『この世界の片隅に』に新シーンを追加した『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』12月公開決定!特報映像

2016年11月12日に劇場公開され、第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、激化していく世の中で大切なものを失いながらも、日々を大切に前を向いていく女性・すずを描いた、片渕須直監督による珠玉のアニメーション作品『この世界の片隅に』。このほど、本作に約30分の新規場面を付け足した別バージョンが、タイトル『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』として、12月に公開されることが決定し、併せて特報映像とポスタービジュアルがお披露目となった。

片渕監督は、原作にはまだまだ魅力的なエピソードがあり、それを描き足すことによって主人公のすずだけではない、「さらにいくつもの人生」を描き出したいと考え、今回の制作に至った。別バージョンでは、主人公すずと、すずが嫁ぎ先の町で初めて出逢う同世代の女性リンとの交流を描いた、昭和19年秋と昭和20年冬から春にかけてのエピソード、さらに妹すみを案じて過ごす中で迎える20年9月の枕崎台風のシーンなどが追加される。

新規シーンの絵コンテは通常のアニメ作品と同じように、企画当初から存在はしていたものの、本バージョンでは、それらを見直しながら復活させ、さらに新たなカットも加えている。これまでの現行版とは一部主題も変わってくるため、別の題名をつけた「もう一本の映画」として制作することとなった。新タイトルは、片渕監督によるタイトル案を、原作者こうの史代が快諾し決定された。

前作に引き続き主人公・すずを演じるのは、のん。音楽を、こちらも前回に引き続き、シンガー・ソング・ライターのコトリンゴが担当。本作でも主題歌を含む全ての劇中曲を担当し、新曲も制作される予定だ。片渕監督自らが制作した特報映像では、コトリンゴが歌う「悲しくてやりきれない」に乗せ、指につけた紅によってリンの横顔が描かれていき、さらに、のん演じるすずの声が新たに収録されている。

『この世界の片隅に』は、2016年度のキネマ旬報ベストテンにて『となりのトトロ』以来アニメでは2回目となる日本映画第1位、またアニメ監督としては初となる監督賞を受賞、さらに、同年度の日本アカデミー賞にて最優秀アニメーション作品賞を受賞するなど数々の賞を受賞した。翌年にはアヌシー国際アニメーション映画祭で長編部門審査員賞を受賞し、世界34カ国でも劇場公開され、海外でも高い評価を獲得している。日本国内ではDVDや配信がリリースされた現在もなお、600日以上1日も途絶えることなく劇場での上映を続けており、今年の夏も全国各地で再上映が実施され、東京・大阪・神戸・広島・呉では、のんと片渕監督による舞台挨拶を予定している。

■片渕須直監督 コメント
戦争しおってもセミは鳴く。ちょうちょも飛ぶ。そして、人には人生がある。それが戦争中であっても。明るくぼーっとした人のように見えるすずさんが自分以外の「世界の片隅」と巡り合うとき、すずさんの中にはどんな変化が生まれるのでしょうか。すずさんの中にあったほんとうのものを見つけてください。

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
12月、テアトル新宿・ユーロスペースほかにて全国公開
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
音楽:コトリンゴ 
アニメーション制作:MAPPA
声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 牛山茂 新谷真弓 澁谷天外(特別出演)
配給:東京テアトル 

【ストーリー】 広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19(1944)年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。ある日、迷い込んだ遊郭でリンと出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりを感じてしまう。昭和20(1945)年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。そして昭和20年の夏がやってくる―。

(C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会