アカデミー賞を席巻した『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督と主演ライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ最新作『ファースト・マン』が、2019年2月より日本公開となる。このほど、本作が第75回ベネチア国際映画祭のオープニング上映作品に選出され、現地時間8月29日にイタリア・ベネチアにて行われた本映画祭公式会見とワールドプレミアに、キャストのライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、オリヴィア・ハミルトン、デイミアン・チャゼル監督、脚本を手掛けたジョシュ・シンガーらが登壇した。
映画祭公式会見には、前作『ラ・ラ・ランド』で同年のアカデミー賞を席巻したデイミアン・チャゼル監督最新作ということもあり、会場には250人のキャパシティが満席になるほどのマスコミ陣が殺到。大きな歓声とフラッシュの嵐に歓迎されながら、メガホンを取ったチャゼル監督、ニール・アームストロングを演じたライアン・ゴズリング、アームストロングを支える妻ジャネットを演じたクレア・フォイ、アームストロングとともにアポロ計画に参加する友人で宇宙飛行士エド・ホワイトを演じたジェイソン・クラーク、ジェイソンの妻パットを演じたオリヴィア・ハミルトン、脚本のジョシュ・シンガーらが登壇し、大勢の海外メディアからの溢れんばかりの質問に丁寧に答えた。
人類初となる月面着陸を成し遂げたアポロ11号船長、ニール・アームストロングをテーマに本作を製作したことについて、「月面着陸を象徴的な画像や断片的な映像でしか知らない世代としては簡単にできたことだと感じてしまうが、実際はそうでなく、実現までの道のりを段階的に描きたかった」と語るチャゼル監督。アームストロングを演じたライアン・ゴズリングは役作りについて、「彼の息子たちや妻だったジャネットなど家族や幼なじみまで会い、飛行機の操縦法を身につける訓練もした。アームストロングはテストパイロット時代、その時点で開発中のテスト機に乗り込み、知識を向上させるために命がけでテスト飛行に臨むことができるような特殊な人で、自分(ライアン)には到底できない、その違いを認識することが役作りにおいて重要だった」とも語った。
チャゼル監督は、よくある美しくロマンチックな宇宙映画とは全く異なる本作について、「博物館で宇宙船の実物を観て、宇宙計画の文献や映像などからは感じられない、恐ろしくよく成功したなというリアルな想いを大切にしたかった」と述べ、監督ならではの視点が語られた。本作ではアームストロングは偉業を成し遂げた“ヒーロー”でなく、家族を通して性格や心情が描かれ、脚本担当のジョシュ・シンガーは、「アームストロングをよく知る元NASA長官マイク・グリフィンから『象徴的な物語でなく人間的な物語にするなら協力を惜しまない』と言われ、それはこの会見に臨む我々全員の目標だった」、アームストロングの妻ジャネット役を演じたクレア・フォイは、「アームストロングの子供たちにとって両親たちがどのように映っていたかを尊重した」と語った。また、今までの作品で音楽・音響に注目されてきたチャゼル監督は、「月面探査時にヘルメットを通し、聞こえるライアンの呼吸音のシーンは実際にアポロ16号で月面探索したジョン・ヤング宇宙飛行士のヘルメットを使用した」というこだわりの製作エピソードも明かした。
映画祭公式会見の後、ワールドプレミアが開催され、錚々たるスタッフ・キャストの面々を一目見ようと、大勢の観客とマスコミがベネチア国際映画祭のレッドカーペット会場に詰めかけた。期待と興奮で熱気が高まるなか、ライアンはさわやかな白のジャケット、クレアは映画祭開催国が輩出したハイブランドのヴァレンチノのドレス、ジェイソンは黒のタキシードで登場。チャゼル監督は、自身の妻であり、本作にも出演しているオリヴィア・ハミルトンとともに仲むつまじく撮影に応じた。メディアや観客からは「ライアンコール」が沸き起こるなど、ファンやマスコミの熱狂的な呼びかけに気軽にサインや撮影に応じた。
ワールドプレミアでは全世界初のお披露目となり、現在も絶賛のレビューが増える中、映画レビューサイト「Rotten Tomato」でも92%の高評価(8月30日現在)を獲得している。本作は、今後はトロント国際映画祭への出品も決定している。
『ファースト・マン』
2019年2月、全国ロードショー
監督:デイミアン・チャゼル
原作:ジェイムズ・R・ハンセン「ファーストマン:ニール・アームストロングの人生」
脚本:ジョシュ・シンガー
出演:ライアン・ゴズリング クレア・フォイ ジェイソン・クラーク オリヴィア・ハミルトン
配給:東宝東和
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