吉田恵輔監督がオリジナル脚本を手がけた最新作で、兄弟と姉妹が織り成す愛憎劇『犬猿』が2月10日に公開初日を迎え、同日にテアトル新宿にて舞台挨拶が行われ、窪田正孝、新井浩文、江上敬子(ニッチェ)、筧美和子、吉田恵輔監督が登壇した。
本作では、真面目で優しい弟・和成を窪田正孝、反対に凶暴でトラブルメーカーの兄・卓司を新井浩文が熱演。一方で、仕事はできるが容姿は醜い姉・由利亜を、お笑いコンビ「ニッチェ」の江上敬子、ルックスや愛嬌の良さで人気者だが要領が悪い妹・真子を筧美和子が演じる。舞台挨拶では、キャストと監督が撮影時の思い出や実際の兄弟姉妹との思い出などを語った。
窪田正孝(金山和成役) コメント
■江上&筧姉妹との遊園地でのデートシーンについて
遊園地のシーンは同じ日に撮りました。コーヒーカップに乗るのも、音声さんとかスタッフさんと一緒に乗って、(相手とは一緒に乗れないので)スタッフさんが「いまは妹さんと乗ってます」とか「いまはお姉ちゃんと一緒だから、イヤな顔してくれ」って、それをモニタ越しに見てる監督が(姉のシーンで)鼻を鳴らしてて、悪意しかないなって思いました(笑)。愛のある悪意ですけどね。
■兄弟姉妹の思い出
兄が2人いて、基本、小学生くらいまでは血みどろでしたけど。ひとつ、いい話があって、一度、虫を取りに行った時、僕の手にゲジゲジがついて、手で取ることもできず、どうしていいかわからずに泣きじゃくっていたんですが、お兄ちゃんは払ってもくれず、笑いながらどっか行っちゃったんですが。5分くらいしたら戻ってきて、実はティッシュを取りに行ってくれていたようで、(ゲジゲジを)取ってくれました。そんな記憶も思い出しました!大人になってからのほうが仲良くなるのかもしれませんね。
■最後にメッセージを
こういう、個性が誰もかぶらないみんなを監督がひとつにまとめてできたのが『犬猿』という映画です。周りにいる人でも、イヤだと思う人もいると思うけど、そういうこともあっても人間です。嫌いな人もいることを認めてあげられる自分という感じで背中を押してくれる映画だと思います。
新井浩文(金山卓司役) コメント
■大変だったシーンなど
ウチはないよ、大変だったことは。ケンカのシーンも、窪田くんもウチも慣れていて、経験あるんで、互いに事前に入念にチェックしてるし。(江上さんと筧さんの)2人は「(ケンカのシーンで)本気でいった」と言ってましたが、それはできない俳優がやる手法ですから(笑)。ウチも、昔はそうでした。力が入っちゃうんですよね。
■兄弟姉妹の思い出
4つ下の妹がいますが、日曜の朝は子供向けのテレビを見てから、その後は一緒にファミコンをしてました。仲はいいですね。兄として優しい方だと思います。(観客の笑い声に)ホントだよ!笑うところじゃなくて。ウチも、東京に出てきてからのほうが仲いいですね。ウチの妹はどヤンキーで、ウチは卓球少年でした。
■最後にメッセージを
こういう映画にお客さんが入ると、また日本映画でも素敵な作品増えると思うので、気に入ったらまた見に来てください。あとはTwitterなどのSNSにも口コミをお願いします。感想は全部チェックしますんで!悪口書いたら即座にブロックします(笑)!
江上敬子(幾野由利亜役) コメント
■公開を迎えての気持ちと思い出のシーン
どうも「仕事はできるが容姿は醜い姉」をやらせてもらいました江上です(笑)。このような場に、こんなすごい人たちと一緒に立てて幸せです!筧さんとのケンカのシーンはいろいろむき出しで、服や髪を引っ張っていたら髪が4本くらい抜けました(笑)。それくらい本気でやったってことです。
■兄弟姉妹の思い出
私とそっくりな弟がいて、「ニッチェ 江上 弟」と検索してもらえればわかりますが…(笑)。仲いいとか悪いとかはないけど、小さいころから「お姉さん、○○ですね」ってなぜか私に対して常に敬語なんです。嫌われてるのかな?不思議ですね。
■最後にメッセージを
こんな私がこんな素晴らしい作品に携わらせてもらえるのは、これが最初で最後かも。ぜひ宣伝してください!
筧美和子(幾野真子役) コメント
■公開を迎えての気持ちと思い出のシーン
初日から映画館に足を運んでいただいてありがとうございます。見ていただいたばかりの時にお話しできて嬉しいです。江上さんとのケンカのシーンは、本気でぶつかっていったのでセリフじゃない罵倒もありました(笑)。
(江上:本当に思ってるんじゃないかと思うところありました(笑)。)
■兄弟姉妹の思い出
姉と弟がいて、弟は歳が離れているんですが、姉は昔から一緒にいて。昔はケンカも多かったけど、今は一番の支えくらい仲が良くて、こないだもベッドで一緒に寝ました。お互いに背中を向けて寝て「姉妹ってこうなるよね」と少し寂しく思ったんですが、朝起きたら姉に抱きついてました。抱きつきたかったわけじゃなくて、自然と無意識にそうなっていたので不思議だなって思いました。
■最後にメッセージを
どう受け取っていただくかはそれぞれだと思いますが、人間味あふれる作品だと思うので帰ってからも日常で思い出してくれたら嬉しいです。
吉田恵輔監督 コメント
■4年ぶりのオリジナル脚本作品が公開となりますが
この脚本も4年くらい前から書いていて、2~3年は書いていたかな?それが成立して、今日まで4年くらいかかりました。子どもが巣立つような、結婚式のお父さんのような気持ちで感無量でございます。
■映画の中の兄弟姉妹の愛憎について
どこかしらみんな通った道を描いていて、ひとりっ子も、なんとなく通るんじゃないでしょうか?みんなに届くいい作品を作った俺…みたいな気持ちです(笑)。基本、褒められるの大好きなんで。
■最後に一言
久しぶりのオリジナルってことで、オリジナル脚本の作品がだんだん減っていて、原作ありきになってる中、珍しい作品です。これからもオリジナル脚本作品を作るには、これがヒットしないと「やっぱり原作ものじゃなきゃね」って言われてしまうので、みなさん、お金の続く限り、劇場に来ていただけると嬉しいです。
『犬猿』
2月10日より公開中
脚本・監督:吉田恵輔
出演:窪田正孝 新井浩文 江上敬子(ニッチェ) 筧美和子
配給:東京テアトル
【ストーリー】 印刷会社に勤める真面目な弟とは対照的に乱暴者でトラブルメーカーの兄。見た目は悪いけど頭がよく勤勉で家業の印刷所をテキパキ切り盛りするブスな姉と、要領は悪いがその容姿と人当りの良さで人気者の妹。この二組の兄弟・姉妹の関係に、あるとき変化が訪れる。それぞれの思いが交錯し、相性最悪なW犬猿ペアの抗争は次第にエスカレートしていく。
ⓒ2018『犬猿』製作委員会