柄本佑&冨永昌敬監督が登壇!映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』日本外国特派員協会記者会見 レポート

伝説のカルチャー・エロ雑誌の編集長・末井昭の自伝的エッセイ「素敵なダイナマイトスキャンダル」(ちくま文庫刊)を、柄本佑を主演に迎え、冨永昌敬監督が映画化した『素敵なダイナマイトスキャンダル』が3月17日より全国ロードショーとなる。本作の公開に先立ち、3月14日に日本外国特派員協会にて記者会見が行われ、主演の柄本佑、冨永昌敬監督が登壇した。

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記者会見レポート

Q:エッセイが元だとは信じられないような話が展開されますが、どのくらい脚色をされましたか?

冨永:末井昭さんは自伝的要素のあるエッセイをたくさん書かれています。ですからネタはたくさんありましたし、本に書いてないこともお話を伺いました。すべてを描こうとすると2時間の映画に収まらない。僕としては脚色したつもりはないですが、本来は5人いた人物を1人にしてみたり、まとめた感じはあります。末井さんの周りには、触れずにはいられないような面白い人がいます。ご自身の人間観察の目が秀でているのだと思います。主人公を追いかけつつ、周りの人たち、影響を与える人たちをいかに少人数で描くか。自分では脚色したとは思っていないですが、そういう意味では脚色しましたし、脚色して面白くなったと思います。

Q:実在の人物である末井昭を演じるにあたって、どのように役を研究されましたか?

柄本:最初にお話を頂いた時に、末井さんのエッセイの表紙にある女装姿を見て、単純に「俺と似ているな」と思いました。監督とお会いして、「実在の人物だけど佑くんのままでいいから」と言われ、顔も似ているし大丈夫だと思いました。研究という意味では本を読んで、末井さんのお話を聞いて、末井さんを見るということが研究だったのかもしれません。現場に末井さんが6日間くらいいらっしゃって最初は緊張したんですが、いるものはしょうがないというか、いらっしゃるんだから逆になるだけ末井さんを見ておこう、と。人と話したりしているところよりも、末井さんが一人で佇む姿の方が参考になったと思います。

Q:登場人物が怪我をしていたり、曇ったメガネをかけていますが、意図は?

冨永:原作にヒントがありました。主人公が若い頃に働いていたキャバレーでは店長や女の子、お客さんの揉め事が多かったそうです。みんな裕福ではないし、生活のためになりふり構っていられない。体を張って仕事をしている。彼らに限らず50年前の日本にはそういう人々が大勢いたと思います。そういうなりふり構っていられない人を描くために、メガネを曇らせました。今は、メガネを拭くための専用の布があります。でも、僕の想像ですが、当時は服や指で拭いていたと思うんです。メガネはただの道具で、見えればいい。少々怪我をしても仕事は休まない。そういう人たちが、他人の視線が気になっている自意識過剰な若い頃の主人公を見る。そういう視線に晒されるという繰り返しが、彼を鍛えていったのだと思うんです。彼が成長すると、メガネが曇っている人は出てこない。昔の日本人はメガネが曇っていたのではないか、という僕の想像の説に立脚しています。

Q:これほどチャーミングな柄本さんを始めてみました。柄本さんの魅力でしょうか。それとも、末井さんにお会いしたことが影響しているのでしょうか?

柄本:チャーミング、だったかなあ?(笑)。嬉しいですが、意識はしていませんでした。監督が男性的な方で、現場で迷いがなく、確信めいている男性的な方で、僕は内面が女子なので「安心して抱かれていればいいな」と。それが面白くて、撮影中はノンストレスでした。そういう部分がチャーミングに写っているのかもしれません。

『素敵なダイナマイトスキャンダル』
3月17日(土)より、テアトル新宿、池袋シネマ・ロサほかにて全国公開
監督・脚本:冨永昌敬
出演:柄本佑 前田敦子 三浦透子 峯田和伸 中島歩 落合モトキ 木嶋のりこ 瑞乃サリー 政岡泰志 島本慶 若葉竜也 嶋田久作 松重豊 村上淳 尾野真千子
配給:東京テアトル

【ストーリー】 バスも通らない岡山の田舎町に生まれ育った末井少年は、7歳にして母親の衝撃的な死に触れる。肺結核を患い、医者にまで見放された母親が、山中で隣家の若い男と抱き合いダイナマイトに着火&大爆発!!心中したのだ─。青年となり上京した末井昭は、小さなエロ雑誌の出版社へ。のち編集長として新感覚のエロ雑誌を創刊。読者の好奇心と性欲をかきたてるべく奮闘する日々の中で荒木経惟に出会い、さらに末井のもとには南伸坊、赤瀬川源平、嵐山光三郎ら、錚々たる表現者たちが参集する。その後も発禁と創刊を繰り返しながら、数々の雑誌を世におくりだしていく…。

©2018「素敵なダイナマイトスキャンダル」製作委員会