ベネチア国際映画祭でビエンナーレ・カレッジ・シネマ部門エンリコ・フルキニョーニ賞を受賞したインド映画『ガンジスに還る』が、10月27日より公開となる。このほど、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。
本作は、誰にでも訪れる「死」というテーマをユーモアと人情味溢れるタッチで描き、不器用な親子と個性的な人々が織りなす心温まる物語。ある日、自らの死期を悟った父ダヤは、ガンジス河の畔の聖地バラナシへ行くと宣言し、仕方なく仕事人間の息子ラジーヴが付き添うことになる。辿り着いたのは、安らかな死を求める人々が暮らす施設「解脱の家」。はじめは衝突しあうも、雄大に流れるガンジス河は、次第に父子の関係をほぐしていく。
主演は、『マダム・イン・ニューヨーク』などに出演した、インドを代表する名優アディル・フセイン。監督・脚本は弱冠27歳の新鋭監督シュバシシュ・ブティアニ。監督自らバラナシを訪れ、「解脱の家」のような施設をいくつかまわり、そこに滞在する人やマネージャーに話を聞いてリサーチを重ねた。本作は、ベネチア国際映画祭では10分間のスタンディングオベーションが鳴り響き、世界中のメディアから称賛された。
著名人 絶賛コメント
■山田洋次(映画監督)
人生を静かに、ちょっぴり辛くみつめた素敵な映画。同じアジアの監督として拍手を送りたい。
■久米宏
生まれる時 意志はないが
死ぬ時には 少しだけその人の意志がある
なんとなくそう考えていた
この映画を観て やはりそうなのだと思った
■毒蝮三太夫(俳優・タレント)
生きるのも“苦”、死ぬのも“苦”。穏やかに死を迎へる…
歌も踊りもない、インド映画だけど
こんな人生を奥深く考える映画もあるんだ。何回も観たくなるよ。
■中沢新一(人類学者)
バラナシのガンジスの岸辺にはたくさんのアシュラムが立ち並び、死の到来を悟った人々が そこで最期の時を迎えようとしている。インドでは死が明確な輪郭をもち、現実の中に姿をあらわしている。この映画は、死が見える形で実在しているおかげで、混迷する現代を生きる家族に真の相互理解が発生する様子を、静かに描き出している。
■若竹千佐子(作家/「おらおらでひとりいぐも」)
死はお祭りなのだ。こちらからあちらへ家移りの祭り。
鉦、太鼓でにぎやかに送り出す原色の祭り。
何か肩の力が抜けた。いいな。こんなの。
■玄侑宗久(作家・僧侶)
家族に支えられ、 ゆるぎない死生観のうちに死ねるのは幸福である。ユーモアと簡潔な描写の積み重ねでシリアスなテーマを見事に描ききった。語られる解脱の内容にも私は感じ入った。
■岡野雄一(漫画家/「ペコロスの母に会いに行く」)
ガンジス河のほとりの終の棲家が、母が入所していた橘湾沿いの介護施設に直結し、親の最期と向き合う息子の心が痛いほどわかりました。「命」を問う素晴らしい映画です♡
■たかのてるこ(『ガンジス河でバタフライ』著者・旅人・エッセイスト)
母なるガンジスで、こんな風に死ねたら最高。
「いつでも、心の声に従え」
やりたいことを全部やってから、死ぬぞー!
『ガンジスに還る』
10月27日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
監督・脚本:シュバシシュ・ブティアニ
出演:アディル・フセイン ラリット・ベヘル
配給・ビターズ・エンド
【ストーリー】 ある日、自らの死期を悟った父ダヤは、ガンジス河の畔の聖地バラナシへ行くと宣言する。家族の反対もよそに、決意を曲げない父。仕方なく、仕事人間の息子ラジーヴが付き添うことに…。辿り着いたのは、安らかな死を求める人々が暮らす施設「解脱の家」。はじめは衝突しあうも、雄大に流れるガンジス河は、次第に父子の関係をほぐしていく。旅立つ者の心の動き、それを見守る家族のまなざし。果たして、ダヤは幸福な人生の終焉を迎えられるのか―?
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