2021年に観るべき映画はコレだ!注目俳優や監督など5つのポイントでセレクト!

新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、世界はなんとか2020年を乗り切った。そして、2021年が到来。いまだ予断を許さぬ状況ではあるが、こんな時期だからこそ映画に心を救われる瞬間も増えているのではないか。

そこで今回は、2021年に日本公開予定の注目作を、「興行」「監督」「男優」「女優」「話題性」の5つのポイントに沿ってピックアップ。2021年の楽しみを広げる一助となれば、幸いだ。

【興行】『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』

興行面で最注目なのは、やはりこの映画を置いて他にはない。メガ・ヒットシリーズ『るろうに剣心』の完結編2部作。国内の漫画の実写映画としては人気・評価・数字のトータルバランスがダントツで、その影響力から公開延期を余儀なくされたが、約1年の時を経てついに劇場公開を迎える。

今回描かれるのは、通称「人誅編」と「追憶編」。原作でも人気のエピソードで、かつて「幕末最強の暗殺者・緋村抜刀斎」と恐れられた流浪人・緋村剣心(佐藤健)の過去が、本格的に描かれる。剣心の十字傷の秘密を握る姉弟に扮するのは、有村架純と新田真剣佑。従来のイメージとは大きく異なるキャラクターをどう演じるのか、期待が高まる。

そして、究極進化を遂げたとウワサのアクションは、スクリーンで観てこそ真価を発揮するものといえよう。佐藤が「ジャンプフェスタ2020」で公開された大友啓史監督との対談映像内で語ったところによれば、壮絶なバトルシーンの撮影では「足が上がらなくなった」そうで、日本映画史に残るベスト・バウトが生まれるかもしれない。

興行面では、同じく約1年越しで公開される劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』も、ヒットを嘱望される1本だ。



『るろうに剣心 最終章 The Final』
2021年4月23日(金) 公開

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』
2021年6月4日(金) 公開
監督:大友啓史 出演:佐藤健 武井咲 新田真剣佑 青木崇高 蒼井優 伊勢谷友介 土屋太鳳 三浦涼介 音尾琢真 鶴見辰吾 中原丈雄 北村一輝 有村架純 江口洋介
配給:ワーナー・ブラザース映画

【監督】ドゥニ・ヴィルヌーヴ(『DUNE/デューン 砂の惑星』)

映画史において、語り継がれるビッグプロジェクトとなるだろう。アレハンドロ・ホドロフスキーやデヴィッド・リンチら、名だたる監督が着手するも、満足いく形で完成させられなかったいわくつきの企画を、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化。『ブレードランナー 2049』で、伝説的映画の続編制作を成し遂げた彼の、新たなチャレンジは必見だ。

ティモシー・シャラメを主演に、砂漠が広がる惑星の冒険を描く超大作。予告編が公開されるや、ヴィルヌーヴ監督ならではの詩情豊かな映像世界や、デザイン性あふれるガジェットに衣装など、大いに耳目を集めた。全貌はまだ謎に包まれており、続報を追いかけていきたい。


『DUNE/デューン 砂の惑星』
近日公開
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ティモシー・シャラメ レベッカ・ファーガソン オスカー・アイザック ジョシュ・ブローリン ゼンデイヤ ジェイソン・モモア ハビエル・バルデム
配給:ワーナー・ブラザース映画

ちなみに国内では、『ヤクザと家族 The Family』が控える藤井道人監督の勢いが止まらない。本作では、『新聞記者』の制作・配給会社スターサンズと再タッグ。綾野剛と舘ひろしを迎え、やくざ映画を社会派映画の目線で、スクラップ&ビルドした野心作だ。2021年にはNetflixドラマ版『新聞記者』も配信予定。


『ヤクザと家族 The Family』
2021年1月29日(金) 全国公開
監督・脚本:藤井道人
出演:綾野剛 尾野真千子 北村有起哉 市原隼人 磯村勇斗 菅田俊 康すおん 二ノ宮龍太郎 駿河太郎 岩松了 豊原功補 寺島しのぶ 舘ひろし
配給:スターサンズ KADOKAWA

【男優】トム・ホランド(『チェリー(原題)』『カオス・ウォーキング(原題)』ほか)

『アベンジャーズ エンドゲーム』後も、トム・ホランドのキャリアは順風満帆そのもの。全米公開作品も入れれば、4本の新作が控えている。

まず口火を切るのは、ルッソ兄弟との新作『チェリー(原題)』。こちらはApple TV+で配信予定の犯罪ドラマで、なんでもPTSDに苦しむ衛生兵が、強盗犯になる物語のよう。Netflix映画『悪魔はいつもそこに』でも、従来のイメージとは異なるシリアスな役にチャレンジしたホランドだが、さらに突き詰めた“負の演技”を拝めることになりそうだ。


