今年5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて最高賞のパルムドールを受賞した、是枝裕和監督の長編14作目『万引き家族』が6月8日より公開中。このほど、8月3日に中国全土約6000スクリーンにて本作が公開され、週末興行成績が第4位(48,600千元/約7.9億円)となる大ヒットスタートを切り、今年公開された全実写邦画のオープニング成績を超えた。※2月2日公開の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(16,790千元/約2.6億円)が年内実写邦画1位のオープニング興行。
中国作品以外のパルムドール賞受賞作品として、初めての中国商業公開となる本作。6月23日の上海映画祭では是枝監督、松岡茉優、城桧吏が、7月31日には、リリー・フランキーと佐々木みゆが訪中し、毎回熱烈な歓迎を受け、多くのメディアで取り上げられた。また、中国の映画サイト「MAOYAN」では8.1、「DOUBAN」では8.8というレビュー評価で高得点をマーク、「この作品は要ティッシュ持参で、座って、静かに観て、この作品の本質を受け止めるに値する映画だ」「とても癒される作品だ。家族の皆は隠さなければいけない秘密をそれぞれが抱えているが、いつも他者のことを考えている」と評価され、最終の興行成績に期待が寄せられている。
また、アジア各国での公開状況については、香港(7月5日公開)では『そして父になる』対比156%というオープニング成績、台湾(7月13日公開)でも『そして父になる』の成績を2倍以上も上回る成績を叩き出した。さらに、現地時間7月26日より公開となった韓国でも、アートハウスランキングでは第1位を獲得。既に是枝監督人気の高い韓国だが、パルムドール受賞や日本やアジア各国でのヒット効果もあり、目標動員を大きく上回るスタートを切った。現地時間7月29日、30日には是枝監督が来韓し、大量のパブが露出されたことに加え、レビューサイトでも高い評価を得て口コミ効果に繋がり、2週目を迎えた先週末も大作にスクリーンを占拠されながらも落ちの少ない興行を続けており、既に累計9万人を動員、大ヒットした『そして父になる』(12万人動員)を超える勢いをみせている。
本作はアジア圏、ヨーロッパ各国、北米など含め現在合計で185の国と地域への販売が決定している。また、9月にスペインで開催される第66回サンセバスチャン映画祭において、是枝監督が生涯功労賞にあたるドノスティア賞を受賞、さらには、第36回ミュンヘン国際映画祭では外国語映画賞に当たるARRI / OSRAM 賞を日本映画で初受賞した。日本国内興行においては、8月5日までに興収42.7億円、約349万人の動員を記録している。
■是枝裕和監督 コメント
『万引き家族』が、日本のみならず、アジア各国で、多くの観客の方々に観ていただけているとのこと。ありがとうございます。このところ自分としては大きな規模での公開作品が続いていたので、今回は初心に返って、ミニシアターで自作を展開していた時のように、小さく産んで息長く育てていく、というつもりでした。なので、この予想外の結果には正直、喜びよりは、驚きの方が強いです。カンヌ映画祭での受賞の効果はもちろんなのですが、公開に合わせて、過去の作品の回顧上映などを企画して頂いたりと、現地の配給宣伝の方々のご尽力も肌で感じています。この成果を、良い形で次につなげていければと思います。
『万引き家族』
6月8日(金)より公開中
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ
松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ
緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 / 柄本明
高良健吾 池脇千鶴 / 樹木希林
配給:ギャガ
【ストーリー】 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく─。
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