映画『君の名前で僕を呼んで』主題歌「ミステリー・オブ・ラヴ」を制作したスフィアン・スティーヴンス インタビュー

第90回アカデミー賞でジェームズ・アイヴォリーが脚色賞に輝いた、80年代の北イタリアの避暑地を舞台に青年同士の恋の痛みと喜びを描く映画『君の名前で僕を呼んで』が4月27日より公開となる。本作の国内版サウンドトラックが3月21日に発売となり、主題歌「ミステリー・オブ・ラヴ」を手がけ、第90回アカデミー賞歌曲賞にノミネートされたスフィアン・スティーヴンスが、作品についてインタビューで語った。

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USインディフォーク界の重鎮スフィアン・スティーヴンスは、これまで『リトル・ミス・サンシャイン』などにも楽曲を提供してきたが、オリジナル楽曲を作成したのは今回が初となる。オリジナル楽曲の制作に至るまでの過程について、「そもそも僕は映画の中での曲の使い方があまり好きじゃないんだ。それに(監督の)ルカが最初に声かけてくれた時は、僕はツアー中で忙しかったんだ。でも一旦電話で話してからはとんとん拍子に事が進んだ。ツアーを終えて家に帰って脚本と原作本を読んだら、すぐに曲のアイディアが固まった。数日で書き上げたよ。すごく楽に出来た」と明かしている。

スフィアンが映画のために書き下ろしたのは「ミステリー・オブ・ラヴ」と「ヴィジョンズ・オブ・ギデオン」、そしてルカ監督から依頼された「フューティル・デヴァイセズ」のリミックス・ヴァージョン。楽曲制作依頼を出したルカ・グァダニーノ監督についても「彼は、最初から彼と僕との間で、監督とソングライターとして、僕たちは理解し合ってシンクロしていると分かっていたんだ。初めてこの映画を見た時、始まる前に彼から『この映画は君の音楽へのオマージュだということを知っていて欲しい』と言われて、照れてしまった記憶がある。でも映画を見終わったときに、彼が言った意味を理解したんだ。(この映画は)僕へのオマージュとかそんなことではなく、確かな音楽的で審美的な世界へのオマージュなんだと」とスフィアンは語る。彼ら2人の信頼関係は熱く、ルカ監督も「スフィアンの歌で映画にもう一つの声が加わったと思う。彼の曲はナレーションのない映画のナレーションなんだ」と絶賛。“映画をスフィアンの歌声で包みたかった”という監督の思いが見事に実現した。

サウンドトラックには、坂本龍一による「M.A.Y. in the Backyard」と「発芽」(映画『戦場のメリークリスマス』より)といった名曲のほか、映画の舞台設定当時の雰囲気を出すために監督がセレクトしたサイケデリック・ファーズやジョルジオ・モロダーなど時代を映した80年代ヒット曲が収録されている。サイケデリック・ファーズの「ラヴ・マイ・ウェイ」は、本作に起用されたことで30年余り越しに全米チャートイン。サウンドトラックの影響は大きく、本国で大きな話題となっている。また、シーンで爽やかに紡がれていく時間の中で流れるバッハやラヴェル、サティなどのクラシック名曲からもセレクトされ、ジャンルレスに楽しめるコンピレーション・アルバムとなっている。

■『君の名前で僕を呼んで』オリジナル・サウンドトラック
3月21日(水)発売
価格:¥2,400+税

『君の名前で僕を呼んで』
4月27日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
監督:ルカ・グァダニーノ
原作:アンドレ・アシマン
脚色:ジェームズ・アイヴォリー
出演:ティモシー・シャラメ アーミー・ハマー マイケル・スタールバーグ アミラ・カサール
配給:ファントム・フィルム

【ストーリー】 1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。一緒に自転車で街を散策したり、泳いだり、午後を読書や音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオのオリヴァーへの気持ちは、やがて初めて知る恋へと変わっていく。

©Frenesy, La Cinefacture