創作に葛藤する2人の高校生の最後の夏を描いた、新鋭・淺雄望監督の長編デビュー作『ミューズは溺れない』が9月30日より公開されることが決定し、併せて、予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。
美術部に所属する高校生の朔子は、船のスケッチに苦戦している最中に誤って海に転落。それを目撃した美術部員の⻄原が「溺れる朔子」の絵を描いてコンクールで受賞、絵は学校に飾られるハメに。悔しさから絵の道を諦めた朔子は、代わりに新たな創作に挑戦しようとするが、ある日、⻄原から「次回作のモデル」を頼まれてしまい…。アイデンティティのゆらぎ、創作をめぐるもがき、葛藤を抱えながらも社会の海へ漕ぎ出そうとする2人の、高校最後の夏を瑞々しく鮮烈に描き切った⻘春エンタテインメントが誕生した。
主人公の朔子を演じるのは、300人のオーディションから選ばれた主演作『この街と私』が注目を集めた上原実矩。朔子と相対する⻄原役には『ジオラマボーイ・パノラマガール』など性別を問わず様々な役で活躍する若杉凩。朔子の親友・栄美役に『わたしの見ている世界が全て』でマドリード国際映画祭にて主演女優賞を受賞した森田想。そのほか、SF研究部の部員役に渚まな美、桐島コルグなどフレッシュなキャストの脇を川瀬陽太、広澤草などベテラン陣が固める。監督は、大九明子監督などの元で助監督をつとめながら中・短編を製作してきた淺雄望。本作で第22回TAMA NEW WAVE、第15回田辺・弁慶映画祭の2つの映画祭でグランプリを含む6冠を達成した。
ポスタービジュアルは、朔子(上原)と⻄原(若杉)の姿と共に、絵筆や絵具がデザインされたもの。2人の創作への葛藤、そして熱い思いが表現されている。
さらに、上原実矩、若杉凩、森田想、淺雄望監督からコメントが寄せられた。「淺雄監督の創作愛のぎゅっとつまった『ミューズは溺れない』が、スクリーンから溢れ出すのをそわそわと待っています」(上原)、「この映画をご覧になるあなたの心がほんの少しでも動くのであれば、私たちのあの夏が報われます」(若杉)、「高校時代を思い出すように荒削りな感情を物語から受け取りました。こうしてスクリーンで観て頂けることになり、多くの方に届けば嬉しいです」(森田)とそれぞれ作品が公開を迎えた喜びを語っている。淺雄監督は「あの夏、あの場所に揃ったからこそ生み出せた奇跡のような瞬間が詰まっています。こんな映画があってよかった、と思っていただけたら本望です」と作品に込めた熱い思いを述べている。
▼キャスト&スタッフ コメント
■上原実矩(木崎朔子役)
2019年夏、死闘の末撮影を終えた今作品…まさかこんな素敵な舞台で上映していただけるとは夢にも思っていませんでした。こんな瞬間に出会えるから、やめられないです。3年前の作品ということでむず痒いやらなんやら……ちょっと…まっくろこげに日焼けしてるし……そんな自分もひっくるめて、淺雄監督の創作愛のぎゅっとつまった「ミューズは溺れない」が、スクリーンから溢れ出すのをそわそわと待っています。
■若杉凩(⻄原光役)
映画はスタッフの役職に関わらず、全員でつくるものだと私は信じています。撮影から3年を経て作品を上映できるのは、この映画に関わってくださったみなさまのお陰です。また、映画は観客のみなさまがいてはじめて完成するものだとも思います。若く、拙い演技で恐縮ですが、この映画をご覧になるあなたの心がほんの少しでも動くのであれば、私たちのあの夏が報われます。
■森田想(大谷栄美役)
栄美役を演じました、森田想です。主演の二人とは普段から仲良くさせて頂いてたので、 とても信頼しながら撮影に挑め、作品を通して濃い夏を過ごせました。高校時代を思い出すように荒削りな感情を物語から受け取りました。こうしてスクリーンで観て頂けることになり、多くの方に届けば嬉しいです。
■淺雄望(監督)
私の⻘春は暗いものでした。自分の存在を許してくれる人なんていない、と思っていました。でも、そんなことは無かった。だから、そんなことは無いんだよ、と自分に似た誰かに伝えたいと思って、この映画を企画しました。ひとり、またひとりと優しい手を差し伸べていただいて、監督の根暗さからは想像できないほど、前向きな作品に仕上がりました。スクリーンの中を生き抜いてくれたキャストが、支え彩ってくれたスタッフが、あの夏、あの場所に揃ったからこそ生み出せた奇跡のような瞬間が詰まっています。こんな映画があってよかった、と思っていただけたら本望です。
『ミューズは溺れない』
2022年9月30日(金)より、テアトル新宿ほか全国順次公開
監督・脚本・編集:淺雄望
出演:上原実矩 若杉凩 森田想 広澤草 新海ひろ子 渚まな美 桐島コルグ 佐久間祥朗 奥田智美 菊池正和 河野孝則 川瀬陽太
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
【ストーリー】 美術部に所属する朔子(上原実矩)は、船のスケッチに苦戦している最中に誤って海に転落。それを目撃した⻄原(若杉凩)が「溺れる朔子」の絵を描いて絵画コンクールで受賞、朔子の絵は学校に飾られるハメに。さらに新聞記者に取材された⻄原は「次回作のモデルを朔子にする」と勝手に発表。朔子は、悔しさから絵の道を諦め、代わりに壊れた鳩時計などを使って造形物の創作に挑戦するが、再婚した父と臨月の義母、そして親友の栄美(森田想)と仲違いしてしまう。引っ越しと自宅の取り壊し工事が迫る中、美術室で向き合う朔子と⻄原。“できること”を見つけられないことに焦る朔子は、「なぜ自分をモデルに選んだのか?」と⻄原に疑問をぶつける…。
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