仲野太賀「自分の出番がない日に役所さんを見学に行っていた」役所広司『すばらしき世界』場面写真

「復讐するは我にあり」で直木賞を受賞した佐木隆三の小説「身分帳」を、西川美和監督が役所広司主演で映画化する『すばらしき世界』が、2021年2月11日より公開される。このほど、本作の場面写真がお披露目となり、併せて、キャストの仲野太賀よりコメントが寄せられた。

これまで一貫してオリジナルにこだわり続けた西川美和監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑んだ本作。13年の刑期を終えた三上を待っていたのは、目まぐるしく変化する、想像もつかない世界だった。三上に近づき、彼の姿を面白おかしく番組にしようする二人の若手テレビマン。まっすぐ過ぎるが故にトラブルばかりの元・殺人犯が、いつしか彼らの人生を変えてしまう。

本作は、10月14日から25日にわたり開催された第56回シカゴ国際映画祭にて、観客賞と最優秀演技賞(役所広司)の2冠に輝いた。

場面写真には、三上(役所広司)に密着し質問を投げかけながらカメラを回し続ける津乃田(仲野太賀)や、三上の人間味あふれる一面に触れ、ネタにすることをためらい始める津乃田とは相反して、撮影された密着映像を見ながら笑みを浮かべる吉澤(長澤まさみ)、さらには、強張った顔でカメラを回し続ける津乃田の姿が収められる。津乃田は一体何を目撃してしまったのか?一方、三上の表情はどれも穏やかで、スーパーマーケットの店長(六角精児)と談笑したり、出所当日の刑務所内の一幕が切り取られている。

■仲野太賀(津乃田役) コメント
(冒頭の津乃田は)強い意志を持って取材をしようという感じではなく、「ちょっと行ってみた」くらいの感覚です。ところが三上と出会っていく中で、どんどんその人間性に引かれ、目が離せなくなる。じつは僕自身、それこそ取材対象のように、自分の出番はない日の役所さんを、現場の邪魔にならないように見学に行っていました。それは三上さんを自分の目に焼き付けておきたかったから。なるべく、三上さんを、役所さんの存在を、僕を通して津乃田の中に染み込ませたくて。三上さんに振り回される役回りだったので、三上さんの芯に触れる機会が欲しくて通っていました。

『すばらしき世界』
2021年2月11日(木) 全国公開
監督・脚本:西川美和
原案:佐木隆三「身分帳」
出演:役所広司 仲野太賀 六角精児 北村有起哉 白竜 キムラ緑子 長澤まさみ 安田成美 梶芽衣子 橋爪功
配給:ワーナー・ブラザース映画

【ストーリー】 下町の片隅で暮らす短気ですぐカッとなる三上(役所広司)は、強面の見た目に反して、優しくて真っ直ぐすぎて困っている人を放っておけない男。しかし彼は、人生の大半を刑務所で暮らした元殺人犯だった。一度社会のレールを外れるも何とか再生しようと悪戦苦闘する三上に、若手テレビマンの津乃田(仲野太賀)と吉澤(長澤まさみ)がすり寄りネタにしようと目論むが…。三上の過去と今を追ううちに、逆に思いもよらないものを目撃していく…。

©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会