閑静な住宅街で些細な隣人トラブルの連鎖から人々が暴走していく様を描き、本国アイスランドのアカデミー賞にあたるエッダ賞を総なめにしたブラックサスペンス『Under the Tree』(原題)が、邦題『隣の影』として、7月27日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルと場面写真がお披露目となった。
閑静な住宅地で暮らす老夫婦が、隣家の中年夫婦から、庭にそびえ立つ大きな木が日光浴をするポーチに影を落としているとクレームをつけられる。このことをきっかけに、いがみ合うようになった二組の夫婦は、身近で相次ぐ不審な出来事をすべて相手の嫌がらせと思い込むようになる。
監督は、2012年にバラエティ誌の“最も期待される10人のヨーロッパの監督”に選ばれ、本作が長編3作目となるハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン。本作ではブラックユーモアを湛えたホームドラマの体裁を取りつつも、卓越した心理描写により異色のサスペンス映画に仕立て上げ、本国アイスランドでは同時期公開の『IT/イット “それ”が見えたら終わり。』と渡り合い興収チャート1位を獲得。同国のアカデミー賞にあたるエッダ賞では作品賞、監督賞、脚本賞を含む7部門を独占し、第90回アカデミー賞アイスランド代表作品に選出、さらに、米国最大のジャンル映画祭であるファンタスティック・フェスト2017では最優秀監督賞を受賞した。(なお、翌年のファンタスティック・フェスト2018の最優秀監督賞は『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督)
本作は、ジャパンプレミアとなったSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018で、『あの木が邪魔で』のタイトルで上映され、国際コンペティション部門の監督賞を受賞。審査員を務めた深田晃司監督は、本作について「小さな出来事、小さな行き違いが転がるように大きな事件に発展していく脚本の巧みさと監督の手腕が素晴らしい。その技術の高さもさることながら、悲劇とユーモアが表裏一体で描かれる監督のシニカルな視点がとてもユニークだった。共感を求めない人物造形というのは、作り手の私自身にとても勇気をくれた」と絶賛した。
『隣の影』
7月27日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー
監督・脚本:ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン
撮影:モニカ・レンチェフスカ
編集:クリスティアン・ロズムフィヨルド
音楽:ダニエル・ビヤルナソン
出演:ステインソウル・フロアル・ステインソウルソン エッダ・ビヨルヴィンズドッテル シグルヅール・シーグルヨンソン ラウル・ヨハナ・ヨンズドッテル
配給:ブロードウェイ
【ストーリー】 すべては閑静な住宅地で暮らす老夫婦が、隣家の中年夫婦からクレームをつけられたことから始まった。いわく庭にそびえ立つ大きな木が、いつも日光浴をするポーチに影を落としているというのだ。それをきっかけにいがみ合うようになった二組の夫婦は、何の証拠もないのに身近で相次ぐ不審な出来事をすべて相手の嫌がらせと思い込むようになる…。その頃、元恋人とのセックス動画が原因で妻から三行半を突きつけられ、老夫婦のもとに転がり込んできた息子も、庭のテントで寝泊まりして隣人の監視を手伝うはめに。やがて老夫婦が家族同然に可愛がっていた飼い猫が失踪し、一本の木を挟んで激しく対立していた両家の人々は、決して越えてはならない危険な一線を踏み越えていくのだった…。
2017(C)Netop Films. Profile Pictures. Madants