今年5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて最高賞のパルムドールを受賞した、是枝裕和監督の長編14作目『万引き家族』が6月8日に公開された。本作は、公開後7日間で10億円突破という、2018年公開の実写邦画の中で最速の記録を叩き出し、公開から3週間連続で映画動員ランキング1位を記録。7月7日時点で動員は270万人、興収は34億円に達している。このほど、第36回ミュンヘン国際映画祭(開催期間:6月28日~7月7日※現地時間)にて、『万引き家族』がCineMasters Competition部門ARRI/OSRAM賞を受賞した。
ミュンヘン国際映画祭は、ドイツではベルリン国際映画祭に次ぐ映画祭で、同部門には国際的に知名度が高い監督の作品が選出されている。今年も『Ash is Purest White』『Burning』など、カンヌ国際映画祭コンペティション部門でも並んだ話題作がひしめく中、日本映画が初の受賞をするという快挙を成し遂げた。カンヌ国際映画祭(最高賞パルムドール受賞)、サン・セバスチャン国際映画祭(ドノスティア受賞)に続いて、3度目となる栄誉に輝いた。
■授賞理由
『万引き家族』で是枝裕和は、社会や家族の中で最も小さい集団を、再編成する権利を得た断片に分ける。主人公たちは、名前や自分の役割を変え、自分の中の倫理やモラルを血縁家族や社会にとらわれないところで発展させる。『万引き家族』は、私たちに新たな可能性と希望を与えてくれた。
■審査員
アマンダ・プラマー(米女優/『パルプ・フィクション』、『フィッシャー・キング』)
メレート・ベッカー(独女優/『リトル・シャークス』)
ブリクサ・バーゲルト(独ミュージシャン/アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの創立メンバー)
■ARRI/OSRAM賞 最近の受賞作
・第35回(2017) 『ラブレス』(アンドレイ・ズビャギンツェフ監督)
・第34回(2016) 『セールスマン』(アスガー・ファルハディ監督)
・第33回(2015) 『ホース・マネー Horse Money』(ペドロ・コスタ監督)
・第32回(2014) 『裁かれるは善人のみ』(アンドレイ・ズビャギンツェフ監督)
『万引き家族』
6月8日(金)より公開中
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ
松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ
緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 / 柄本明
高良健吾 池脇千鶴 / 樹木希林
配給:ギャガ
【ストーリー】 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく─。
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