心に孤独を抱えてしまった女性と、自分を彼女の恋人だと信じて疑わない猫との関係を描いた映画『猫は抱くもの』が6月23日に公開となる。このほど、沢尻エリカが演じる主人公・沙織がかつて所属していたアイドルグループ「サニーズ」が歌う本作のエンディングソング「ロマンス交差点」のMVがお披露目となった。
主演は、『ヘルタースケルター』以来6年ぶりの主演作となる沢尻エリカが務め、猫の良男の擬人化した姿を吉沢亮が演じる。さらに本作で銀幕デビューを飾る「水曜日のカンパネラ」のボーカルであるコムアイとロックバンド「銀杏BOYZ」でボーカルとギターを務める峯田和伸が出演。監督は、『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『グーグーだって猫である』を手掛けた犬童一心が務める。
エンディングソング「ロマンス交差点」は劇中、沙織(沢尻)がかつて所属していたアイドルグループ「サニーズ」の唯一のヒット曲として登場する。沙織にとっては大切な一曲でありながらも、アイドルだったころの夢をあきらめたことを想起させる歌として、劇中の重要なナンバー。シンガーソングライター奥村愛子による、17歳の甘酸っぱい気持ちを歌ったドキドキ感のあるドリーミーな歌詞と、益田トッシュがプロデュースを手掛けた、90sフレイバー満載のメロディーとグルーヴ感たっぷりな楽曲が奇跡の融合。「いまだに鼻歌を歌ってしまうほど、ロマンス交差点は何度も歌った」と沢尻に言わしめるほど、一度聞くと耳に残るインパクトを与える。
MVで公開されたサニーズのダンスにも注目。振り付けを担当したのは、新垣結衣が出演していた、グリコ「ポッキー」や菅田将暉の「ファンタレモン+C」などのCMの振り付けから楽曲、映画など幅広く振り付けを行っている振付師・香瑠鼓。彼女の初期代表作であるWink「淋しい熱帯魚」を思わせる懐かしさとキャッチーでキュートなダンスが披露されている。
そしてなんといってもアイドルスマイル全開で踊る沢尻エリカの姿が一番印象的。表現者として今までにない新しい魅力を発揮している。緑色の衣装を着た時子を演じているのはファッション誌「Oggi」の専属モデルとして活躍し、本作で映画初出演を果たした林田岬優。劇中では黒白ブチの猫の役にも挑戦しており、本作をきっかけに今後の活躍が期待される。さらにサニーズのリーダーである赤い衣装のナッツンをICONIQとしても知られる伊藤ゆみが演じており、彼女のアイドル姿も楽しむことができる。
沢尻は「サニーズの撮影もとっても楽しかった。皆が楽屋にいた時に、歴代のアイドルのキャッチコピーを参考にしながら、各々でキャッチコピーをつけて冗談まじりに監督に提案した所、それが実際に劇中で使われる事になって驚いた」と振り返る。伊藤ゆみも同じ感想を抱いたようだ。「私自身もアイドル出身なので、みんなでダンスを覚えたり、レコーディングしたり、楽屋でわいわいとお喋りしたり、なんだかとても懐かしい気持ちになりました。メンバーそれぞれキャラクターが違うので、そういったところも注目してほしい」と伊藤。沢尻演じるサオリン(沙織)のキャッチコピー「ツンデレ、デレぬき、さおりんです」は、こうした中で生まれた。
「今回の主人公は、元アイドルという特殊な設定だが、沙織の年齢に近しい女性たちには、きっと彼女の戸惑いや悩みを共感してもらえるのでは、と思います」と語る沢尻。サニーズの沙織として演じる彼女について評論家は「ただ輝くアイドル時代を演じた訳ではなく、センターにはなれないアイドル、でも自分なりにひたむきに頑張っているアイドルとして切なさが伝わる演技を魅せてくれた」と高評価する。
また、MVの最後にはメイキング映像も収録。振付の指導に対し、真剣に耳を傾けるメンバーの姿や、マンツーマンで指導を受ける沢尻の姿などが映し出されている。
▲リーダーナッツン(奈津子/センター):伊藤ゆみ(※元ICONIQ)、みるみる(美瑠/左から2人目):佐藤乃莉、りんりん(鈴子/右から2人目):末永百合恵、トッキー(時子/左端):林田岬優、さおりん(大石沙織/右端):沢尻エリカ
『猫は抱くもの』
6月23日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:犬童一心
脚本:高田亮
原作:『猫は抱くもの』(大山淳子著・キノブックス刊)
出演:沢尻エリカ 吉沢亮 峯田和伸 コムアイ(水曜日のカンパネラ) 岩松了 藤村忠寿 内田健司 久場雄太 今井久美子 小林涼子 林田岬優 木下愛華 蒔田彩珠 伊藤ゆみ 佐藤乃莉 末永百合恵 柿澤勇人
配給:キノフィルムズ/木下グループ
【ストーリー】 主人公の沙織(沢尻エリカ)は、とある地方都市のスーパーマーケットで働くアラサー女性。かつてはアイドルグループ「サニーズ」のメンバーとして芸能界で活動していたが、歌手としては芽が出ず、すべてに嫌気が差して都会から逃げてきた。今の自分を好きになれず、周囲ともうまく馴染めない彼女にとって、心を許せる唯一の存在は、ペットショップで売れ残っていたロシアンブルーのオス猫「良男」(吉沢亮)。嬉しかったこと、哀しかったこと、腹が立ったこと…。すべてを受け止めてくれる「良男」に向かって、沙織は日々、妄想を交えながら語りかける。そして「良男」は、いつしか自分を人間だと信じ込み、恋人として沙織を守らねばと思い始める。そうやって過ごしてきた、こじらせた1人と1匹の日常にも、変化が訪れて…。
©2018 『猫は抱くもの』製作委員会