元KGB人脈の文化に「人権」や「人道」の文字はない『プーチンより愛を込めて』予告編

2000年にロシア連邦第2代大統領に就任したウラジーミル・プーチン。プーチンの大統領選挙PR用に撮影も担当したヴィタリー・マンスキー監督が、引退を宣言したエリツィンの指名を受け1999年12月31日、プーチンが大統領代行に就任してからの1年間を追ったドキュメンタリー『プーチンより愛を込めて』が、4月21日より公開される。このほど、予告編がお披露目となり、黒井文太郎(軍事評論家)と岡部芳彦(神戸学院大学教授・ウクライナ研究会会長)よりコメントが寄せられた。

ロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィンの後を継ぎ、2000年に第2代大統領に就任したウラジーミル・プーチン。当時の憲法上の制限から2期で退いたものの、2012年の大統領選で復帰。実質的に、プーチン政権は20年以上にわたり続いている。プーチンはいかにして権力を握り、現在の統治国家を築き上げたのか。

■黒井文太郎(軍事評論家)コメント
本作にもあるように、大統領就任後のプーチンはエリツィンからはすぐ離れていき、あっという間に名実ともに権力者になっていった。彼はもともと羊ではなく、狼だったのだ。元KGB人脈の文化に「人権」や「人道」の文字はない。その後、プーチン政権はロシア国内外で反対勢力への殺戮に邁進し、やがては隣国への侵略にまで踏み入っていくことになる。

■岡部芳彦(神戸学院大学教授・ウクライナ研究会会長)コメント
エリツィンの「自由なロシア」に終焉をもたらしたのは果たしてプーチンだったのか。それとも自由に戸惑って、徐々にそれを望まなくなったのはロシア国民なのだろうか。そんな正解のない問の答えがこのマンスキーの映画にはある。

『プーチンより愛を込めて』
2023年4月21日(金)より、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほかにて全国公開
監督・脚本・撮影・出演ナレーター:ヴィタリー・マンスキー
出演:ウラジーミル・プーチン ミハイル・ゴルバチョフ ボリス・エリツィン トニー・ブレア アナトリー・チュベイス ベロニカ・ジリナ ライサ・ゴルバチョフ ミハイル・カシヤノフ ミハイル・レシン ドミトリー・メドヴェージェフ グレブ・パブロフスキー クセーニャ・ポナマロワ ウラジスラフ・スルコフ
配給:NEGA

【作品概要】1999年12月31日、この日、ロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィンが辞任した。彼は自身の後継者としてウラジーミル・プーチンを指名、3ヶ月後に行われる大統領選挙までの間、ロシアの新しい憲法、国旗は若き指導者に引き継がれた。プーチン大統領候補の選挙用PR動画の撮影を依頼されたヴィタリー・マンスキー監督は、大統領選挙への出馬表明をせず、公約を発表しないまま、名目は違えど“選挙運動”を展開するプーチンの姿を記録していく。ロシア各地へ足を運び、諸問題の解決、第一次チェチェン紛争の”英雄”たちへの慰問や恩師との再会を”演出”したプーチンのPRチームは、国民が抱く彼のイメージを「強硬」から「親身」へと変化させる。マンスキー監督は、オフィシャルカメラマンながら、ソ連時代の旗や国歌が使用されていることに不安を覚え、プーチンに直接斬り込んでいく。2000年3月26日の開票日当日と2000年の大晦日の、エリツィン元大統領の自宅での貴重映像を辿ることで、プーチンの本当の姿が炙り出されていく。

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