「皆が皆、生活することを脅かされていたのです」ビッグバンドの実像と原点に迫る『NEVER MIND DA 渋さ知らズ 番外地篇』4月公開

離散集合を繰り返しながら、現在も活動を続ける孤高の世界的ビッグバンド「渋さ知らズ」。佐藤訪米監督が、バンドの貴重な証言とセッションで綴る、実像と原点に迫るドキュメンタリー『NEVER MIND DA 渋さ知らズ 番外地篇』が、4月1日より公開されることが決定した。併せて、メインビジュアル&場面写真がお披露目となり、佐藤訪米監督よりコメントが寄せられた。

1989年結成以降、中心人物である不破大輔を除き離合集散を繰り返しながら、現在も活動を続ける孤高の世界的ビッグバンド「渋さ知らズオーケストラ」。ジャズを基調としつつ、ダンサー、舞台役者などが舞台を彩り、総勢30人を超える熱狂的かつカオスな ステージは唯一無二だ。本作は、不破自身がその原点や印象深いエピソードを語るとともに、黎明期の元メンバーたちがこのバンドで過ごした時間と演奏を振り返りつつ、謎に包まれた「渋さ知らズ」の実像に迫るドキュメンタリーである。

元メンバーでもある佐々木彩子が、ナビゲーターとして渋谷毅、林栄一、のなか悟空、加藤崇之、山本精一、不破大輔らジャズ・アバンギャルドシーンのレジェンドたちと対話を重ね、彼らとその場でセッションを繰り広げるのは本作の見どころのひとつ。加えて、ジャー ナリストの金平茂紀、ミュージシャンの大友良英、劇作家の戌井昭人、映画監督の山下敦弘らも出演。様々な立場から本バンドについて語っている。

監督を務めたのは、2019年に音楽史に名高い京都大学西部講堂での「渋さ知らズオーケストラ〜天幕講堂渋さ西部大祭」を記録した佐藤訪米。長年の歳月を経て遂にこのドキュメンタリーに結実した。

「渋さ知らズ」とは何か? それはひいては集団とは、個とは、自由とは、愛とは何かを問うことでもある。夢こそまこと、消えてはあらわれ、そして何度でも生まれる「渋さ知らズ」≒ 不破大輔が、探求し続ける音楽と生き方を見届けたい。

■佐藤訪米(監督)コメント
2019年、結成30周年をむかえた「渋さ知らズ」。京大西部講堂におけるライブ撮影に始まった今回の作品は、不破大輔さん、佐々木彩子さん、私と、三者の視点をあわせて渋さ知らズの軌跡をふり返るとともに、次なる“渋さ”の展望を垣間見たものです。ミュージシャンたちは撮影当時のコロナ渦、ライブ活動もままならない状況でした。ライブハウスはもちろん、飲食業や劇場をはじめ、ほとんどの業種において厳しい時期だっ た。皆が皆、生活することを脅かされていたのです。私たちが表現できることはなにか。それはなりふり構わず「生きる」ということでした。すなわち“ライブ”です。すべての生きる人々に忘れて欲しくない一瞬です。

■渋さ知らズオーケトラ
1989年、アングラ創造集団“発見の会”の公演「リズム」の劇伴を依頼された不破大輔が、「客席が空席だらけでみっともないので、バンドマンをたくさん集めて埋めてほしい」との提案を受け、結成。そして吉祥寺曼荼羅にて初ライブ。ダンサーチームも帯同し、ジャズ、ロック、ダンスミュージックなど多彩な音楽性を備えたバンドに発展。93年4月1日に初音源を発表。舞台美術家も加わり、巨大なオブジェがステージに登場するようになる。また関西方面へも活動の場を広げた。94年以降“天幕渋さ”と呼ばれる全国テント公演を実施。そして 98年から数年にわたりワールドツアーを開始、ヨーロッパを中心に各国を巡業。2001年にはフジロックフェスティバルに初出演、絶賛を浴びて常連となる。またライブアルバム「渋旗」を発表。2006 年、ベストアルバム「渋全」をエイベックスから発売し、メジャーデビューを果たした。現在もライブを軸に精力的に活動中。

『NEVER MIND DA 渋さ知らズ 番外地篇』
2023年4月1日(土)より、新宿・K’s cinema ほか全国順次公開
監督:佐藤訪米 
出演:不破大輔 佐々木彩子 渋谷毅 林栄一 大友良英 山本精一 金平茂紀 スズキコージ 加藤崇之 のなか悟空 片山広明 渡部真一 戌井昭人 山下敦弘 高岡大祐 フェダイン 渋さ知らズオーケストラ
配給:ブライトホース・フィルム

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