『ロブスター』のヨルゴス・ランティモス監督の最新作『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』が、3月3日より公開中。このほど、主人公を演じたコリン・ファレルと謎の少年を演じたバリー・コーガンが、本作について語ったインタビュー映像が公開された。
本作は、第70回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、今回で同映画祭3度目の受賞となる奇才ヨルゴス・ランティモスが監督と脚本を務める。主人公の心臓外科医スティーブンを演じるのは、『ロブスター』に続き監督と再タッグとなるコリン・ファレル。そして、彼を脅かす謎の少年に、『ダンケルク』で注目を集める期待の新星バリー・コーガンが扮する。
コリン・ファレル × バリー・コーガン インタビュー
Q:役柄と物語について教えてください。
バリー:僕はマーティン役。苗字はない。僕が演じたマーティンは、16歳で父親を亡くし、医師のスティーブンと一緒に過ごそうとする。
コリン:医師のスティーブンは、心臓外科医として順調なキャリアを歩んでいる男だ。医学界でもそれなりの名声を得ていて、振る舞いも立派だ。ちょっと評価するとしたら、自尊心が強い人と言えるかもしれないね。
バリー:役のことを話すのって、変な感じだよ。
コリン:そうだよな。変な感じだ。役を裏切っている感じがするな。でも、彼は利己心のとても強い男かもしれない。そして、物語が始まる前は事件の目撃者だったけれど、立場が当事者に入れ替わり、そのことが映画全体で彼を大きく悩ませる。
Q:バリーは完成した映画を観てどうでしたか?
バリー:編集が終わったものを初めて観て、すごかったね。もうなんて言うか、考えさせられたよ。
コリン:そんなタイプじゃないのに(笑)。
Q:コリンは、もうすでに観ていたんですよね?改めて観て、いかがでしたか?
コリン:俺も考えさせられたよ。初めて観た時は、どちらかというと自分の立場から言って衝撃を受けた。自分が出ている映画を、良し悪しがわからないまま、どんな感じかと思いながら観るって感じだった。それから昨夜は、どういう役どころなのかをもう少し客観的に観ることができた。これは難しいことだよ。役者の多くにとって難しい作業だと思う。映画は素晴らしいと思った。自分の映画みたいに言うのも嫌だから自分の評価は抜きにしてね。バリーは素晴らしかったし、ニコールも子供たちもみんな良かった。まとめ方や、音楽も良くて、監督は天才だと心から思ったよ。素晴らしいと思う。彼のおかげだね。
Q:ランティモス監督は現場ではどんな感じでしたか?
バリー:監督は…。
コリン:恐怖だった!(笑)。彼は悪夢だよ。素敵な人だよね。
バリー:監督は、演じやすい環境を作ってくれるけど、とても集中力がある。だからといって、そのプレッシャーをかけてくる訳でもなく。とてもやりやすいね。早く進めるときもあったり、遅く進めるときもあったりとなんでもありさ。
コリン:指示の出し方は、とても特殊だね。
バリー:うまいこと世界観を作り上げるんだ。
インタビューで、ランティモス監督はコリン・ファレルの個性について「彼の魅力はたくさんありますが、ユーモアのセンスがあり、とても知的で、作品への理解力の高さを感じます。作品に必要な要素を理解して、世界観に入り込むことを恐れず、キャラクターになりきることが出来る俳優です」と語っている。
また、バリー・コーガンを起用した決め手については、「バリーは素晴らしい俳優です。アメリカでの準備中にキム役のラフィー・キャシディと会ってもらいました。2人の様子をスカイプを通じて見ていたのですが、マーティン役の候補の中でもやはり群を抜いて素晴らしかったことと、ラフィーとの相性の良さを感じられたことが決め手でした」と語り、2人への大きな信頼を寄せた。
『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』
3月3日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて公開中
監督・脚本:ヨルゴス・ランティモス
出演:コリン・ファレル ニコール・キッドマン バリー・コーガン ラフィー・キャシディ アリシア・シルヴァーストーン
配給:ファインフィルムズ
【ストーリー】 心臓外科医スティーブンは、美しい妻と健康な二人の子供に恵まれ郊外の豪邸に暮らしていた。スティーブンには、もう一人、気にかけている少年がいた。その少年を家に招き入れたときから、家族のなかに奇妙なことが起こり始める。子供たちは突然歩けなくなり、這って移動しなければならなくなる。そしてスティーブンはついに容赦ない究極の選択を迫られる…。
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