える。なぜかというと私たちの政府が芸術に対して敵意をむき出しにしているからだ。人命救助だったり、生活を向上させるような政策に対する予算が大幅にカットされている中で、全米芸術基金や全米人文科学基金、公共放送サービスに対する予算見積もりも削減されている。彼らの分裂的な政治目的のために、これらの包括的な計画に対する予算は、リッチでリベラルなエリートに使われるべきだと行政は示唆しているんだ。これを今や彼らは『オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)』と呼んでいるが、私に言わせれば『くそ食らえ』だ!」
観客はデ・ニーロを賞賛して熱狂する。
「今夜ここにいることによって、あなたたちは多くの人たちの芸術をサポートしている。あなたたちはチャップリンのドタバタコメディをサポートしており、マーティン・スコセッシやバリー・レビンソンの偉大な作品も、ロバート・デ・ニーロのダメなコメディものも、“メリル・ストリープの過大評価されている演技”も、そして自分自身の趣向や必要なものも、サポートしているのだ」
デ・ニーロと『タクシードライバー』や『グッドフェローズ』など8本の映画で共作し、そして新作『The Irishman ザ・アイリッシュマン』(原題)でもタッグを組むマーティン・スコセッシが賞をデ・ニーロに授与した。スコセッシは第25回のチャップリン・アワードを受賞している。
デ・ニーロが、チャップリンは移民で、現在の政権下では彼はアメリカに移住できていなかったかもしれないと語ったとき、再び大喝采が起こった。
「私は“リッチでリベラルなエリート”のために映画を作ってはいない。私はそのためにはレストランを作っている。私を含め、今日ここで話したみんなは、あなたたちのために映画を作っているんだ」
閉会にあたり、デ・ニーロは彼の故郷と共にハリウッドにも敬意を表した。「最後に、私はハリウッドを愛している。しかし、この賞をより特別にしているものは、ここがニューヨークであり、仲間のニューヨーカーがたくさんいるということだ。映画にとって、ハリウッドは産業の都市であり、映画の心の場所だ。しかしニューヨークは我が家なんだ」
チャップリン・アワードは、チャーリー・チャップリンに敬意を表して1972年に始まり、多くの映画業界で活躍する人々に授けられてきた。受賞者には、メリル・ストリープ、アルフレッド・ヒッチコック、ビリー・ワイルダー、ローレンス・オリビエ、フェデリコ・フェリーニ、ダイアン・キートン、トム・ハンクス、ロバート・レッドフォードらがおり、昨年はモーガン・フリーマンに与えられた。