97歳で没するまで生涯現役であり続けた伝説の画家・熊谷守一=モリのエピソードをもとに、沖田修一監督が晩年のある1日をフィクションとして描いた映画『モリのいる場所』が5月19日より公開中。大ヒット御礼舞台挨拶トークイベントが5月26日に行われ、山﨑努はシネ・リーブル池袋に、樹木希林は名古屋のミッドランドスクエアシネマに登場した。
ともに文学座の出身で60年以上のキャリアを持つ山﨑と樹木。実は共演するのは本作が初めてとなるが、50年以上を共にした夫婦(守一と妻の秀子)を見事な存在感で演じている。
山﨑は、本作が大ヒットスタートした事について聞かれると、「(ヒットしているのは観客の)皆さまのおかげだと思います。モデルになった熊谷守一先生がとにかく特別なキャラクターなのでどういうふうに沖田監督が撮って皆さんに伝えるか楽しみだった。(熊谷守一は)ある部分で本当に変わり者ですから、皆さんに受け入れて貰えるキャラクターなんだろうかどうなのだろうかと、自分の演じたキャラクターがどう受け入れられるのかと心配でした。こうして皆さんに観ていただける状況になってとても嬉しいというか、正直ほっとしている感じです」と述べた。
初めて多くの取材を受けたことについては、「(これだけの多くのインタビューを受けたのは)初めてだった。僕は人前に出るのは苦手な方でなるべく宣伝の仕事からはかんべんしてくださいって事で逃げ回っていたが今回ばかりはそういうわけにいきませんので、プロデューサーにひっぱりまわされた。でも実は今日これが最後、今日(観客の)みなさんとお会いして全て終わりです」と、本作の好きな所については、「希林さんをはじめ共演者の皆がとても良い演技をしていて、同時に庭や美術に手を入れて作ったあの庭に僕はしびれました」と語った。
樹木は、「『モリのいる場所』で、“夫に嫌な思いをさせない、嫌なことをさせない”という夫婦円満の秘訣を学びました。娘にお母さんは逆のこと、夫をぺちゃんこにしているって、言われます。勝手に本人が登って落ちている気もするけど…。(ナレーションを務めた)『人生フルーツ』の津端英子さんもおなじことをおっしゃっていました。英子さんは秀子さんと同じだから夫婦円満なんです」と独特の語り口で会場を沸かせた。
『モリのいる場所』
5月19日(土)より全国ロードショー中
監督・脚本:沖田修一
出演:山﨑努 樹木希林 加瀬亮 吉村界人 光石研 青木崇高 吹越満 池谷のぶえ きたろう 三上博史
配給:日活
【ストーリー】 自宅の庭には草木が生い茂り、たくさんの虫や猫など、守一の描く絵のモデルとなる生き物たちが住み着いている。守一は30年以上、じっとその庭の生命たちを眺めるのを日課にしていた。普段、守一は妻の秀子と二人の生活をしているが、毎日のように来客が訪れる。守一を撮ることに情熱を燃やす若い写真家の藤田くん、看板を書いてもらいたい温泉旅館の主人、隣人の佐伯さん夫婦、郵便屋さんや画商や近所の人々、そして、得体の知れない男…。今日もまた、モリとモリを愛する人々の、可笑しくて温かな1日が始まる。
(c)2017「モリのいる場所」製作委員会