2016年のイタリア・ゴールデングローブ賞にて最優秀脚本賞を受賞した、3人の少年少女の恋と友情を描く青春映画『最初で最後のキス』が6月2日に公開初日を迎え、同日、新宿シネマカリテにて初日舞台挨拶が行われ、主演俳優のリマウ・グリッロ・リッツベルガーがイタリアのローマから駆けつけた。
2000人以上のオーデョションを勝ち抜き、里親に引き取られる同性愛者という難しい役どころを演じきったリマウは、新人俳優に贈られる「Guglielmo Biraghi賞」にも選ばれたイタリアの新星で、インドネシア人の父とオーストリア人の母を持つ、ローマ大学哲学科に通う現役の大学生だ。
「コンニチハ」と日本語で挨拶したあとに、「昨日ついたばかりで、この東京にすごく驚いています。来ることができてとても嬉しいです。この映画を皆さんに気に入ってくださっていると嬉しいです。いまここで皆さんとお話して、この映画が日本の皆さんに何を伝えることができたのかを、今日は知りたいです」とコメント。
観客からの「実話をもとにした事件(※ラリー・キング殺人事件:08年2月にアメリカで15歳のラリー・キングが14歳の同級生にピストルで撃たれて死亡した事件)とのことですが、イタリアでは有名ですか?」との質問に、リマウは「全員ではないですが、結構みんなが知っている事件です。大きな話題になりました。なぜならその頃にイタリアではホモファビア、性差別に反対する法案が国会で議論になっていたからです。この事件をきっかけにイヴァン・コトロネーオ監督は最初に小説を手掛け、その後にこの映画を撮りました」と答えた。
続いて、観客からの質問「LGBTの問題はイタリアでは教育に取り入れられてますか?」には、「もちろん、そうです。イタリアでは重要な問題として考えられています。ローマでピンク色のズボンを履いた男の子が、主人公のロレンツォと同じように、いじめにあって、自殺してしまうという事件があり、大きな問題になりました。若い子たちが健康的に成長するために、他者に対してリスペクトするというのは非常に大事なことなので、時間をかけて行われています。この映画は教育省の支援を受けていて、色々な学校で上映会をしました。またLGBTと同じく、イタリアでは女性に対しての暴力が大きな問題となっていて、その問題についても語りました。イタリアでは現実的な大きな社会問題として女性への暴力があります」とリマウ。
また、「ロレンツォを演じるにあたって、演じやすかった部分と、やりにくかった部分を、それぞれ教えてください」との質問には、「ファンタスティックな想像上の人物であったので難しかった。彼はあの年齢で自分に自信を持っていて、非常に自由な心を持っている人物です。撮影時は、僕は18才でしたが、そんな自信と自由の心を持っていなかったので、強いキャラクターを演じるのはとても難しかった。一方で、普段着ないような蝶々の柄の服を着たり、思いっきりダンスしたりするシーンでは、自分を解放することができて、とても楽しかったです」と語り、舞台挨拶は幕を閉じた。
『最初で最後のキス』
6月2日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー中
監督・原案・脚本:イヴァン・コトロネーオ
出演:リマウ・グリッロ・リッツベルガー ヴァレンティーナ・ロマーニ レオナルド・パッザッリ
配給:ミモザフィルムズ 日本イタリア映画社
【ストーリー】 イタリア北部・ウーディネ。個性的なロレンツォは、愛情深い里親に引き取られ、トリノからこの町にやって来るが、奇抜な服装で瞬く間に学校で浮いた存在に。ロレンツォは同じく学校で浮いている他の2人―ある噂から“尻軽女”とのそしりを受ける少女ブルーと、バスケは上手いが“トロい”とバカにされるアントニオと友情を育んでいく。自分たちを阻害する生徒らに復讐を試みるが、それを機に少しずつ歯車が狂い始める…。
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