心に孤独を抱えてしまった女性と、自分を彼女の恋人だと信じて疑わない猫との関係を描いた映画『猫は抱くもの』が6月23日に公開となる。このほど、一人二役を演じる柿澤勇人が本作への出演について語った。
主演は、『ヘルタースケルター』以来6年ぶりの主演作となる沢尻エリカが務め、猫の良男の擬人化した姿を吉沢亮が演じる。監督は、『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『グーグーだって猫である』を手掛けた犬童一心が務め、劇中では実写の猫に加えて、演劇風の演出、アニメーションなど数々の新鮮な演出が盛り込まれている。
沢尻演じる主人公・沙織を過去と現在で翻弄する二人の男を演じるのは、“舞台の貴公子”こと柿澤勇人。劇団四季出身の柿澤は、近年では「デスノート THE MUSICAL」で浦井健治と共にダブルキャストで主役を務め、また「先に生まれただけの僕」、「デザイナーベイビー」、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」など舞台以外にも活躍の場を広げている。さらに今年9月から上演される、福田雄一が演出・上演台本、山田孝之と共にダブル主演で贈るミュージカル「シティ・オブ・エンジェルズ」が控えている。
今回3年ぶりとなる映画出演で、待望の犬童組への参加となった柿澤。監督のほとんどの作品を観ているという柿澤は、犬童組の撮影を体験し、「1カット1カット絶対妥協しないです。他の現場で時間がないとかで“しょうがない、次行こう”っていうのは経験しているんですけど、監督は自分の中の基準を超えていかないと次に進まない。日没が近づいて撮影時間も残りわずかみたいな時もあったんですけど、それすらも楽しんでいる。本当にお芝居が好きで映画が好きな方なんだろうなと感じました」とコメントしている。
また、キャスト陣が本作について口を揃えて語るのが、映画と舞台が交錯する独特な世界観。脚本を読んだ時について、柿澤は「僕も文字だけではわかりませんでした(笑)」と困惑したようだが、舞台経験が役立ったらしく、「舞台の経験で言うと“この脚本、大丈夫なの”っていうのは多々あるんですよ。でも演者が面白くて演出が素晴らしいと別物になって引き込まれるという経験があるので、特に不安ではなかったですし、実際撮影が始まれば、そんな不安はすぐに払しょくされましたね」と語った。
柿澤は舞台でも経験している一人二役を本作でも経験したが、今回の役柄について、脚本の時と同様に「どうしようと思いましたね(笑)」と戸惑った様子。しかし、監督のアドバイスによりさほど悩まずに演じることができたようで、「衣装合わせの時に、一方の役が恰幅良くて、監督も『この役はラグビーをやっていたのかなー(監督のモノマネ)』とか言って和ませてくださって(笑)、僕が色々作り込んだ方がいいのか、それとも映像だからしないほうがいいのか悩んでいたのですが、芝居の余計なものを監督がそぎ落としてくれてましたね」と語る通り、劇中では二役を伸び伸びと演じている。
意外な事に、映像作品でのキスシーンは本作が初だと語る柿澤。共演者である沢尻エリカとのキスシーンについて「舞台の稽古でも、いつキスシーンをするのかちょっとしたイベントみたいで緊張することはあるんですけど、映像作品では初めてなうえに、相手は沢尻さんで余計に緊張しました。でもその緊張がバレてしまうのもいやなんで、努めて普通にやったら、沢尻さんも普段と変わらず演じてくれて。現場でもすごい気さくに話してくれましたし、オンオフで嘘の無い素直な方だろうと思いました」と沢尻との共演を振り返っている。
『猫は抱くもの』
6月23日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:犬童一心
脚本:高田亮
原作:『猫は抱くもの』(大山淳子著・キノブックス刊)
出演:沢尻エリカ 吉沢亮 峯田和伸 コムアイ(水曜日のカンパネラ) 岩松了 藤村忠寿 内田健司 久場雄太 今井久美子 小林涼子 林田岬優 木下愛華 蒔田彩珠 伊藤ゆみ 佐藤乃莉 末永百合恵 柿澤勇人
配給:キノフィルムズ
【ストーリー】 主人公の沙織(沢尻エリカ)は、とある地方都市のスーパーマーケットで働くアラサー女性。かつてはアイドルグループ「サニーズ」のメンバーとして芸能界で活動していたが、歌手としては芽が出ず、すべてに嫌気が差して都会から逃げてきた。今の自分を好きになれず、周囲ともうまく馴染めない彼女にとって、心を許せる唯一の存在は、ペットショップで売れ残っていたロシアンブルーのオス猫「良男」(吉沢亮)。嬉しかったこと、哀しかったこと、腹が立ったこと…。すべてを受け止めてくれる「良男」に向かって、沙織は日々、妄想を交えながら語りかける。そして「良男」は、いつしか自分を人間だと信じ込み、恋人として沙織を守らねばと思い始める。そうやって過ごしてきた、こじらせた1人と1匹の日常にも、変化が訪れて…。
©2018 『猫は抱くもの』製作委員会