浅田次郎による小説「輪違屋糸里」(わちがいやいとさと)の映画化となる『輪違屋糸里 京女たちの幕末』が12月15日に公開初日を迎え、同日、有楽町スバル座にて初日舞台挨拶が行われ、藤野涼子、溝端淳平、佐藤隆太、塚本高史、加島幹也監督、そして原作の浅田次郎がサプライズゲストとして登壇した。
新選組副長の土方歳三(溝端淳平)に思いを寄せる芸妓・糸里役の藤野は「撮影初日の溝端淳平さんと2人で歩くシーンでは、溝端さんが一緒に関ジャニ∞の『無責任ヒーロー』を歌ってくれた」と嬉しそうに回想するも、当の溝端は撮影が2年前ということもあり「え?全然覚えてない!本当に無責任だね!」と反省。藤野から「何が好き?と聞かれて関ジャニ∞と言ったら歌ってくれた」と溝端からリクエストがあったことが明かされると、「当時の藤野さんが16歳だから、何を話していいものかわからずに必死だった。すごく恥ずかしいエピソード」と照れていた。
さらに藤野は「ハイエースで移動しているとき、溝端さんは『新幹線は何故電車のようにガタゴトいわないのか』などのマメ知識を教えてくれた」と回想し、「僕が必死だった時の話だね。恥ずかしい」とポリポリ。徐々に記憶を取り戻した溝端だったが「(藤野は)ベンチコートをいつも忘れていたね」と思い出すも、今度は藤野が「覚えてない」という状況で、すかさず佐藤から「お互いにピンときてないね!」とツッコまれていた。
そんな佐藤は、完成披露試写会で溝端から「混ぜるな危険!」と言われた塚本と隣同士という配置。それゆえに塚本が挨拶しようとすると、佐藤は「さっき舞台袖でお腹が空いたと言っていたよね?」とスーツのポケットからおにぎりを取り出して塚本にプレゼント。塚本は「仕込むな!しかもなんでおにぎりなんだよ!」とツッコむも、佐藤は「食べる?喋る?」とイジリ続行で、溝端は「この二人を横にするな!」と声高に訴えていた。
「今日は真面目にやった方がいい」と気を取り直した塚本だったが「こんなに朝早い舞台挨拶って、みなさん経験ありますか?夕方とかは経験あるけれど、お昼をまたぐという。やはりお腹は空きますよ」と逆戻り。すると佐藤は芹澤鴨役の塚本を「あなたは芹澤鴨なの?それとも芹澤かもしれない、なの?」といじったり、塚本が佐藤のことを「鈴木さん」と呼んだりの漫談状態。溝端は「今日はこれを朝8時くらいからずっとやっていますから」とあまりの仲の良さに呆れていた。
会場が大いに盛り上がりを見せたところで、本日のサプライズゲストの原作者・浅田次郎が登場。浅田は本作について「緊張感のある映画で、気合が入っている。あっという間で短く感じたし、凄くいい映画だった」と太鼓判。また溝端が演じた土方歳三像には「新選組は既定の形があるから難しい。特に土方歳三は日本映画の中で一番多くの俳優がキャスティングされてきた役柄。その中で誰が一番かと考えると見当たらないけれど、この映画が大ヒットしたら溝端さんの土方歳三が決定版になるはず」と大絶賛。糸里を演じた藤野についても「原作を大切にしてくれたのはよくわかったし、セリフもほとんどが原作通り。すべてがピッタリだった」と賞嘆していた。
最後に藤野は「新選組の物語を女性目線で描いた作品。時代劇を観る機会が少なくなってしまっているけれど、新選組や糸里、当時の女性全員に共感できるストーリーなので、色々な方に観ていただきたい」とPR。加島監督は「生きづらく混沌としている現代に対して、現代を生きるヒントを時代劇を通して表現するのが僕らの役目」と時代劇の意義を説明し、「俳優陣の目がいい!眼差しがいい!優しい目、力強い目、切ない目、すべての眼差しに注目してほしい」と力を込めた。
『輪違屋糸里 京女たちの幕末』
12月15日(土) 有楽町スバル座ほか全国順次公開
監督:加島幹也
原作:浅田次郎「輪違屋糸里(上・下)」(文春文庫刊)
脚本:金子成人 門間宜裕 加島幹也
出演:藤野涼子 溝端淳平 松井玲奈 佐藤隆太 新妻聖子 石濱朗 榎木孝明 田畑智子 塚本高史
配給:アークエンタテインメント
【ストーリー】 幕末の京都。花街で<島原輪違屋>に身を置く、天神糸里(藤野涼子)。糸里が淡い恋心を抱くのは、新選組の土方歳三(溝端淳平)だった。糸里とは仲の良い桔梗屋の芸妓吉栄(松井玲奈)は芹沢の腹心の平山五郎(佐藤隆太)と恋仲で、初期の新選組には、近藤勇と芹沢鴨(塚本高史)という二人の局長が存在していた。両派は対立を深めていくが、それは「百姓」と「武士」という決して超えられない壁でもあった。やがて持ち上がる芹沢鴨暗殺計画。男たちの抗争の影で翻弄されていく糸里、吉栄、そして芹沢の愛人お梅(田畑智子)。彼女たちは一体何を見て、何に殉じるのか。そして最後に下した決断とは…。
©2018 銀幕維新の会/「輪違屋糸里」製作委員会