『悪魔はいつもそこに』
Netflixにて独占配信中
監督:アントニオ・カンポス
出演:トム・ホランド ビル・スカルスガルド ライリー・キーオ ロバート・パティンソン ミア・ワシコウスカ

そして、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のダグ・リーマン監督、『スター・ウォーズ』シリーズのデイジー・リドリーや、マッツ・ミケルセンと共演する『カオス・ウォーキング(原題)』も、相当気合が入った一本。女性が死に絶え、他者の声が聞こえる事象が発現した世界を舞台に、壮大なアドベンチャーが描かれる模様。

さらには、人気ゲームの実写化『アンチャーテッド(原題)』、『スパイダーマン』の新作も公開予定。今後、新情報が飛び交うことになりそうだ。

国内では、佐藤健や菅田将暉、松坂桃李、仲野太賀ら20代後半から30代前半の旬の男優の新作がひしめいている。

【女優】シアーシャ・ローナン(『アンモナイト(原題)』『フレンチ・ディスパッチ(原題)』)

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の好演も記憶に新しい若き演技派は、今後日本公開される新作でも大活躍。

1本目は、ケイト・ウィンスレットと共演したラブロマンス『アンモナイト(原題)』。『ゴッズ・オウン・カントリー』のフランシス・リー監督の新作で、1800年代の英国を舞台に、2人の女性が絆を育んでいくさまを抒情的に描く。文芸の匂いが漂う作品はローナンの“鉄板”で、『ノマドランド』のフランシス・マクドーマンドらと共に、女優賞を争うことになるのではないか。


『アンモナイト(原題)』
2021年4月公開
監督・脚本:フランシス・リー
出演:ケイト・ウィンスレット シアーシャ・ローナン
配給:ギャガ

もう1本は、ウェス・アンダーソン監督の新作『フレンチ・ディスパッチ(原題)』。ティモシー・シャラメやティルダ・スウィントンら豪華キャストがそろい踏みの本作で、『グランド・ブダペスト・ホテル』にも出演したローナンがどんな輝きを放つのだろうか。

他には、Netflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』がヒット中のアニャ・テイラー・ジョイも見逃せない。配信スルーとなってしまったが、ホラー版『X-MEN』と呼ばれる『ザ・ニュー・ミュータンツ』、エドガー・ライト監督の新作『ザ・ラストナイト・イン・ソーホー(原題)』などが待機中だ。

国内では、清原果耶の勢いが止まらない。NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』の主演にも抜てきされた逸材は、2021年に出演作が5本も公開される予定。間違いなく、最旬女優の一人と言えるだろう。

【話題性】『シン・ウルトラマン』

誕生から25年を超え、遂に完結する最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』も話題だが、庵野秀明の挑戦はまだ終わらない。『シン・ゴジラ』に続く、特撮作品のリ・イマジネーションである『シン・ウルトラマン』が初夏に公開予定だ。

監督、樋口真嗣、企画・脚本、庵野秀明の黄金タッグで、斎藤工、長澤まさみ、西島秀俊らが出演。音楽はおなじみ鷺巣詩郎が担当する。

現状ではほぼ情報が明かされていないが、本作におけるウルトラマンのビジュアルがお披露目された際には、多くの人々の度肝を抜いた。ウルトラマンのオリジナルデザインを担当した成田亨の遺志を継ぎ、「覗き穴を作らない」「背びれをつけない」「カラータイマーを取る」など、細部までこだわり抜いた新たなウルトラマンが、スクリーンで飛翔する姿を楽しみに待ちたい。


『シン・ウルトラマン』
2021年初夏公開
監督:樋口真嗣 企画・脚本:庵野秀明 出演:斉藤工 長澤まさみ 有岡大貴 早見あかり 田中哲司 西島秀俊 山本耕史 岩松了 長塚圭史 嶋田久作 益岡徹 山崎一 和田聰宏
配給:東宝

今回挙げた作品は、あくまでほんの一部。まだまだ、多数の話題作が公開される日を待っている。原稿執筆段階では発表前の作品も、今後続々と情報がアップデートされていくだろう。

コロナ禍で映画制作にも制限がかかり、新作の安定した供給にはまだまだ時間がかかりそうだが、とはいえ2021年のラインナップも相当豪華。人生を彩る新作との出会いを心待ちにしつつ、新作情報に目を光らせていきたい。(文/SYO)

©和月伸宏/集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会 ©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved ©2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会 The Devil All The Time: Tom Holland as Arvin Russell. Photo Cr. Glen Wilson/Netflix © 2020 © 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited ©2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©️円谷プロ