「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」を含む世界8つの映画祭で観客賞を受賞した、アルゼンチンのパブロ・ソラルス監督作『家(うち)へ帰ろう』の公開日が12月22日に決定し、併せてポスタービジュアルと場面写真がお披露目となった。併せて、著名人より本作への絶賛コメントが寄せられた。
本作は、アルゼンチンからポーランドへ、88歳のユダヤ人仕立屋が70年ぶりに親友に会いに行くロードムービー。ブエノスアイレスに住む88歳の仕立屋アブラハムは、ブエノスアイレスからマドリッド、パリを経由して、ポーランドに住む70年以上会っていない親友に、最後に仕立てたスーツを届けに行く旅に出る。親友は、ホロコーストから逃れたアブラハムを助け、匿ってくれた命の恩人であった。アブラハムは旅の途中で様々な困難に遭うが、出会う女性たちが手を差し伸べ、やがてかたくなだった彼の心も開けていく。出演には、『タンゴ』のミゲル・アンヘラ・ソラ、『シチリア!シチリア!』のアンヘラ・モリーナらが顔を揃える。
ホロコースト体験者であり、生涯「ポーランド」という言葉を口にすることすら拒んだ、パブロ監督の祖父との実体験をもとに、監督がカフェで耳にした「70年以上たってから親友に会いに行く」という老紳士のエピソードから着想を得て完成させた。「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」や「アトランタユダヤ人映画祭 2018」など計8つの映画祭で観客賞を受賞した。
著名人絶賛コメント
■十代目 柳家小三治
誰にでも観てもらいたいけど誰にも教えたくない気持ちもある。たまたま観た人と良い映画だったねと言えたら嬉しい。
■余貴美子(女優)
個性的で味のある演技に、辛くて悲しくて泣きたくなる物語なのになんとも気持ちが温かくなる。人間が信じられなくなっている人におススメです。
■宇田川彩(日本学術振興会・文化人類学/ユダヤ学)
出発した場所が家だったのか、向かう先が家なのか?道中、幾度となく過去の記憶に侵される彼の苦悶は想像を超える。それでも、耳を傾けようとする旅の道連れのおかげで私たちは彼の物語を聴くことができる。
■高橋諭治(映画ライター)
トラウマと人間不信にとらわれた老人の70年間の空白を埋める旅。その曲がりくねった道程に苦みの利いたユーモアと悪夢的なサスペンスをちりばめた作り手のセンスが、このロードムービーの味わいをいっそう深めている。
■川端美都子(香川大学経済学部准教授)
人はどこに帰りたいと思うのか。主人公の旅が象徴するのは、流浪というユダヤ的テーマだけではない。リア王的家族関係、戦後社会、高齢者問題という日常も内包されている。行き着く先に待つ希望に、心が震える作品。
『家(うち)へ帰ろう』
12月 22日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:パブロ・ソラルス
音楽:フェデリコ・フシド
撮影:フアン・カルロス・ゴメス
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ アンヘラ・モリーナ オルガ・ボラズ ユリア・ベアホルト マルティン・ピロヤンスキー ナタリア・ベルベケ
配給:彩プロ
【ストーリー】 アルゼンチンに住む88歳の仕立屋アブラハムは、施設に入れようとしている家族から逃れ、ポーランドへ向かうための旅に出る。目的は、70年前にホロコーストから命を救ってくれた音信不通の親友に自分が仕立てた「最後のスーツ」を渡すこと。飛行機で隣り合わせた青年、マドリッドのホテルの女主人。パリからドイツを通らずポーランドへ列車で訪れることができないか、と四苦八苦していたアブラハムを助けるドイツ人の文化人類学者など、旅の途中で出会う人たちは、アブラハムの力になろうと自然体で受け入れることで、彼の頑なな心を柔らかくしていく。たどり着いた場所は70年前と同じ佇まいをしていた。アブラハムは親友と再会できるのか、人生最後の旅に“奇跡”は訪れるのか……。
© 2016 HERNÁNDEZ y FERNÁNDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A.