2001年の直木賞候補になり、性の極限を描いたセンセーショナルな内容が話題を呼んだ石田衣良の恋愛小説「娼年」が、2016年の舞台と同じ松坂桃李×三浦大輔のコンビで映画化され、4月6日より公開中。このほど、主人公の娼夫リョウとナンバー1を競う、猪塚健太演じるアズマの写真がお披露目となった。

R18＋指定作品としては異例のヒットを記録し、予想をはるかに超える衝撃と感動で話題沸騰の本作は、女性たちとの物語はもちろん、リョウ（松坂桃李）とボーイズクラブ「Le Club Passion」でナンバー1を競う娼夫のアズマ（猪塚健太）とのシーンが注目を集めている。痛みでしか性的な快感を得られないという特殊な感覚を持ち、「僕の中で配線がこんがらがっているんだ」というアズマの告白に真剣に耳を傾けるリョウ。そして、男性同士の濡れ場が繰り広げられ、アズマは快感を得るためにリョウにあることを要求する。舞台版のこのシーンは、原作通りのままでは遠くから鑑賞する観客には伝わらないかもしれないという理由で、アズマがリョウにアイスピックで胸を切り裂いてもらうという演出に変更された。映画版では原作通りのシーンとなり、猪塚は「念願が叶ってとても嬉しかったです」とコメントしている。

舞台版から同じ役を演じている猪塚は、原作を再読して思い描いたアズマ像に近づくようにと“線の細い少年のような体作り”のために8キロの減量をし、繊細に表情や声に変化をつけ、純真と狂気の狭間を漂うアズマを見事に表現した。無気力な大学生の時点から徐々に娼夫として身体を絞った松坂と、まさに身を削った共演となったが、舞台での経験を経て、“あ・うんの呼吸”のようなものが既にあり、とにかく頼りになる、本当にやりやすい相手だったと振り返る。「桃李くんがリョウを演じてくれているからこそ、僕も女優さんも安心してこの作品に挑むことができるんだと、映画版で再びご一緒させていただいて改めて実感しました」と猪塚は語り、舞台でのアズマとリョウという関係性を、より洗練させた手応えがあると映画への自信を覗かせる。また、普段は好青年に見られがちだが、「本当はどちらかというと“アズマ側”なんです。アズマのような危うい部分を秘めた人間を僕は理解出来ますし、こういう役を演じてみたいとも思っていました」と意外な面も見せている。

『娼年』
4月6日（金）よりＴＯＨＯシネマズ 新宿 他 全国ロードショー中
監督・脚本：三浦大輔
原作：石田衣良「娼年」（集英社文庫刊）
出演：松坂桃李　真飛聖　冨手麻妙　猪塚健太　桜井ユキ　小柳友　馬渕英里何　荻野友里　佐々木心音　大谷麻衣　階戸瑠李　西岡德馬　江波杏子
配給：ファントム・フィルム

【ストーリー】　主人公の森中領は東京の名門大学生。日々の生活や女性との関係に退屈しバーでのバイトに明け暮れる無気力な生活を送っている。ある日、領の中学校の同級生で、ホストクラブに勤める田嶋進也が、美しい女性をバーに連れてきた。女性の名前は御堂静香（みどうしずか）。「女なんてつまんないよ」という領に静香は“情熱の試験”を受けさせる。それは、静香が手がけるボーイズクラブ、「Le Club Passion」に入るための試験であった。入店を決意した領は、その翌日に静香の元を訪れ、娼夫「リョウ」として仕事を始める。最初こそ戸惑ったが、娼夫として仕事をしていくなかで、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、心惹かれ、やりがいを見つけていく。

（Ｃ）石田衣良/集英社 2017 映画『娼年』製作委員会