山﨑努が本物の蟻との共演に奮闘!『モリのいる場所』特別映像&新場面写真 美術監督のインタビューも

97歳で没するまで生涯現役であり続けた伝説の画家・熊谷守一=モリのエピソードをもとに、沖田修一監督が晩年のある1日をフィクションとして描いた映画『モリのいる場所』が5月19日に公開となる。このほど、モリの庭と生き物に注目した特別映像が公開され、併せて、庭でのびのびと演じる山崎努と樹木希林の場面写真がお披露目となった。

本作は、晩年の30年間ほとんど家の外へ出ることなく庭の生命を描き続けた画家・熊谷守一(通称モリ)と妻・秀子の結婚52年目のある1日の物語。日本を代表する名優と称される山﨑努と樹木希林が初共演を果たし、監督は『キツツキと雨』や『横道世之介』を手掛けた沖田修一監督が務める。

特別映像は、庭の地べたに寝ころんで蟻の行進を見つめる画家のモリを映し出し、モリを演じる山﨑努が加藤拓人助監督らと共に、CGではなく本物の蟻との共演に奮闘した貴重な映像となっている。

本作に登場する庭をつくった、美術監督の安宅紀史は、「映画のほぼすべてが熊谷家の庭と家のなかで進行しますから、ロケーション探しが肝でした。なかなか格好の家が見つからない中、やっと見つけたのが、神奈川県の葉山にある古民家です。広い庭があると家のほうも立派な豪邸という場合が多いのですが、あの家はほぼ理想通りの簡素で古びた家で、庭も広い。しかも隣接した2軒分の庭も使えることになって、ここを見つけられたことは奇跡のようでした」と語る。

また、空き家だった家の中も「縁側は、元はカーペット敷きだったのを剥がして板床に張り替え、塗装と汚しを施して。ただし、縁側のへりが擦り切れているところは、元のままを生かしています」と、様々な細かい加工を施したという。さらに、木や草が元々生えていたという庭について、「モリが散策する小道をつくったり、草木を足していったり、古い塀を建てたりといった作業でモリの庭をつくっていきました。池は、地面の穴の、降りていく部分だけはあの庭につくり、降りてからの池部分は別の場所につくりました。両方ともあの庭につくるとなると大がかりになりすぎるので」と、庭づくりでこだわり抜いたポイントを明かした。

そして、撮影中の様子について、安宅は「俳優もスタッフも、庭を踏み荒らさないよう、ものすごくデリケートに動いて、植物たちもまた登場人物の一部のように扱っていました。何より、山﨑さんや樹木さんが、庭を見て喜んでくださったことが嬉しかったです。“あの庭に一歩入ればモリの世界に入っていける、それだけで役に入れる”とおっしゃってくれました」と振り返っている。

『モリのいる場所』
5月19日(土)、シネスイッチ銀座、ユーロスペース、シネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国ロードショー
監督・脚本:沖田修一
出演:山﨑努 樹木希林 加瀬亮 吉村界人 光石研 青木崇高 吹越満 池谷のぶえ きたろう 三上博史
配給:日活

【ストーリー】 自宅の庭には草木が生い茂り、たくさんの虫や猫など、守一の描く絵のモデルとなる生き物たちが住み着いている。守一は30年以上、じっとその庭の生命たちを眺めるのを日課にしていた。普段、守一は妻の秀子と二人の生活をしているが、毎日のように来客が訪れる。守一を撮ることに情熱を燃やす若い写真家の藤田くん、看板を書いてもらいたい温泉旅館の主人、隣人の佐伯さん夫婦、郵便屋さんや画商や近所の人々、そして、得体の知れない男…。今日もまた、モリとモリを愛する人々の、可笑しくて温かな1日が始まる。

(c)2017「モリのいる場所」製作委員会