2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原発事故で、最前線で戦い続けた者たちを描く、佐藤浩市主演、渡辺謙共演の映画『Fukushima 50』（読み：フクシマ フィフティ）が、2020年に公開される。このほど、4月17日にリーガロイヤルホテル東京にてクランクアップ記者会見が実施され、キャストの佐藤浩市と渡辺謙が出席した。
出演オファーの感想について聞かれた佐藤は「人間は忘れなければ生きていけないことと、絶対に忘れてはいけないことがある。当然、この映画は後者。我々はメッセンジャーとして、事実として伝える。映画を観た人が何を思うかを大事にした」と映画に込めた思いを話した。
渡辺は「非常にハードルの高い作品であることは間違いないと思った」という。また、『許されざる者』で佐藤と共演した渡辺は「（佐藤の）100本目の作品にはどんな役でも出るから」という約束をしたそうだが、「すぐに100本を超えてしまい、（映画に）出られなかった。その答えをこの映画で出した。一緒にハードルを超えたい」と話した。
現場を指揮する福島第一原発1・2号機当直長・伊崎利夫役の佐藤。役作りについて「放射に縁のない自分が、原発という中で放射能の意味合いを理解しながら、働いている現場を見に行かせてもらったり、読み物から知識を得た」とコメント。
福島第一原発所長の吉田昌郎役を演じた渡辺。「非常にプレッシャーのかかる役だった」という渡辺は、「吉田さんはテレビなどのメディアに扱われることが多くて、なおかつこの映画の中で、吉田さんだけが本名」だったことを告白。また吉田さんの近くで仕事をされていたスタッフの方がスタジオ見学に来たそうで「その時に、この局面で吉田さんはどう対応したのか。メディアに映し出されていない吉田さんはどうだったのか、かなり根掘り葉掘り聞いて」役を作っていったことを明かした。
今、福島に対する思いについて聞かれた佐藤は「まだ何も終わっていなどころか、まだなにも始まっていないかのかもしれない。もう一度、皆さんと一緒に振り返りつつ、前を向くために何をすべきか、何を考えるべきかを、自分も含めてですが、皆さんにも考えていただきたい」と語っていた。
『Fukushima 50』
2020年 全国公開
監督：若松節朗
原作：門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」（角川文庫刊）
脚本：前川洋一
音楽：岩代太郎
出演：佐藤浩市 渡辺謙
配給：松竹 KADOKAWA
© 2020『Fukushima 50』製作委員会
