1969年に約25分カットされた短縮版が公開されて以来、日本で上映される機会がなかった巨匠セルジオ・レオーネの超大作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(初公開時邦題『ウエスタン』)のオリジナル版が、9月27日より公開されることが決定した。
クリント・イーストウッド主演『荒野の用心棒』(1964)、『夕陽のガンマン』(1965)、『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(1966)で3年連続イタリア年間興収No.1を記録し、全世界にイタリア製西部劇=マカロニ・ウエスタンブームを巻き起こした巨匠セルジオ・レオーネ。本作は、アクションの面白さを極め尽くした前3部作とは大きく方向性を変え、自らの作家性を前面に打ち出した野心作。若き日のベルナルド・ベルトルッチ(『ラストエンペラー』監督)とダリオ・アルジェント(『サスぺリア』監督)を共同原案に抜擢したレオーネは、ルキノ・ヴィスコンティ監督『山猫』を下敷きに、女性主人公ジル(クラウディア・カルディナーレ)の目を通し、移り変わる時代と共に滅びゆくガンマンたちの落日を、スタイリッシュかつ重厚壮麗なバロック的演出を駆使して描いた。また、天才エンニオ・モリコーネ(『アンタッチャブル』『ニュー・シネマ・パラダイス』)作曲・指揮による名曲の数々が、この一大叙事詩を感動的に彩る。
1969年の初公開時、欧州各国では高い評価と共に大ヒットを記録。特にパリでは歴史的ヒットとなり、2年にわたってロングランされ、現在もフランス興行史上トップテン内に留まっている。一方アメリカではレオーネの意図はまったく理解されず、オリジナル版から20分短縮され、批評、興行ともに惨敗。日本では米公開版をさらにカットした2時間21分版が公開され、アメリカ同様批評家から無視された。しかし70年代以降、海外ではその評価は年々高まり、スタンリー・キューブリック、ヴィム・ヴェンダース、ジョン・ブアマン、ジョージ・ルーカス、マーティン・スコセッシ、ジョン・カーペンターといった名監督たちがこぞって讃え、1973年、NYの「フィルムコメント」誌は“『2001年宇宙の旅』と並ぶ60年代の偉大なる革新的/神話的作品の一本”と記した。2012年、英国の「サイト&サウンド」誌が実施した世界の現役映画監督358人から募った“映画史上最も偉大な作品”アンケートでは44位に、西部劇ジャンルに限れば『捜索者』『リオ・ブラボー』、自身の『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』『ワイルドバンチ』などの傑作を抑え、本作がトップに輝いた。
初公開から50年、レオーネ生誕90年、没後30年、そして以前よりレオーネ作品への愛と敬意を公言していたクエンティン・タランティーノ監督が、本作のタイトルを引用した最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が公開となる今年、ついに2時間45分のオリジナル版が日本初公開される。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』
9月27日(金)より、丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
監督・原案・脚本:セルジオ・レオーネ
原案:ダリオ・アルジェント ベルナルド・ベルトルッチ
脚本:セルジオ・ドナーティ
撮影監督:トニーノ・デッリ・コッリ
美術・衣装:カルロ・シーミ
音楽作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
出演:クラウディア・カルディナーレ ヘンリー・フォンダ ジェイソン・ロバーズ チャールズ・ブロンソン
配給:アーク・フィルムズ boid インターフィルム
【ストーリー】 大陸横断鉄道敷設によって新たな文明の波が押し寄せていた西部開拓期。ニューオーリンズから西部に嫁いできた元・高級娼婦のジル(クラウディア・カルディナーレ)は、何者かに家族全員を殺され、広大な荒地の相続人となった。莫大な価値を秘めたその土地の利権をめぐり、ジルは、鉄道会社に雇われた殺し屋、家族殺しの容疑者である強盗団のボス、ハーモニカを奏でる正体不明のガンマンらの熾烈な争いに巻き込まれていく…。
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