1989年、2001年、2016年と3度劇場公開され、「クー!」という意味不明な言葉で多くの熱狂的なファンを生んだゲオルギー・ダネリヤ監督作『不思議惑星キン・ザ・ザ』を、ダネリヤ監督が自らアニメ化する『クー!キン・ザ・ザ』が、5月14日より公開されることが決定した。
社会主義体制の真っ只中で制作されたカルトSF映画の傑作として世界中で多くのファンを生んだ実写版『不思議惑星キン・ザ・ザ』を、レトロ感溢れながらSFタッチの未来を感じさせるアニメで再構築した本作。
“キン・ザ・ザ”界を象徴する釣鐘型宇宙船の浮遊感は、ダネリヤ監督が実写版では再現できなかったアニメならではの珍妙なリアルさを描き出す。実写版は当時のソ連の政治体制を皮肉めいた視点で描いたと評されたが、『クー!キン・ザ・ザ』は、大きな変革の波にあった現代のロシアを戯画化して風刺する。
ダネリヤ監督は、『クー!キン・ザ・ザ』完成後、2019年に88歳で逝去し、同作が遺作となった。
『クー!キン・ザ・ザ』
5月14日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
共同監督:タチアナ・イリーナ
音楽:ギア・カンチェリ
声の出演:ニコライ・グベンコ イワン・ツェフミストレンコ アンドレイ・レオノフ
配給:パンドラ
【ストーリー】 著名なチェリストのチジョフとDJ志望の青年トリクは、雪に覆われたモスクワの大通りでパジャマ姿の裸足の宇宙人と遭遇する。そして思いがけずキン・ザ・ザ星雲の惑星プリュクにワープしてしまう。そこは見渡す限りの砂漠に覆われ、身に着けるズボンの色によって階級が分かれた場所だった。ほとんど「クー!」(名詞・形容詞・副詞・感嘆詞など)しか言葉が存在しない異星人たちを相手に地球に帰ろうと二人は奮闘を始めるのだった。