磯村勇斗、柄本佑、白石隼也、津田健次郎、森山未來という5人の人気俳優が制作費・制作日数など同条件で25分以内のショートフィルムを制作し、世界から約5,000本のショートフィルムが集まる米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」のグランプリを目指す、WOWOWによる一大プロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」が始動。彼らの作品が、1月13日よりWOWOWオンデマンドにて配信中で、1月23日夜7時よりWOWOWプライムにて一挙放送される。このほど、1月13日に東京国際フォーラム ホールDにて完成報告イベントが行われ、各作品で監督を務めた磯村勇斗、柄本佑、白石隼也、津田健次郎、森山未來が登壇した。
本業の“俳優”としての姿ではなく、タキシードに身を包んで“監督”として登壇した5人。SF作『機械仕掛けの君』を監督した磯村は「監督として準備段階から参加して、作品作りは一人ではできないということを実感しました。スタッフさんたちに感謝の気持ちでいっぱいです」と仕事としては今回が初めてとなる監督作を振り返った。16歳時に執筆した脚本をベースにした『夜明け』を手掛けた柄本は「撮影の前日は眠れませんでした。単純に緊張もあるけれど、撮影についてずっと考えてしまう。しかも撮影後も反省で眠れず。終わってもしばらく眠れない日々が続きました」と監督ならではのプレッシャーの洗礼を受けたようだ。『そそがれ』で絵画教室での秘密を描く白石は「監督はすべてを決断する責任が伴う。僕も眠れない日々があって『こんな仕事受けるんじゃなかった!』と思った」と苦笑いするも、「スタッフの皆さんが支えてくれて、かけがえのない経験をさせてもらいました。俳優として現場に戻ったときに気分的にも違う気がする」と知られざる監督業に感激したという。バイオレンスアクション作『GET SET GO』を手掛けた津田は「脚本の直しの時とかプロデューサーが怖くて…。最後の最後まで苦労しました。でも楽しくて!監督ができて感謝です」と笑顔。そして『in-side-out』で引きこもり青年の妄想を描く森山は「撮影現場で『森山監督!』と呼ばれたときに反応できず…。それに馴染んでいったときには終わっていた感じ」と監督業はあっという間だったようで、「監督としての『よーい、ハイ!』と言うのも恥ずかしかった。自分が言ってもいいものなのかと…」と慣れない作業に困惑しきりだったことを明かした。
さらに、磯村は「見方によっては怖い作品になっているけれど、それを反面教師に現代の僕らがどう生きていけばいいのか、しっかりと考えるきっかけになれば」とテーマを告白。柄本は「当時から『下北沢のこの場所で撮りたい!』というイメージがあった。構想から18年経って『ここで撮ろう!』と思っていた場所が当時のまま残っていて良かった」と語り、撮影地も含めて念願叶ったようだ。白石は「自分の断片的な思い出をストーリーに組み込んだもの。どこまで自分をさらけ出せるか、その戦いでもありました。恥ずかしいけれど『僕はこんな人間です!』という気持ちで作りました」と意図を説明。津田は「カットや構図など、自分が今まで観てきた好きな映画の影響が沢山入っている」とこれまでの映画愛を詰め込んだことを明かした。森山は「芝居と音楽性と身体性を混ぜたものを試したかった。それはミュージカルっぽいものではなくて、閉じられた世界観の中で身体性と音楽性が発露できるものは何かと考えた」とテーマを解説。主演を務めた永山とは20代からの仲だが、「昔から一緒にカラオケに行ったりして彼の音楽性は知っていたし、影響も受けていました。それに彼はモデル並みの体形だけれど、どこか長い手足を持て余している感があった。今回の作品ならば彼の音楽性と身体性がフィットすると思ったし、彼は振り付けやリハーサルの段階からオープンな形で作品世界に入ってくれた。そんな立ち振る舞いに助けられました」と知り尽くしたタッグであることを口にした。
イベント当日にWOWOWの動画配信サービス・WOWOW オンデマンドにて配信がスタートした本作。監督陣を代表し、タブレットで配信の様子をチェックした磯村は「自分で自分の作品が配信されているのを観る…。シュール」と照れつつも「これだったら移動しながらでも簡単に観られるので画期的。しかも短編は観やすい尺なので、ぜひ皆さんにWOWOWオンデマンドを活用してもらいたい」とアピール。横にいた柄本は「画質が綺麗ですね!これだけ鮮明だったら移動中に沢山楽しんでいただけるはず」と喜んだ。
最後に、磯村は「この機会をいただけたことに感謝。監督という立場から現場を見ることができたのは沢山の発見があり、俳優業に活かせる部分もあった」、柄本は「監督として現場の裏側も勉強をさせていただき、俳優を続ける上でもいい経験になりました。自由に受け取ってもらって、楽しんでほしい」、白石は「今回のショートフィルムやエンタメがみなさんの生活の潤いになれば」、津田は「5作品一堂に並んでいるので、一気に観てほしい。いつかまた監督として撮れたら…」とコメント。そして「ひとつだけ、ぶっちゃけたお願い!」という森山は、「音が重要になるので、スピーカーやヘッドフォンなど音響空間にこだわって観てもらえたら嬉しい。それでぜひ楽しんで」と監督ならではのこだわりを語った。
「アクターズ・ショート・フィルム」
1月13日(水)より、WOWOWオンデマンドにて配信中
1月23日夜7時、WOWOWプライムにて放送
『機械仕掛けの君』
監督:磯村勇斗
脚本:伊藤靖朗
出演:泉澤祐希
【ストーリー】 アンドロイドが進化した近未来社会、AI技術者の照康(泉澤祐希)は不安を抱き、反体制運動に身を投じていた。照康の弟の鳳太は、ある日泰明に出会い友達になる。
『夜明け』
監督・脚本:柄本佑
出演:森山直太朗
【ストーリー】 下北沢の狭い部屋に独居する田中(森山直太朗)は、いつのころからか「正義」を追求してきた。アルバイトで食いつなぐうたかたの日々にありながら、人助けのために奔走する。
『そそがれ』
監督・脚本:白石隼也
出演:吉村界人 神野三鈴
【ストーリー】 幼い頃に通った絵画教室、そこでオレ(吉村界人)を指導してくれた先生(神野三鈴)の繊細な筆遣いの感覚をいまも思い出すことができる。先生との秘密の共有と罪の意識。
『GET SET GO』
監督・脚本:津田健次郎
出演:竜星涼 大東駿介
【ストーリー】 ビルから飛び降りようとしていた慶(竜星涼)を引き止めた隼人(大東駿介)は、ロシアンルーレットの賭場へ彼を連れて行く。異様な世界で、慶と隼人がみたものは。
『in-side-out』
監督:森山未來
脚本:岩井秀人
出演:永山瑛太
【ストーリー】 どんな理由からか、部屋に引きこもっている男(永山瑛太)。他者との関わりを持たなくなった男の脳内では、外の世界への妄想や過剰な自意識が常に垂れ流され、次第に虚実が裏返っていく…。