『青い凧』のティエン・チュアンチュアンがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、第43回トロント国際映画祭でオープニング上映されて以来、多くの映画祭で好評を得た『過春天(THE CROSSING)』(原題)が、邦題『THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~』として11月20日より公開されることが決定した。併せて、予告編、ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となった。
毎日中国と香港との境界線を越えなければならない越境通学や、中国の一国二制度による香港と大陸間の税金差で起こる密輸問題をリアルに描いた本作。香港と深セン二つの場所を毎日行き来するペイは、引き離された文化の中に生きている。家族生活と友情、上層階級と下層階級、そして普段の日常生活と犯罪間を行き来する彼女は、命の危険と生計を維持する苦労、世界の若者が直面する道徳的な問題に立ち向かう。
監督は、2年間の入念なインタビューやリサーチを重ねたうえで脚本を執筆したバイ・シュエ。今まで中国映画であまり描かれることのなかった青少年の裏事情、香港と中国大陸の現状をリアルに描き、青春の輝きと脆さを映し出す。また、『盗馬賊』や『青い凧』などで世界的にも高い評価を得るティエン・チュアンチュアンがエグゼクティブ・プロデューサーを務める。
■バイ・シュエ(監督) コメント
『THE CROSSING 〜香港と大陸をまたぐ少女〜』は私が初監督の長編映画作品です。今回、私の監督作品が日本で上映できることをとても嬉しく思います。この作品は非常にリアルな作品で、香港と深センの2つの都市の迷い、衝動、偽ブランドの密輸などを描いています。ペイは毎日深センと香港を通学で往復し、彼女の視点から物語が語られます。もう一つは、特殊な青春物語だということです。2015年、深センと香港を毎日通学で往復する学生に関する脚本を書きたいと決意しました。彼らの日常生活を知るために、2年間で何度も香港と深センに行き、綿密な取材をしました。各年齢層の越境児童たち、時にはその保護者を取材しました。税関の役人にも取材し、ノートに2万字以上のメモを取りました。こういう人達は深センに住んでいるものの深センには友達がいない、香港の学校で勉強しているものの香港には家がない。正直に言うと、このようなジレンマはある意味で普遍性があります。世界中の移民たちもこのようなジレンマに直面しているのではないでしょうか。本作は青春映画ですが、単純に青春と成長を描いた作品ではありません。私は若い映画監督としての視点で、今を生きる現実に意識を向けたいと思います。これが映画人としての使命だと思っています。同時に、映画を使って私の眼に映る世界を今後も描いていきたいと考えています。2020年という大事な時期に日本で上映することはとても大変なことだと思います。日本の方々に本作を気に入っていただければ幸いです。
■ティエン・チュアンチュアン(エグゼクティブ・プロデューサー) コメント
本作は2年間の膨大な取材を通して描きました。映画監督にとって、人生、経験に対する独特な感受性は良い作品を作るカギとなります。白雪の本作は主人公の経験を膨大な取材を通して描き出しました。彼女には、映画に対する鋭い直感があり、内外の環境に鍛えられたことと相俟って、撮影期間中はクルーと一体となり、感謝と責任を忘れず、そうしたものが合わさりこの映画を誠意ある作品としています。
『THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~』
11月20日(金)より、TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開
監督・脚本:バイ・シュエ
エグゼクティブ・プロデューサー:ティエン・チュアンチュアン
脚本:リン·メイルー
出演:ホアン・ヤオ スン・ヤン カルメン・タン ニー・ホンジエ エレン・コン リウ・カイチー
配給:チームジョイ
【ストーリー】 香港出身の父と中国大陸出身の母を持つ16歳の高校生ペイ(ホアン・ヤオ)は、毎日深センから香港の高校に通っている。母は麻雀で生計を立て、父は香港で別の家族を持ちながらトラック運転手をしている。家族がバラバラで孤独なペイにとっての心の拠り所は、親友ジョー(カルメン・タン)と過ごす時間。二人は北海道旅行を夢見て、学校で小遣い稼ぎをしていた。ある日家に帰る途中、香港と深センの間でスマートフォンの密輸グループに巻き込まれるが、すぐにお金を稼ぐことができると知るとペイはお金欲しさに親友ジョーの彼氏ハオ(スン・ヤン)にお願いして密輸団の仲間に入り、危険な裏の仕事に手を染める。密輸団での仕事をこなしていく内に、ペイは自然とハオと密接な関係になり。ハオは密輸団のリーダーに内緒で、ペイに大きな仕事を持ちかける。ペイとハオが密接な関係にあると気づいたジョーはペイに問い詰める。その時、ペイはジョーとの友情が試される。
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