今年5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて最高賞のパルムドールを受賞した、是枝裕和監督の長編14作目『万引き家族』が6月8日に公開された。本作は、公開後7日間で10億円突破という、2018年公開の実写邦画の中で最速の記録を叩き出し、公開から3週間連続で映画動員ランキング1位を記録。28日には来場者数が220万人を突破し、興収は27億円に達している。このほど、スペイン・バスク地方で行われる第66回サン・セバスチャン国際映画祭(9月21~29日)に本作が出品されることが決定し、是枝裕和監督が俳優または監督に贈られるもっとも名誉ある賞で、生涯功労賞にあたるドノスティア賞を受賞することとなった。これはアジア人初の快挙となる。
本賞は、過去にはアル・パチーノ、フランシス・フォード・コッポラ、オリバー・ストーン、リチャード・ギア、メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー、ヒュー・ジャックマン、デンゼル・ワシントンなど名だたる監督、俳優が受賞。是枝監督作品の同映画祭出品は本作で9作目となる。
■授賞理由について ホセ=ルイス・レボルディノス(フェスティバルディレクター)
我々は是枝裕和監督を現代の映画界で非常に重要な映画人と考えております。監督として高い技術力や熟練の域に達した作品だけでなく、私たちが授与にあたり付け加えなければならないのは、彼が持つ深いヒューマニズムです。監督は特に家族の視点や子どもたちの特別な世界を通じて現代における社会的な問題を歴史に刻む重要な記録者のひとりと考えております。彼は何年にもわたりサン・セバスチャン映画祭に参加してくれており、もはや映画祭だけでなく、サン・セバスチャンという街の本当の親友となりました。上映した作品の内二作(『そして父になる』、『海街diary』)は観客賞を受賞しましたが、是枝監督はサン・セバスチャンで本当に市民に愛されているのです。
■是枝裕和監督 コメント
サン・セバスチャンは僕にとって特別な映画祭です。初めて呼んでいただいてから20年になりますが、その間に触れた、あの景色、あの観客の笑顔、全てが忘れがたいです。その時間の積み重ねが、今回の賞に繋がったのだとしたら、こんなに嬉しいことはありません。ありがとうございます。
『万引き家族』
6月8日(金)より公開中
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ
松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ
緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 / 柄本明
高良健吾 池脇千鶴 / 樹木希林
配給:ギャガ
【ストーリー】 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく─。
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