山田愛奈と加藤綾佳監督が登壇!『いつも月夜に米の飯』トークイベント レポート

2015年に森川葵の出世作でもある『おんなのこきらい』がスマッシュヒットを記録した加藤綾佳監督が、新潟出身の注目女優・山田愛奈とともに、地元・新潟県でオールロケを敢行した映画『いつも月夜に米の飯』が9月8日より公開となる。それに先だち、7月28日、新宿シネマカリテで開催中の「カリテ・ファンタスティク!シネマコレクション 2018(カリコレ)」にて、プレミア上映&トークイベントが行われ、主演・山田愛奈と加藤綾佳監督が登壇した。

■山田愛奈ともども新潟出身ということだが、立ち上げの経緯などは?
加藤監督:山田さんが「新潟美少女図鑑」にでられていたり、いろんな経緯から映画を撮ろうという企画が立ち上がりました。最初に山田さんを紹介されたときに、「どんな子ですか?」と性格のことを聞きたかったんですが、「おにぎりが好きな子」と言われて、意味がわからない!と思って(笑)。はじめて会った時は、山田さんがまだお芝居を一切やってない頃で、むしろお芝居なんてやりたくないと不機嫌な様子がとてもいいな、とキャラクター作りをはじめました。新潟県はお米が有名で、ずっと食の映画を作りたいと思っていたので、作りはじめたのが最初です。

■山田にとっては、『最低。』に続き、はじめての単独主演作だが、千代里という役を演じて、どうだったか?
山田:まず、地元の新潟が舞台ということもあって、たくさんプレッシャーもあったんですが、監督やスタッフのみなさんが支えてくれたのでとても楽しく撮影にのぞめました。と、同時に、いろんなことを学べて、とても充実してました。

加藤監督:オール新潟ロケで2週間近く撮影したんですが、アットホームな現場でしたね。撮休の日に、ロケ地の居酒屋さんでスタッフと打ち合わせをしていたら、山田さんと、(アサダ役の)和田聰宏さんがスーパーで材料を買ってきて、スタッフにごはんを作ってくれたりして。それくらいアットホームで楽しい現場でした。

■ベテランの俳優陣に囲まれての主演は?
山田:ひとことでいうと、吸収することが多すぎて…。毎日毎日、大物の方と共演するシーンがあったので、私自身もそれに負けないようにと言いますか、吸収できることは吸収して。カメラが回ってない時でも、たくさんお話しして下さったので、打ち解けるのは早かったです。

加藤監督:山田さん中心に演出をしてたのですが、見た目で説得力のあるベテラン勢が多く、土台を作っていただいていたので、安心して山田さんと千代里というキャラクターについて話しあったりできました。

■「あたたかいごはんと家族」というポスターイメージから裏切られるような展開の内容が、さすが『おんなのこきらい』(森川葵主演)の加藤綾佳監督だった。
加藤監督:ダマされたでしょ!(笑) たっての希望で、「あったかいごはんの映画」と思わせといて…という宣伝にしたいと最初からお願いしました。

山田:映画のお話をいただいた時に「おいしいごはんの話」と聞いていたので、監督の「加藤節」がきいてる過去作から路線変えてきたな…と思いまして。いざ、脚本をみたときに、「ちょっと待てよ…これ、おいしいごはんの話」か?と。もちろんそうなんですけど、それを前提で、加藤節がききにききまくって、いい味出してると思いました。母親役の高橋由美子さん相手に心臓バクバクのシーンがあったりで(笑)。

■挿入歌『おいしい声』(SOROR feat.山田愛奈)について。
山田:やだー!やっちゃいました(笑)。はじめてのことです。

■プレミア上映の最後に。
加藤監督:自分の部屋で一文字一文字パソコンを打ってという、形のなかったものが、最終的に役を演じてもらって、カメラで撮影して映像になって、お客様にみていただいて、はじめて「映画」になれると思ってます。みていただいて、千代里はじめ『いつ米』の登場人物が、今日はじめて生まれることができました。その姿を皆様の心の中に焼き付けていただけたら、うれしいなと思ってます。なので、『いつ米』を生んで下さってありがとうございます、という側だと思います。

山田:この映画に出ている千代里ふくめ、いろんな登場人物の思いや愛、不安など、いろんな気持ちが出ていたと思います。みなさんも不安や悩みがたくさんあると思うのですが、この作品を見終わったあとに、その重みがちょっとでも軽くなってたらうれしいなと思います。そして、同じように悩み事をしていたり、最近落ち込んでるなっていう人がいたら、この映画をすすめて、ぜひ何度でも劇場に足を運んでもらいたいなと思います。ありがとうございました。

併せて、本予告編がお披露目となった。公開された予告編では、ファーストフードを食べている女子高生・千代里(山田)が校内放送に振り返る姿からはじまる。母が失踪したという知らせを受け、故郷・新潟の居酒屋に戻ると、店を守ろうとする料理人のアサダがいた。母へのわだかまりを癒すようなやさしいおにぎりの味、新潟の豊かな海産物、地元の個性的な客たち、家族、恋。女将としての仕事にも慣れてきたある日、突然、母が戻ってくるー。<てのごはんみたいにあったかくて、塩引鮭よりもばかしょっぱい>私の人生は、どこへ向かうのか。「人生で最後に食べるものって、何になるんだろう?」とつぶやいて、ふりかえる海辺の千代里で締めくくられる。

『いつも月夜に米の飯』
9月8日(土)よりシネマカリテ、9月22日(土)より新潟シネウィンドほか順次ロードショー
監督・脚本:加藤綾佳
主題歌:吉澤嘉代子「雪」(e-stretch RECORDS/日本クラウン)
挿入歌:SOROR feat. 山田愛奈「おいしい声」
出演:山田愛奈 和田聰宏 高橋由美子 渡辺佑太朗 春花 MEGUMI 西山宏幸 森下能幸 マッスル坂井 飯田孝男 小倉優香 山川未菜 宮城大樹 山本直寛 山口岳彦 内田周作 小倉一郎 角替和枝
配給:SPOTTED PRODUCTIONS

【ストーリー】 新潟で居酒屋を営む母の元を離れ、東京の高校に通う女子高生・千代里(山田愛奈)。夏休み間近のある日、母親・麗子(高橋由美子)が突然失踪したという知らせを受ける。女手一つで千代里を育てた麗子は、昔から男癖が悪く、自由奔放。そんな母親へのわだかまりを抱えつつも新潟に戻ると、そこには店を守ろうとする料理人のアサダ(和田聰宏)がいた。女将として働くこととなり、地元の個性豊かな客たちを相手にしながら、徐々に心を開き、仕事にも慣れていく千代里は、次第にアサダに心惹かれていく。そんな幸せな日々の中、突然、母が帰ってくる―。

©2018「いつも月夜に米の飯」製作委員会