ドキュメンタリー × 劇映画 生きづらさを抱えた女性たちを描く西原孝至監督作『シスターフッド』予告編&場面写真

『わたしの自由について~SEALDs 2015~』、『もうろうをいきる』といったドキュメンタリー映画や実写映画『Starting Over』を発表し、国内外で高い評価を得た西原孝至監督が、初めてドキュメンタリーと劇映画が混在した実験的なモノクロ映画を制作。主要キャストにヌードモデルの兎丸愛美とシンガーソングライターのBOMIらを迎えた『シスターフッド』が、2019年3月1日より公開される。このほど、予告編と場面写真がお披露目となり、併せて、本作に出演するシンガーソングライターのBOMI、池田役の岩瀬亮よりコメントが寄せられた。

西原監督は本作を制作するにあたり、東京に住んでいる若い女性たちの生き方をオムニバスで紹介するドキュメンタリー映画を制作しようと2015年から活動を開始したが、2017年10月に広がった“#MeToo運動”の影響を受け、劇映画パートを発案。4年間撮り貯めてきた登場人物の生活に加え、新たに劇映画部分を撮影し、1本の映画にまとめた。本作のテーマは、もともとは“フェミニズム”であったが、性別に限らず、「世の中にはいろいろな生き方があって、その人がその人であることがまず素晴らしいということを大切にしたい」という、“多様性”を肯定する映画に仕上がった。

ドキュメンタリー部分で赤裸々に自身の経験や考えを語るのは、2017年に発売した写真集「きっとぜんぶ大丈夫になる」が女性を中心に支持されているヌードモデルの兎丸愛美(うさまるまなみ)と、第31回東京国際映画祭に正式出品されたMOOSIC LAB 2018長編部門作品『月極オトコトモダチ』で主題歌を担当したシンガーソングライターのBOMI(ボーミ)。

兎丸も出演する劇映画部分で、フェミニズムに関するドキュメンタリーの監督・池田役には、『イエローキッド』で主演を務め、河瀨直美プロデュースの日韓合作映画『ひと夏のファンタジア』で韓国でも注目される岩瀬亮。さらに、西原監督作『Starting Over』に出演した、遠藤新菜(『無伴奏』)、秋月三佳(『母さんがどんなに僕を嫌いでも』)、戸塚純貴(『銀魂2 掟は破るためにこそある』)が再集結し、それぞれ、兎丸の友達の女子大生・美帆、池田の彼女・ユカ、美帆の彼氏・淳太を演じる。遠藤は、劇映画部分で女子大生・美帆という役を演じつつも、『TOURISM』で共演しプライベートでも仲の良いモデル・女優のSUMIRE(『リバーズ・エッジ』)と共にドキュメンタリー部分にも出演し、女性としての生きづらさについて語り合う。このほか、秋月演じるモデル・女優の後輩役として、「新潟美少女図鑑」で注目を集め、音楽番組「音流~ONRYU~」のMCも務める、現役女子高生で女優の栗林藍希(あいの)が出演する。

場面写真には、ヌードモデルとして撮影をしている兎丸愛美、スマホをチェックするシンガーソングライターのBOMIの姿、ドキュメンタリー監督・池田(岩瀬亮)がBOMIのインタビューを編集しているシーンなどが収められている。

キャスト コメント

■BOMI
これは映画なのか。…ドキュメンタリーなのか?触れたことのない不確かな心地に一抹の不安と、だけど確かに興味を引き寄せられていった。映像を見る前には、実はとても怖かった。何年も前の自分が、何を話し、何を考えているのか、それを知るのが怖かった。見終えた今、その時に、カメラを止めなかった西原監督に、感謝している。生きづらさは、一生懸命に生きようとしているから生まれる。なにもかもに諦めがついていれば、人生なんてそんなもんだと受け入れられるのだろうから。だけどそれでも「ナニカ」を求めてしまう貪欲なわたし達が、ただ有り有りと映し出されている、そんな風に感じた。時代の風景として。

■岩瀬亮(池田役)
オファーをお受けした時にドキュメンタリー部分のカットをいくつかみせてもらいながら、いろんなことを考えました。見せてもらったその映像からは、カメラを向ける側にも向けられる側にもある種の覚悟を感じたからです。監督がこの映画を撮ろうとした覚悟と、同じくらいの覚悟を持たなければいけないと思いました。そして、ドキュメンタリーの中を生きる人間とフィクションの中を生きる人間を一つの同じ作品の中に共存させることは、とてもチャレンジングなことだと思っていたので、どのような仕上がりになるのか撮影中は想像がつきませんでした。完成した映画は、ドキュメンタリーでもあり、物語でもあり、詩でもあり、写真でもあり、音楽でもあり、そのどれでもないものでもありました。それら全てが融合して、現代に生きる女性、男性、人間の在り様が浮き彫りとなっていたように感じます。と同時に、これは撮影中監督を演じながらも思っていたことなのですが、自分がいかに日々惰性で世界を認知しているか、自分の感覚がいかに鈍感であるかを気づかされました。説教するでもなく、ある視点について気づかせてくれる映画ではないかと、僕は思います。

『シスターフッド』
2019年3月1日(金) アップリンク渋谷にて公開ほか全国順次公開
監督・脚本・編集:西原孝至
音楽:Rowken
出演:兎丸愛美 BOMI 遠藤新菜 秋月三佳 戸塚純貴 栗林藍希 SUMIRE 岩瀬亮
配給:sky-key factory

【ストーリー】 東京で暮らす私たち。ドキュメンタリー映画監督の池田(岩瀬亮)は、フェミニズムに関するドキュメンタリーの公開に向け、取材を受ける日々を送っている。池田はある日、パートナーのユカ(秋月三佳)に、体調の悪い母親の介護をするため、彼女が暮らすカナダに移住すると告げられる。ヌードモデルの兎丸(兎丸愛美)は、淳太(戸塚純貴)との関係について悩んでいる友人の大学生・美帆(遠藤新菜)に誘われて、池田の資料映像用のインタビュー取材に応じ、自らの家庭環境やヌードモデルになった経緯を率直に答えていく。独立レーベルで活動を続けている歌手のBOMI(BOMI)がインタビューで語る、“幸せとは”に触発される池田。それぞれの人間関係が交錯しながら、人生の大切な決断を下していく。

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